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政治経済調査研究立案

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星秋リコネサンスの電子書籍

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著者-星秋リコネサンス代表 星野秋史

 

Ⅰ.腐敗亡国日本-上巻・下巻 (発売中) 

       -議員、官僚、そして全国民必読の書 

-2004.2.1初版発行

2006.8.8改定2版

2009.3.22改定3版

 

冷酷讒謗、残酷罵り殺し、狂的悪口、悪魔的名誉剥奪、最下品最下等最低級、必殺地獄落し、踏みにじり専門憤慨死、抱腹絶倒発狂笑い死必然という狂気猛毒、人権蹂躙、時代逆行の書。

 

笑い過ぎにご注意!ご老人その他疾病をお持ちになっている各位様におかれて、この本を読んで笑い死にをされたとしても筆者は責任を負いかねます

なお、この本を読んで笑いすぎたために心臓等の持病が治癒することもございます

上下各-¥5,000

無料でサンプルが閲覧できます⇒fhbk-sanpl.pdf

腐敗亡国日本-上のご購入はこちらへhttp://www.infocart.jp/a.php?item=39407

腐敗亡国日本-下のご購入はこちらへhttp://www.infocart.jp/a.php?item=39409

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Ⅱ.国家間暴力原論-上巻・下巻 (発売中)

-2004.11.7初版

-2006.11.7改定2版

-20093..22改定3版

現世(うつしよ)に於いて国家暴力と戦争とが永遠に消滅しうるのであるか、それともそれはいつまでも存在し続け、我々は暴力と戦争の中で永久にさまよい続けるであるか-この古くて新しい問題が未解決のまま我々の眼前にある。本書はこれに対して解を出し、それを完全に証明することによって、人類の運命に対する挑戦の書となる。読者はこの書物の洗礼を受けることによって打ちひしがれ、絶望して出てくるのか。あるいは新しい勇気と希望を獲得して出てくるのか。 

それは読者自身が決定することだ。

上下各- \5,000

無料でサンプルが閲覧できます⇒kb-sanpl.pdf

国家間暴力原論-上のご購入はこちらへhttp://www.infocart.jp/a.php?item=39210

国家間暴力原論-下のご購入はこちらへhttp://www.infocart.jp/a.php?item=39211

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Ⅲ.史伝-真珠湾攻撃-ミッドウェイ海戦 -特攻- (発売中) 

 

-2004.11.7初版

-2006.11.7改定2版

-20093..22改定3版

 

我々が、これから新しく戦争に勝てる国家として立ち直ることを希望するならば、そのために必要な条件を過去の対米戦争での経験に対する反省分析によって提示する。

(本書の提起する課題が解決されなければこの国は滅亡するであろう)

\5,000

無料でサンプルが閲覧できます⇒sidensanpl.pdf

史伝のご購入はこちらへhttp://www.imfocart.jp/a.php?item=38739

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星秋リコネサンスの分析と主張

1.大統領制の導入、三権分立の透明さ

憲法に、国家意思の表現者であり、行政権力の最高責任者である大統領の「威厳」と「責任の重圧」とを定め、併せ 、この「責任の重圧」と対をなす「任期の保障」をも定め、もって、 昨今特別に流行している、内閣総理デージンの責任放棄→ズラカリを防止する。

昨今の日本首相の多くは影の黒幕たちの談合や一方的な決定によって「させていただいた首相」(森嘉朗 、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫など)であるために自分の思考力と国家戦略を持っていない。自分がこうしたいと思って総理大臣になったものではないからであり、したがって日頃の(総理になった場合を見越しての)勉強、観察、そして熟慮、等も殆どしていないかのように見える。これは非常に恐ろしい現象である。

一方において、首相になろうとしてなったタイプもまた長期間の熟考や審査を経由せず、ワンタッチ的なフレィズやパフォーマンスを伴う「束の間の熱狂」でしかない。(例えば小泉純一郎~我々はこの熱狂の直後、すぐ、この首相の、国の命運に対する責任観念の無惨な欠落に気付かされた。彼は就任早々、憲法の問題、そして、消費税の問題というこの二つの困難な重要課題を取り扱わないと宣言して、あらかじめの逃げの手を打ってしまった。かくの如き露骨な逃げ宣言をした首相というものをほかに私達は知らない)

我々は、議院内閣制の持つ、行政権力と立法権力の癒着と、それから必然的に結果される首相の地位の不安定性と、途中投げ出しや途中ズラカリ現象の猖獗を切断しなければならないし 併せて、行政権力を一元的に大統領の権力に服従させ、議員と官僚の癒着腐敗を断ち切り、彼等によるもろもろの国家資源濫費を切断しなければならない

 

附記:平成22年1月20日参議院本会議における憲法改定に関し、自民党議員尾辻秀久が鳩山総理の5年前の著書「新憲法試案」を踏まえ鳩山総理の憲法改定に関する方針をただしたのに対して鳩山総理は「首相は特別に憲法擁護義務が課せられているから在任中は憲法の改正にはタッチできない」という趣旨の逃げ答弁をした。

しかし、

1.憲法尊重擁護義務は国民に等しく課せられていて、首相だけが特に重い義務を負うなどという法令上の根拠も考え方もない。

2.憲法尊重擁護とは、「今ある憲法の規定は厳守すること(尊重)」と、「今ある憲法の不足や欠陥については、より良いものに変えなければならない(擁護)」という二つの意味がある。

これに対して鳩山総理は、「何が何でも今ある憲法に固執せよ」という意味に憲法尊重擁護の語義を取り違えていることによって、その昆虫レベルの程度の、驚くべき低い知能を披瀝した。

尾辻議員がこの点をすかさず付いて追求しなかったのは遺憾であるが、それは別としても首相はご自分の理想や考えを実現するために首相に就任したのではないのであるかが疑われる。首相になったからという理由で持論のはずの憲法改定や、その他いろいろな持論(他に日米安全保障の内容を、駐留なき安保体制論-米軍が普段は日本に居ないで、日本が危ないときにだけ米本土やハワイやグァム島など外地から駆けつけてくださいという、非効率で金がかかる、そして、非常にわがままな要求論法-などもそうであるが)から、ご自分が首相になったからという理由で「封印」するなどとという狡猾な言い方を多用して避けているが、それならばいったい何のために首相になったのであるか理解できない。

野党時代には理想や持論をさえずり捲り、首相になっている間はそれを封印し、首相を辞めてからまたしても理想や持論をさえずり捲りだすというのでは漫才のネタにさえもならない。

 

 

 

2.憲法改定・核武装推進

 人間を支配する永遠の二律背反が存在する。即ち、・・・

1.戦争をしてはならない。

2.しかし、戦争ができないような国は主権国家ではない。 

この二律背反から我々は次のような唯一つの選択肢に導かれる

「我々は憲法を改定し、戦争をすることが出来る国にならなければならない」

 

そして、戦力というものは、それが最強を目指すのでなければ、反って危険であるから、我々は核武装をしなければならないと主張する

 

❦;我々の主張は、日本がアメリカの核の傘から離脱するのではなく、日本がアメリカとの間に核武装相互同盟を築くことであり、それは可能であるということである。もし日本がアメリカの51番目の領土であるとしたら、ロシア、中国、北朝鮮を睨む日本の核はアメリカにとって望ましいものであるが、その「日本がアメリカの51番目の領土である」という条件の代わりに「日本とアメリカが誠実な同盟国であり続けるという」条件を入れ替えても本質は変らないであろう。

いろいろな主権侵害の状況

a.北朝鮮の核は日本に向けられている

彼等はまた、既に死去したと彼等が称する拉致被害者達を、(日本が今のままの方法でずるずるとやっている限り)絶対に戻してはこない。

被拉致者たちのうち何名かを名指して、「彼等、彼女等は死んだ」、と金正日は小泉純一郎に事実上公言した。公言した以上金正日はその必要を感じたときに、そうすることが可能であるならば、彼の体面上、死んでいなければならないこの被拉致者たちを殺害する可能性があるが、もしそうなれば我々は金正日を殺してしまわなければならない 。

b.中国の対外膨張と日本憎悪は体質的であり、、この国の中距離核ミサイル群が常時ぴったりと日本の主要都市群に向けて標準されている。しかし、我々はそのことを普段忘れているかのようである。

勿論、これは単なる脅しではない実際、1995年、李鵬中国共産党副主席はオーストラリア訪問中キーティング首相に対して「日本、あんな国は30年後には潰れてなくなっている」と半ば公言したが、これが今も、そして多分、これから先も長期間にわたる中国共産党の不動のメニューであり得る。実際、今までのところ、日本がいかに親しげに擦り寄ろうと、謝罪をしようと、金を貢ごうと、このメニューが変わらないということは既に経験済みである。

c.中国による尖閣諸島・沖縄に対する侵略意図の存在とその初期的な一部実施、即ち、尖閣諸島周辺海域での海底資源採取にかかわる諸固定施設設置とその本格的な稼動が行われつつある

d.「ロシアによる北方領土の不法占拠」と「海域日本漁船に対する銃撃による乗組員殺戮、漁船拿捕、日本漁師監禁 」。前者は言うまでもないが、後者のような事件もこれから再度発生するであろう

d.韓国による日本領竹島への不法占拠が既成事実化しているが、既に、戦争によってこの領土を回復する以外に解決方法がないようにもみえる。

e.上記のようななし崩し的、又は突如としての主権侵害はこれからも(日本の姿勢次第のものだが)新たに発生し、エスカレートしないという保証はない

f.現状、日本は周辺の諸国、即ち、ロシア、シナ、韓国、北朝鮮に舐められ切っているのだが、米軍の存在により、シナ軍による尖閣諸島上陸、ロシア軍による北海道上陸、韓国軍による対馬占領、北朝鮮による東京攻撃などがためらわれている。アメリカがどう出るのであるか、それが読みきれないからだ。米軍が居なくなったとしたら彼らに対するこの障壁は消滅に近いまでに激減するはずである。

             

 

方針

 

a.日本が核武装しなければならない必然性が上記状況からもたらされている

b.アメリカとの関係において、アメリカの核が日本の安全を保障していると同時に、 日本の核はアメリカにとって強力な援軍であるし、あり続けるということを強調してアメリカを説得しなければならない

注意:アメリカが いまだ世界の覇者であり続けようとする気力を持っているときでなければ

アメリカに対する説得は意味がない。アメリカの衰弱が必然であることは第4.項でしめす。

 

方法

 

a.米国政府に対する説得

b.米国議会に対するロビー活動

c.米国内新聞広告、TV広告

d.国連に対するPR

e.米国以外の世界諸国に対する対応も上記に準じて実行する

 

詳細状況

 

1.中国は尖閣諸島周辺の排他的水域の海底を支配し、いずれこの島々を占領しようとするであろう。日本がこれに対抗しても彼等はその核戦力を密かに侍して、「ならば軍艦を出すぞ」と脅迫する。これは、彼らが、日本に対してさしかけられたアメリカの核の傘が破綻していること密かに期待し、更に、日本が憲法の制約により戦えないこと、戦おうとしても核がないこと、などを見越しているのであり、更に状況が至れば中国は、台湾を支配し台湾海峡の通行権力を恐喝のキーとして、沖縄、九州 などに対する支配権を主張するはずである

2.中国は、1980年代初頭、北朝鮮とイスラム諸国(イラン、シリア、パキスタン、エジプト、リビア、イエメン)の核保有を支援する方針を決定した。そして、技術と核物質をこの国々に対して渡している。この点だけを見ても既に中国はNPTを云々する資格を喪失している

3.ロシアは北海道沖海域に対する支配権の位置を次第に南下させる。

この水域における日本漁業に対する攻撃、射殺, 船舶没収はエスカレィトし、 北方諸島は日本の(いかにも領土問題で脈のありそうなロシア政府の「お言葉」に釣られて日本が繰り出す経済協力の)カネによって要塞化される

プチン大統領は新ロシア軍事ドクトリンにおいて、

「通常戦争においてもロシア、又はロシアの同盟国が重大な危機に陥った場合,先制的に核攻撃を行うこともありうる」と定め、これを公表した。明らかにこれは非核保有国に対するあらかじめの核による威嚇である。

4.NPT体制の建前上のルール

「米、露、英、仏、中の五カ国にのみ核兵器保有を認め、それ以外の国が核兵器所有の意思を一切放棄すれば世界は安定する」というのがNPT体制のルールであるが、上記のとおり、ロシアと中国というこの二つの国がNPT体制の幹事国(核保有特別待遇国)であるということは、日本にとってNPTとは核の安全のための世界体制ではなく、核による対日本恐喝体制(勿論、日本に対してだけの恐喝ではないが)の固定に他ならない。

 

 

方針

 

1.したがって我々はこのことを明らかにし核保有宣言をする権利があり、世界のいかなる国も我々主張に異議を唱える権利を持たない。

2.我々は憲法を改定しつつ、直ちに核保有宣言をおこなわなければならない。

3.情報偵察、核弾頭運搬手段、核管理体制、などの構築は核弾頭を所有しなくても実行可能であるから、今からこれに着手し、「残るは核弾頭のみ」という状態にしておかなければならない

 

 暫定的に

(以下は、おそらく遠い先のことになるであろう憲法の改定に先立って、現行憲法の枠組みの中で何が可能であるかを明らかにする)

 

1.防衛と防御

a.防衛の本質は攻撃である。即ち、侵略して来る敵に対して、又は侵略→攻撃準備を既に始めている敵国に侵攻して、攻撃をするのが防衛であり、明らかに(ミサイルデフェンスのような狭義の)防御とは異なる。したがって、結局、[防衛=戦争]なのであって、戦争となれば勝つか、負けるか、うまくやめることができるか、という選択肢しかない。防衛という響きの良い言葉によって自らや他人をを慰めたり、惑わせたりする必要はないし、そのようにすることは反って危険でもある。何故ならばそのような誤魔化しは本質を見誤ることにより、我々を中途半端な妥協や怠惰や見通しの甘さの中に導いてしまうからである。

防衛(=戦争)になれば戦争は戦争であり戦争には勝ち・負け・中止の三通り以外はなく、他に何の制約もない。局地防衛戦争であっても本国を仕留めないと終わらないかのような場合、あるいは本国を仕留める力があると認識されれば互いにこれはもう止めようではないかという場合も出てくる。したがって防衛と相手国への侵攻が表裏をなしていることもあり得るわけである。

 

2.戦争による解決と憲法9条

a.紛争とはなにか~純理ないしは事実、および確定国際法等によっては白黒が確定しない事柄に関して(例えば数千年来の、始原も今では不明な領土境界紛争、あるいは遺恨晴らし、更には経済的な軋轢など)発生する二国間のもの争いを紛争という。日本憲法はこのような「もの争い」を解決しようとして暴力で威嚇したり、暴力を行使しないと定めた。この憲法の思想は全く正しいから、改定後の新憲法においても勿論継承されるであろう。

b.しかし、日本憲法は明らかな侵略や暴行、又は暴力による威嚇に対する防衛、更には侵略や暴行、又は暴力による威嚇を受けつつある他国への支援を禁止するという意図を持ってはいない。(前者の可能性を自衛権といい、後者の可能性を集団自衛権という。いずれも憲法などの法理を超越したa-prioriな権利である)

c.内閣総理大臣は日本が自衛権、ならびに集団自衛権を自明な権利として持っていること、そして、当然にこの権利を行使し得るものであること、を内外に対して宣言し、最高裁判長はこの宣言の非違憲性を肯定しなければならない。

d.北朝鮮による日本国民拉致、韓国による竹島不法占拠、中国による尖閣諸島海域での海底資源 採取、ロシアによる北方領土不法占拠と日本漁船員銃殺などは明らかに侵略行為にほかならず、今のところ日本はこの侵略に対して武力による防衛(=戦争による解決策)を行使してはしていないが、この戦争をする権利を必ずしも放棄してはいないことを明らかに宣告しなければならない。この宣告はまた、今後の類似な外国からの侵略と、現に発生している上記侵略行為の更なるエスカレートに対する抑止力となるであろう。

e.したがって、海外派兵、上陸侵攻、長距離爆撃、ミサイル攻撃等の能力を保有しても憲法上何の問題もない。問題は能力保有の可否ではなくそれをどう行使するかに関する憲法上の可否が問題となる。この点に関しては小銃と核兵器とのあいだに本質的な相違はない。勿論、このような場合においても憲法の規定に準拠し、相手の息の根を止めたとしたならば、その後は、被侵略状態を復元し、戦争に伴う損害に対する賠償を取る、この二つ以外になんらの収奪や利権を残してはならない。

(我々はかつての対米戦争における「対米交渉→開戦→敗戦」という一連の経験の中に我々のこの中途半端さを見出すことができる。

f.(要約)

*攻撃的であることと防衛は矛盾しないし、攻撃的である点に関して小銃と核兵器とは本質的に区別がない。

*現行日本憲法は防衛(同じことであるが以下自衛ともいうことにする)に制約を設けていない。

*故に日本の核武装や海外派兵、上陸侵攻、長距離爆撃、ミサイル攻撃等の能力を保有しても憲法になんら抵触するものではない。

 

3.抑止力

侵略に対する抑止力は勿論国家暴力だけに依存するものではないが、色々な抑止力のうち最大のものはやはり核武装兵力であり、この抑止力は「交戦して防衛する」を更に超えた「戦争そのものに対する直接の抑止」であるが、勿論、この抑止力保有は現行平和憲法に対する何の抵触でもない

 

附記:ミサイルデフェンス(以下MDと略記する)について

MDの最大の利点はミサイル迎撃(=純防御だ)にあるのではなく、どの国が、何時、どこから、どこに向けて、どのような種類の核ミサイルを撃ってしまったか、又は今まさに撃とうとしているかを迅速、正確に把握する能力の増大にある。

その能力が、即時報復装置のより一層の早期発動を可能にする。そして、この早期発動は

1.まだ我が方の報復装置が敵の核ミサイルによって破壊されないうちに、又は破壊が極大化するに至らないうちに報復装置が使えることの可能性を増加させ、更に、

2.敵方の継続攻撃能力を減殺させることが期待できる。

そのことは、即時報復装置の極大利用を可能にし、即時報復装置の迅速的確な使用に大きく貢献する

故に、このMD系統と対を成して、即時報復能力系統の準備が存在しなければならない。なぜならばミサイル迎撃そのものは、(疑わしいが)敵の撃ってきたミサイルのうちの何発かを迎撃破壊し得たにしても、そのこと自体は敵の大きな痛痒ではない。

そして、逆に何発かがMDの迎撃を免れて命中落下していれば敵の目的は達せられる。・・・であるから、MD系統装備の背後に報復核が存在しMDと報復核が対を成していなければならないのがわかる。

MDオンリーでは全く何の抑止力でもなく、かえってこのようなものに頼って安心するならば危険でさえある。

以上のことからして、日本自衛隊がMDを配置するのであるならば、将来の報復核武装力までを視野に入れていなければならないのであって、長期戦略能力が極めて弱いわが国の政府と議会において、単に専守防衛だから良いなどという理由になっていない理由で己自身を誤魔化してMDを購入する(アメリカによって購入させられている)のは税金の乱費であり、明らかな政府と議会の国民に対する背任行為である。

 

 

 

3.謝罪について

ⅰ.日本は、その大東亜戦争(第二次世界戦争)での自分達の所業に関する、中国をはじめとする東アジア、東南アジアに対する贖罪的姿勢が世界的に見ても極めて特異なものであり日本が、自ら永久に犯罪国家として束縛されて行きたがっているかのようである。

そのためにここでこの問題を解明しておきたい

アジアの旧植民地国は欧米に対しては、その日本のやり方に比較しては著しく残忍貪欲な植民地施策に対して、決して犯罪追及や謝罪要求をしない中国は、かつて中国を侵略したイギリス、ドイツ、ロシアに対しては決して謝罪を要求しないし、国家犯罪をでっち上げて宣伝するような真似もしていない

市民個人であれ、政治家であれ、国を背負って謝罪をする行為は、自国の過去(祖先)、現在、そして、未来(子孫)の全体に対して独りキリスト気取りで十字架を負わせる行為になる勿論、キリストのような凄い覚悟などは持ち合わせてはいないただ自分だけが勘弁してもらってずらかりたいからそうするのだ

そして、一度謝罪をしてしまえばここぞと未来永劫に食いつかれ、未だ足らん未だ足らんと永劫に責め立てられる絶好の口実を与える欧米白人達はそのことを知っている

 

(*黄色が白にしてやられたのは泣き寝入りするが、黄色が同類である黄色にやられたのは我慢できないということででもあろうか)

 

 ⅱ.中国が執拗に日本の過去における中国侵略行為の罪を言い立てる。日本は反省し、謝罪し、際限もなく自らを責め続ける。中国のこの執拗な日本糾弾の理由は、一つは中国の共産党が、彼等の拠り所である。共産主義イデオロギーの神通力が色褪せた為に、イデオロギーに代わる別な権力の拠り所として、自分達の統治の正当性と必要性を、「軍国日本による侵略に抵抗し、抗戦をして打ち破った中国共産党、そして、今でも日本を糾弾し続ける中国共産党」という事で民衆に根拠付ける手段である

その証拠に、キャリスマ権力者によるイデオロギーを駆使した支配力が強力であった毛沢東や周恩来の体制の頃にはまだこんなに異様な日本糾弾はしなかったのである

 

(*日中国交のときに毛沢東は田中角栄に対してこういった「日本が暴れてくれておかげで今の我々がある」と。実際、もし日本がロシアを制圧しなかったならば朝鮮半島は全部ロシア領になってしまっているだろう。朝鮮族はチェチェン人たちのようにシベリアに追放されてしまっているはずだ。もし日本がシナに干渉しなかったならばシナは欧米列強による虫食い的な植民地になってしまっていたはずだ。)

 

このように、中共の日本犯罪国家史観が彼らの権力の正統性に関する不安から出てきているものである以上、日本の謝罪は何の効果もない。何故ならば日本の謝罪によってシナ人民達の憎悪が緩和すれば共産党の権力理由が弱化するからで、日本の謝罪を利用して「見よ、日本人自身が自分達の邪悪さを認めているであろうが」と、虐殺記念館の建立や外国に対する喧伝、教科書内容の捏造など対日憎悪促進行為をよりいっそうエスカレートさせるのだからである。問題はこの対日憎悪、対日怨恨が中京のコントロールから自立してシナ国民の遺伝体質化することにある。

中国人の指導者達は日本とのかつての戦争に伴い発揮された日本軍特有の残忍凶暴さと彼等が偽称する所業を、極端に拡大捏造し、このような記録、写真、物的な証拠、などを製作し、全支那に大小併せて数万箇所という展示・顕示場を設置し、国民や外国人達に見学を慫慂し、時には強制し、又児童たちの教科書にはこの日本軍による悪行の限りと、これと対決して打ち破ったと彼らが称する中国共産党の英雄的な戦いを満載して彼等の子孫に憎日、嫌日の想念を徹底的に叩き込みつつある

勿論、対日憎悪、対日怨恨が中京のコントロールから自立してシナ国民の遺伝体質化しまえば(例え中京の権力が崩壊して、中国が民主化した場合であっても)、この遺伝体質が改善される可能性は殆どゼロに近づく。

したがって我々の謝罪が、免罪や許容につながると思ったり、あるいは「当面謝罪してなんとなくやり過ごせ」、更に罪深く、「村山談話を継承しないと折角手に入れた大臣の地位を失う」などという理由によって、大臣就任式の後の記者会見などで殆ど言論統制的な調子で新聞記者が発する、「村山談話を継承しますか」という踏み絵質問に対して 、「承継します」などとその場しのぎで答えることが将来いかなる禍根を日本と中国の人民に植え付けるのであるかを認識しなければならない。日本政府は田母神元航空幕僚長の正しい歴史論文を、彼を解職処分することによって否定してしまったのだが、論文自体は史実に対する何の困難な問題を内包するものではなく、しかもコンパクトでよく纏まっているからできるだけ多くの日本人、中国人がこの論文を読んでもらいたいところだ。(田母神の論文はインターネットで「田母神俊雄-論文」と検索すれば簡単に入手可能)

 

(*中国の直面することになるであろうと推定される困難は、人口の多さ、共産党独裁体制、経済発展命令の存在-主としてこの三つの要因から出てくる。

経済の発展は独裁体制と衝突をする、何となれば経済主体は必ず自分達のための政治権力を持とうとするのだが、その政治権力が又しても独裁権力であるならば、政治とともに経済体制もまた必然的に腐敗し弱体化をするから、経済が要求する政治体制は自由な、そして民主的なものでなければならない。

(注意;経済は、労働し、その果実を分配しあうことによって発展する。この過程-労働を組織し、成果を主張し、果実を分配する過程そのものが民主的という本質を要求する)

中国で成功しようとする企業は、中国共産党幹部、中国官僚たちに取り入って賄賂、天下りなどの実益を彼らに与えないと認可を取り消されたり取引を禁止されたりすると言う事実を受け入れるしかない。中国企業はすべてが中国の国家出資部分を持つ。

完全な独立資本企業は妨害を受けて潰される仕組みであり、勿論自由な政策批判、政府批判などをすれば社長が冤罪をでっち上げられて簡単に逮捕・処罰されてしまう。中国には選挙という権力選出の手段が存在しないから、このような制約を経済界に課す権能によって中国政府の経済分野における政治権力が保全されるのである。そのため中国の経済には多様性と広い裾野が育ってはこないであろう。

中国の人口の多さ(推定16億人)は中国の民主化とそれに伴うもろもろの自由を保障する事とを妨げる。これだけの人々を自由な選挙と自由な思想・言論体制を保障しつつ、一つの頭脳中枢の元に統率することが果たして可能であるか否か。*-(まず中国16億の人々が、だれでも政治権力に参加でき、少なくともそうする可能性が常に開かれており、自由に政治的な発言が開放されているような体制を開始するには、それが内から出てくるものであるか、外からやってくるものであるかを問わず、その出始めの時に、非常に巨大な権力と暴力による既存独裁権力の破壊とその後の自由への強制を必要とするであろう。

殆ど有り得ないことであるが、仮に中国が今の規模のままで分裂もせずに自由体制に転換しえたとしても、その人口の限度を越えた多さの故に、政治は漂流し続けるであろう。実際、中国が仮に民主制制度を導入したとした場合、十六億の民を代表する国会議員の数が少なくも六千人はどうしても必要になる。そうなってしまえば、この六千人という集合は、これはもう完全な烏合の衆に他ならず、丁度現在、民主国インドが選挙民の限度を越えた多さに苦しんでいるように、保護政策を求める非常に多様な、そして、多数の利益保守階層のために迎合せねばならず、そのために力強い、筋の通った国策の推進や改革がとても困難なものになるのである。)-

そして、16億人の経済発展は、地球総人口の26%に該当する大消費圏が新たに出現することを意味しているので、その地球環境界に対する破壊的な影響は法外に大きいものになるであろう。

中国の支配者はこの十六億人を、

1.先ず統合し続けなければならない。

そのためにこの十六億人に対して国としての標的を与え続けなければならず、それが中国周辺や米ロなどの大国に対する不断の国権膨張圧になる。

2.そして、食わせて行かなければならない

それは中国に対してなりふり構わぬ資源的食い漁りを強要する

しかし、今の中国の武器は貧困にある。この貧困がもたらす低賃金搾取を商品として中国は世界を相手に商売をする。したがって中国の支配者達は十六億の人間のうち9/10くらいを、食わせて行くにしても、十分に食わせては駄目なのであり、程々に食わせていかなければならない。

だがこのような複雑な矛盾した連立式に解があるとも思われない。

中国の選択肢は次のとおりである。

a.民主化して経済が発達し続ける。この場合、多分連邦的国家体制を選ぶしか取るべき方法はないであろう。勿論このオプションは歴史の捏造や、憎悪怨恨の保持、法律の私物化、などとは両立し得ない。

b.経済発達と独裁政治体制とが両立する?-(経済が発達すると独裁権力に対する経済的権力の擦り寄り、ないしは反発が発生する。前者は腐敗によって、後者は分裂によってその国を崩壊へと導く。権力独裁はまた直接に経済的な自由を抑圧するであろう。)-経済界は産・学・官・他業種・外国企業・消費者~間におけるグループ化・連携・組織化を要求する。しかし、独裁政権は国家機密保持や独裁権力維持のためにこれを嫌うであろう。経済は儲けること、発展すること、この二つの目的のために自由に振舞おうとする。しかし、独裁権力は又別な動機(=権力保守)によって経済を支配しようとする。経済は独裁権力の腐敗に擦り寄るしか生き延びる方法を見出せない。

c.共産党独裁体制のために経済発展が止まり

 ⅰそのまま党独裁国家でいる

 ⅱ分裂して夫々が独裁国か自由国家になる

 ⅲ分裂内乱状態が続く

d.経済が発達し、その結果民主化圧力が高くなっていくつかの国に分裂をする。その結果として、

 ⅰ夫々が独裁国または自由国になる

 ⅱ分裂内乱状態が続く(経済は破壊されてしまう)

経済と独裁体制との衝突は中共軍の力を増大させる。

何となれば政治権力は国内支配権を争って、そのための暴力的な発言力を軍に求めようとするからである。勿論、軍自体も自ら政治権力として振舞おうとするであろう。

e.確実にいえることは中国の中央権力が核兵器をはじめとする巨大な軍隊を保有し、中国の分裂に際してこの軍隊が分裂することなく党中央権力につくか否かが鍵であるということである。

軍隊が共産党中央の掌握下にある限り、中国内の都市や地方の独立勢力は、軍隊によるなりふり構わぬ攻撃にさらされることになる。一旦この非常の時になれば、国際社会の目などは省みられることがないであろう。

このような事情があるので中国がアメリカと日本を敵国視し、台湾侵略を神聖至上命題とし、なかんずく日本への憎悪を掻き立て続けなければならないのが判る。又中国が巨大な軍事国家であり続けなければならないことも判る。全ての動機は、軍隊を育て、掌握するという権力保守の手段からでてくる。)

 

ⅲ.中国のこの執拗な日本糾弾のもうひとつの理由は日本が謝罪し続ける間は日本から金を搾り取れるということ、そして、日本が謝罪し続ける間は日本が決して軍事的強国になろうとはしないであろうと言う期待であるしかし、日本は既に巨額の賠償金をアジア諸国に支払ってきた

彼らは更に進んで尖閣諸島上陸占拠を始めとする侵略行為のエスカレートを所期しているのだが、その際、我々の謝罪によって「これは昔お前達がやったことではないか」という報復(復讐)の論理が正当化されることになる彼らはそれを狙っている

 

Ⅳ.以上のような理由から将来、機会が許すならば、あるいはあらゆる機会を誘導してでも、中国は日本に対して戦力行使をする確率が非常に高いだがそれにもかかわらず日本人は中国に対して謝罪をし続けている

謝罪をすることによって日本人は自分たちの「祖先の悪行」と称される代物を自ら認定し、その認定するという行為によって(際限のない謝罪にもかかわらず)中国人たちの憤怒と憎悪と怨恨がよりいっそう謝罪行為によって掻き立てられているという事実にも気がついていない

 

Ⅴ.謝罪には2種類のものがある

(1)免罪期待、退避、打算的計算、政治的格好付け(日本人達のする謝罪の全てがここにあげたいずれかに該当する)

(2)本当の謝罪(個人の領域でのみ、時にはあり得るが、国単位では絶対にありえない)

(3)日本はアメリカから戦争犯罪である無差別都市爆撃や原爆による都市攻撃(ジェノサイド攻撃))を受けたがアメリカの犯罪を言い立てたりはしない

日本人達はアメリカのこの行為が無差別テロの一種であるという主張を、感情や復讐や政治の領域ではなく、理性の領域で行うであろう)。

仮に言い立ててもアメリカは決して謝罪も反省もしないであろうその理由はとても明快で、単に日本は戦争に負けて今弱く、アメリカは勝って、しかも今も強いからであり、それ以外に理由はない日本はいずれこのことに目覚めるであろう

そして、日本は、一度は負けたけれども又もう一度強い国になれば、他国から指示されたとおりに謝罪をしたり金を払ったり、自己反省を際限もなくし続ける必要はないということを知るであろう

なお、中国や韓国による日本の戦争犯罪に関する煽動的なプロパガンダと糾弾の背後にアメリカによる操作扇動も介在している。そうすることによるアメリカの狙いは次の通りである

a.原爆投下による一般人ジェノサイドという、アメリカが犯した人類史上最も残忍な犯罪行為を隠し、ないしは正当化するため

b.日本を逆境に置けばそれだけ日本のアメリカに対する(主として安全保障上の)依存度が高まり、日本をアメリカの手のひらの上に置いて置き続けることができる

このアメリカの方法は図に当たった実際、日本人の9割方は卑劣にも、「私たちが悪いことをしたから原爆を落とされたんです」などと言っている。そして、嗤うべきことには、「私達が良い子でいれば私達にだけは再び原爆は落とされません」などと利己的に思い込んで懸命に良い子を演じているのである。

Ⅵ.自民党と民社党ならびにその他のすべての政党の議員達は合同して、「村山談話」否定決議を行なうべきであろう。 

注意:アメリカの高度な知性にまで浸透する中国の戦争犯罪偽造工作

アメリカを代表するジャーナリストの一人であるDavid.Harberstam(ディビット・ハルバースタム)の代表作の一つ「War in a Time of Peace」(2001.5)(邦訳は2,001年にPHPから「静かなる戦争」として出ている)はベトナム戦争から9.11貿易センター・ペンタゴン・Hハウス同時テロ直前までのアメリカ政治史をホワイトハウスを中心として再現したもので、政治ドキュメントであるとともに高度な政治心理劇でもある。

しかし、このような信頼に値すべきハルバースタム氏ですら至極無批判に、中国政府による南京大虐殺偽造キャンペーンを真実と思い込んでいるのが見られる。我々が歴史捏造キャンペーンの裏に隠された陰険凶悪な中国政府の意図を軽く見ているとしたならば、それは非常に危険である。

 上記著作の次の部分、

「セルビア人がボスニア国内で支配地域を次から次へと拡大して行く。その海の中でムスリム(イスラム教徒)が住む小さな島―それがこの三都市(筆者注:ボスニアの三つの都市スレブレニツァ、ゼパ、ゴラジュデのこと)であった。中でも、忌まわしい事件で名を知られるようになったのがスレブレニツァである。スレブレニツァは、ユーゴで過去三年の間に起きたすべての邪悪の象徴となり「悲劇の都市」として歴史に名を残すことになる。第二次世界大戦中、ナチスに抹殺されたチェコの村「リディツェ」、ソ連軍の捕虜となったポーランド人将校が虐殺されたロシア西部の森「カチン」、そして「中国の南京」(下線は筆者による、以下同じ)――スレブレニツァは、国家の命令により大量虐殺が行われたこれらの地と肩を並べることになるのである。」~(第二十六章)

このようにして我々の過去が、したがって現在も、世界から残虐犯罪敗北国家という烙印を押され、我々自身も自らを嬉しがってそのように規定しているのであるから、憎国集団日教組により洗脳された若い男女が、(ただし、sexに年齢制限はないのだから必ずしも若くなくても良いが)、子供を作って立派に育てようなどという気持ちになるはずもない。(彼らは必然「今ある人生を適当に楽しんで後のことは知らん」という気持ちになるからだ)

人気取りにお子様手当てなどをブン撒き続けても国の借金が膨張するだけで人口などは増えない。まさか月2万円くらいの金が目当てでわざわざ子供を生んで育てるという馬鹿はそうざらには居ない筈だ。

4. アメリカの謎

 

~アメリカの謎

アメリカは絶対者であろうとする。競争相手に対しては、これを凌駕しきって潰そうとする。同盟国に対してであっても容赦はない。

嘗て、ソ連との核軍備競争の時にしたように、大陸間弾道核ミサイル、核爆撃、潜水艦からの核発射、宇宙からの核攻撃、さらに宇宙からの迎撃ミサイルまでも手掛けてこれに対抗したソ連-(計画経済のために経済がうまく回らないソ連)-の国力を絞りきってしまった

アメリカは同盟国、属国にたいしては程々に、ということはアメリカの国力の、アメリカの戦力の、「補完としての最上さ」まではその発展を許容し、又はまたは催促する。しかし同盟国、属国がアメリカを超えて力をつけ、またはアメリカの支配の手から飛び出して独自の道を行き、アメリカの知らない技術、アメリカを超える技術を開発し、それを世界に普及し、新しい外交的冒険に踏み出し、自分たちの独自の能力や国際的な任務を拡大しアメリカの裏庭南アメリカを始めとして中東、ロシア、中国、その他あらゆる場所で独自の道を開拓することを許そうとはしない

ロシアはアメリカに対抗しようとする気持ちを執拗に持ち続けている。中国は明らかにアメリカの手強いライバルに成り得る可能性がもしかしてあるかもしれない。中東諸国を始めとするイスラム圏は長い間アメリカに対するくすぶった憎悪を密かに持ち続け、決してアメリカに従順な同盟国にはならない。フランスとドイツは独自の道を行こうとするであろうし、少なくとも今のところ、行けるだけの環境にあるように見える。何となればフランスもドイツも、ソ連が消滅してしまったので、アメリカの力による庇護が必要であるような厳しい国際環境の中にはもういない。

アメリカは中国、ロシア、イスラム圏そして下手をすると北朝鮮も交えた国々の核連合と対峙するようになるという筋書きもあり得る。

(中国は明らかにそのような筋書きを持っている。中国は1980年台に北朝鮮とイスラム諸国(イラン、シリア、パキスタン、エジプト、リビア、イエメン)の核保有を支援する方針を決定した。そして、技術と核物質をこの国々に対して渡している。

アメリカは一国だけの力で果たしてそれに耐え得るか。

アメリカの同盟国、属国に対しては次のように言っておかねばならない。「古来、属国の地位に甘んじていて末永らえ得た国はひとつもない。自分たちの国家自我遂行を自分の力でやろうとしない国が末永らえ得たという実例はない」ということを。

アメリカは自助努力を怠っている属国の利用価値がなくなれば、切り捨てざるを得ない場合には切り捨てるだろう。アメリカは自分に対等な同盟国関係を決して容認しない。アメリカはその同盟国をあくまで自分達の従兵に止めておこうとする。

そして、もしアメリカが衰弱する時、アメリカが空中分解を起こす時、アメリカの従兵共、属国共は・・・。

アメリカは、蟻の穿つ孔から雨水が浸透して、遂には城を崩壊させるに至ることが有り得るということを知っているであろう。アメリカの図抜けた世界差配力―アメリカはこれを防衛することにおいて攻撃的であり妥協がない。アメリカ城が崩れるとアメリカが世界から果たしてどのような反作用を受けることになるのであろうか。アメリカはこの予感に心の奥底では怯えている。アメリカはトップの座にあってもそのエネルギーが衰えることなく、トップの座を守るのみならずその差を拡大しようとし続けている。もしアメリカのこの執念が衰えるとき、もしくはアメリカの方法が(今でも大分そうであるが)アンフェアになり過ぎる時、アメリカの衰弱が始まるであろう。

➡アメリカの主体は白人種にある。理念としての自由も民主も平等もこの事実には勝てない。したがって、アメリカにおけるヒスパニックを初めとする非アングロサクソン系白人や有色人種と、アングロサクソン系に代表される白人種間の人口と権力の構成比が逆転するときにアメリカのIdentityクライシスが発生し、アメリカの衰弱が始まるであろう。

アメリカの白人達は、そのときになって彼等、プロテスタントの信条であるところの(信仰や人種に関する)自由と平等に対する彼等自信の忠誠心によって彼等自身が裏切られていた事を知るであろう。

アメリカのIdentityは多層的であり必ずしも一枚岩ではない。まず、メイフラワー号に乗って新大陸にやってきた人達(=WASP=White-Anglo-Saxon-Protestant)の原Identityが中心にある。この原始Identityに加えて更に色々な移民達の持つ夫々の原始Identity付け加わって岩盤層を形成している。

Waspに続いて後から参加した色々な国の人達の主要想念は常に(追想ではなくて)現在形である。即ち、強くて富める自由と民主の大陸にして海洋の国家、自分が今その国の一員であることの自覚と喜び。

多くの人達がこの国で色々な役割と地位とを獲得し、土地を所有し、その生存を投入している。

このようなアメリカの多層的原始Identityが集まってアメリカの主Identityを形成している。アメリカのIdentityが多層構造であること、アメリカのIdentity形成が現在進行中であること、この二つの特徴によって、アメリカが頻繁に行う独善的な、間違ったやり方に対して、アメリカの反応は多様であり、アメリカの一角から反論が湧き上がるのを見て取れる。

アメリカは思考と言論表出への抑圧に対しては極めて神経過敏に拒絶反応を示す。

もっとも、アメリカにおける言論表出自由への執着は、裏腹の、この自由を抑圧抹殺しようとする行為と、自由への衝動との間の荒々しい闘争によって成り立っているのだが。

実際、自由の国アメリカに於いて、過去における政府の所業の秘密を知る退職者、問題提起をする議員、アメリカ政府の暗部の盲点を追及するジャーナリスト、などがCIA、FBI、その他の謀略機関に手にかかって巧妙に不審死を遂げてきている。

「(注)1~アメリカ軍によるイラク人レジスタンス容疑者たちへの虐待が兵士の内部告発によって発覚し、この情報を米CBSテレビが報道した。

(2,0004.5月)

この報道をアメリカの政府も軍も抑圧することができなかった。報道によれば、食べ物を与えないこと、性的な辱め、殴打による自白強要、水攻め、睡眠妨害、裸にしておいて犬をけしかける、電気をかける、・・・などを米軍情報部隊や米中央情報局(CIA)が現地兵士(憲兵中隊の兵士達)に唆したという。この拷問法はイスラエルの軍や謀略機関が教唆し指導したものである。

(勿論兵士たちの中には大喜びをしてこの指令に従ったものが結構いたのであろう)

このような報道を認めるということは、短期的にはアメリカにとって一見、とても不利なことであろう。

しかし長期的に見ればアメリカに対する信頼を世界に植えつけることになるであろう。もしこの報道がなければアメリカ軍による逮捕者の虐待・拷問はもっと長期にわたり、もっと大掛りなものに発展したであろうからである。

(注意)~(その後、アメリカ政府はこのような拷問施設をアメリカ国外-例えば、南米や東欧の国-に移転させ、そこで相変わらず拷問を継続しているとも言う。)

*-この報道はおそらくアメリカ政府内における対イラク対策に関する方針と方法を巡る権力機関相互間の確執(たとえば「アメリカ国務省+アメリカ軍」対「国防省内や国務省内にいる、俗に言うネオコンサバティブ(新右翼)派」間の争いなど)があって、反ネオコンサバティブ派がリークしたものであろう。

なおそれでも、アメリカの報道全般が御用報道と化しつつある状態については別に述べる。

発端は一兵士の内部告発手紙によるものだ。

これにセイモア・ハ-シュという記者が着目して調べ上げた。一番の始まりは、ラムズフェルド国防長官が「テロ容疑者達には戦争捕虜の拷問や虐待を禁止するジュネ-ブ条約を適用する必要はない」と命令した事にあり、イラク駐留米軍のリカルド・サンチェス司令官も当然それを知っていたわけである。

このことは、逆にテロリスト達にも口実を与える。

「我々がやっていて、これからもやろうとしているようなことをアメリカ軍はやっているではないか」と・・・。セイモア・ハ-シュは次のように語っているという。「現在ではイスラム社会全体が、アメリカが倒錯社会だと思っている。これは由々しきことさ。性的倒錯というのが彼らの使っている言葉なのだ。我々はえらい面倒を引き受けてしまった。

我々はアメリカへの危険を増大させてしまった。

えらいことだ。」(~セイモア・ハ-シュ独占インタビュ-「捕虜虐待は米国の国家犯罪だ」~文芸春秋~2,004.7)

「(注)2~B.ウッドワードというジャーナリストによるブッシュの対イラク戦争に関するドキュメント「攻撃計画」が出版された。これはブッシュ政権による対イラク戦争の主導者達に対するかなり暴露的な内容を持っているのだが、当のブッシュ大統領を始めとする主導者達はウッドワードによる彼等への取材インタビユーにはきちんと答えている。」

「(注)3~マイケル・ムーア監督による、ブッシュ政権の利己的な陰謀や無能さを描いたドキュメンタリー映画[華氏911]がアメリカで大ヒットしている

尤も、この映画は多くの恣意的な編集を含んではいるともいう、しかし、私が見た限りヤラセという場面はないように思える。)

この映画はアメリカ政府に近いディズニー社が中立性への配慮を理由として配給を拒否したものを、別の会社が引き受けた。ブッシュ政権はこれに対して何の抑圧統制も加え得ない

言うまでもなく、もし、アメリカ政府がこの映画に、あるいは映画の制作者に何らかの目に見える抑圧や統制を加えたということが判明したとしたならば、ブッシュは失脚するであろうし、アメリカの親米国や同盟国もアメリカに対する信頼を失うであろう

アメリカ政府にできる事は、この映画の歪曲や矛盾や誇張を指摘し、映画制作者に対して訂正を求めることである」

「(注)4~米上院情報特別委員会が;04.7.9発表した報告書では、ブッシュ政権がイラク攻撃そのものを先ず規定方針にしてしまってから、それに都合の良い情報だけに耳を傾けてイラク攻撃に突入したが、フセインによる核開発疑惑からアルカ-イダとの関係まで、多くは間違いか誇張だったとしている。

同じ月に、超党派の9.11独立調査委員会と退役外交官・将校グループがブッシュ政権に対してノーと宣言した。」

「(注)5~華氏911のなかでブッシュがイラク攻撃を正当化する理由の一つとして次のように言っている。「フセインは私の父を暗殺しようとした」*-第一次湾岸戦争の後、ブッシュの父親がアメリカの大統領としてサウジアラビアを訪問した時にフセインが暗殺を指示したというもの-これはアメリカの大統領にしてはあまりにもふさわしくない言い方である。少なくとも次のように言うべきものである。「フセインはわが国の大統領を暗殺しようとしている人間である」」

➡アメリカのIdentityは回帰・帰属的ではなく、人々が己の命運をアメリカに投入して、今これから掴み取る事に依って獲得するような色合いのものに見え、固定的でなく動き続けようとしているように見える。アメリカの歴史は時間としては長いものではないが、経験としては決して浅いものではない。(ただ歴史が長いだけが能ではない)

アメリカの色々な人種の間で互いに埋め切ることが出来ないような激しい追想の溝があって、そのうちのあるものは敵対的でさえある。白人対有色人の対立、白人、有色人、夫々の内部対立において、夫々が祖先からの原始Identityを引きずりながら葛藤し、相争い、自由や公正や平等という理念からの分裂によって苦しみ続けている。しかしこの分裂、葛藤、闘争、が彼らの緊張(Tension)動機(Motivation)でありこれがアメリカの活性源である。彼らは自分達の原始Identityの主張をアメリカという主Identityの中で表現しようとして競い合う。

彼らは昔の祖先たちの国から受け継いだプライドを捨ててはいないのだ。

アメリカはWaspによる主導権保持を基底にして、その上に諸人種の居住権と国民権が自由に、そして機会均等的に保障されるという約束によって成り立っている。アメリカではヒスパニック系と有色人種系の人口の増加に比較して白人種人口の相対的な比率低下が始まっている。これが進展したときにアメリカの変質、アメリカのIdentityクライシスが訪れるであろう。だがアメリカの白人政治家がこのような心配を口には出せない。ヒスパニック達や有色人種、黒人種達の票が欲しいからだ。

アメリカのエリート達の非常に多くが、圧倒的に多くがアメリカへの移民に対して二重国籍を容認している。

アメリカ政府は移民に対して誓わせる筈の、

「かつての国籍に対する忠誠の完全放棄と、合衆国への完全な帰属と忠誠」(移民・国籍法)は死文化した。

現在、アメリカへの移民数上位20カ国のうち17カ国が二重国籍を認容し、推奨する。

何故かアメリカの政・官・知識人層の大半がリベラル派で占められていて、これを認めている。彼等はちょうど日本の知識階層の人たちが「戦争責任」という観念に対して極端に神経質な反応を見せるように、「差別」に対して異様な反応を示すという流れの中にいるかのように見える。

アメリカの知識層はまたアメリカの魂とでも言うべき英語を、アメリカの公用語として義務化する事を放棄し、夫々の集団化した民族が色々な国の言語を話し、子弟達が学校でその祖国の言葉で勉強することを推奨さえしている。

アメリカを導いてきたプロテスタンティズムの信仰、道徳、勤勉、という精神が自信を失い、溶解しつつある。(105ページ-参考2を参照)

現代アメリカへの移民(100万人/年以上)の殆はアメリカ人になりたくて、アメリカの政治や文化や、アメリカの、道徳・勤勉・自由・公正(ジャスティス)などの伝統精神やアメリカの国力に憧れてやってきているのではない。彼等の目的はアメリカがもたらす金儲けのチャンス、高福祉、そして、アメリカの社会に食い込んで、もと居た祖国に対するアメリカの行動を有利に導くこと、そして、なかんずくアメリカで稼いだ金を旧祖国に送金することが主たる動機である。彼等、二重国籍者群はアメリカの政策が彼等の原祖国の政治的・経済的な欲求に沿うよう力を行使し(それは主として選挙資金や票、寄付金やロビー活動、色々な宣伝、集団的な示威・世論操作・スパイ行為などによってなされる)、それによってアメリカの国家意思を分解し、アメリカの国益とは何であるかというその内容を空中分解させ、時にはアメリカとの長く続く同盟国との関係を裏切り、悪化させる。(*2008、米大統領選において黒人のオバマ氏が大統領になったことはアメリカが曲がり角に来つつあることを象徴的に表している。共和党のマケイン候補は、急増するヒスパニック系アメリカ人の投票がオバマに入ったため、元々が共和党の州であった三つの選挙区即ち、コロラド、ニューメキシコ、ネバダにおいて民主党のオバマに敗れてしまった

アメリカが進めているのはアメリカのIdentityへの統合とは逆の、移民たちのIdentity集団群への空中分解である。~(「分断されるアメリカ」サミュエル・ハンチントン-鈴木主税約-集英社-2004.5.31)

この空中分解が進んで、いずれアメリカの「自由世界の警察官」であろうとする情熱やプライドは消失するはずだ。

➡自由、平等、民主などという理念は所詮理念でしかなく、Identity(実存)そのものにまで実在化することはないのだが、理念を巡って葛藤する経験と追想がアメリカのIdentityにまで血肉として到達するのであろうか。あるいはもう到達してしまったのか。逆にこの建前がアメリカの分解を促しつつあるのであるか。-答えはその全てが同時進行しつつ互いに揉み合っているということだ

元々、Identityを解析し尽すという事は出来ない。人権、チャンスの平等、自由、民主などの理念そのものを自らのIdentityだと思い込んで見ても、それは白けたものでしかない。

Identityは無(断絶と虚無)に対抗する有(連続と生命)の表現でありその本質は盲目的なものである。

アメリカの自由や民主はアメリカの対外的な工作のための武器であり、アメリカの世界理念ではない。実際、アメリカは、自国に対して不服従であったり、反抗的であったり、民族主義的であったりする民主的な外国政権を、CIAなどを中心とする謀略機関によって追放し、アメリカにとって都合の良い軍事政権、独裁政権を傀儡政権として後押しする。

例えば、サウジアラビアの独裁貴族政権とアメリカの資本-アメリカの政治家達との結合がそれであり、

イラクのフセインでさえアメリカは一時期手なずけようとした(レーガン政権時代)

イランはかつてモサデクという民族主義者がイラン民衆の圧倒的な支持によって政権を把握したが、モサデクがイランの石油利権をアメリカの独占資本から取り上げて国有化をしたために、パーレヴィという人物を傀儡に仕立てて、国内暴動を喚起させ、このモサデクを追放してしまっている。

1954、アメリカの裏庭、南米大陸のグァテマラにおいて、アメリカは多国籍企業の利権を守るため、ヤコボ・アルベンス民主政権を、秘密暴力作戦を用いて打倒した。同じく南米で、チリのピノチェトが、アメリカの後押しによってサルバドール・アジェンデ民主政権をクーデターによって追放させ、軍事政権を樹立した。

逆に、イラクやイランのようにアメリカに都合の悪い独裁的な体制がアメリカに歯向かう-そのときに限り、アメリカは自由の使者として振舞う。

即ち、自由はアメリカにとって、自分達の存在基盤ではあろうとするが、他国に対しては他国に対する内政干渉のための武器、ないしはアメリカの自己主張や利益獲得のための理由付けとして作用する。

アメリカは世界の中に反自由、反民主が存在するのを必要としている。何となれば、それを叩くことがアメリカの存在理由であり、アメリカの戦争経済政策でもあるからである。

公正(Justice)に対する葛藤がアメリカのIdentityの一部を形成する。人間はどうしようもなく差別衝動によって生き、差別衝動によって向上さえもする人間において差別の衝動は動物達と比べて桁違いに発達した。(これが進化というのであれば進化には違いない。)アメリカはこの差別衝動と公正への衝動との間で引き裂かれ葛藤苦悩してきた。そしてこの葛藤を見捨ててしまえばアメリカのIdentityが崩壊するという事を本能的に知っている。だがいうまでもなくアメリカは差別社会なのであり、差別が導く所のポテンシァルエネルギーと葛藤とがアメリカから消え去ることはない。

アメリカには大金持ちの貴族階級が存在する。アメリカの大統領はこの階級のうちのwasp=白人-アングロサクソン-新教徒=White-Anglo・Saxon-Protestant-の中から選出される。それ以外の人種の人間がアメリカの大統領になると-(カトリック教徒のアイルランド人J.F.ケネディのように)-暗殺されてしまうのである。)

[アメリカの貴族階級=青い血(ブルー・ブラッド)-の子弟は勿論公正と勇敢とを示すために一度は従軍をするのだが危険な前線に行かされることは通常ない。危険な実戦部隊の戦闘員のすべてはヒスパニック、黒人、移民、そして貧乏な下層階級に属する白人達であり、その上にウエストポイント卒の士官-その多くは白人である-から上の階級がいて統率している。]~(副島隆彦~「大統領の茶番とネオコンの分裂」~正論;04.3)

もし、アメリカのエリート層がこのような卑劣なざまであり続けるならば、アメリカは必ず、そして確実に衰弱し没落してゆくであろうアメリカの大統領はクリントンもジョージ・W・ブッシュも兵役から逃げた卑怯な人間である。このような人間達が政治の頂点に立つと、どうしても軍隊と軍隊経験者に対して引け目を感ずることになり、軍に対してしっかりとした文民統制ができなくなる。軍に言い負かされたり軍サービス政策を行ったり、逆に非常に強がったりし始めるのだ。

*-(2004.9.8元テキサス州上院議長のベン・バーンズはCBSテレビの報道番組「60ミニッツ2」に出演して、青年時代の現アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュをはじめとする強いコネを持つ若者がベトナム戦争に出征しないで済むように州空軍に圧力をかけたと証言した)

アメリカが行う戦争の変質は、

アメリカが嘗ての日本やドイツとの戦争のような「自分の戦争」をしなくなった事

(=アメリカの戦争が、経済政策としての戦争、娯楽戦争、選挙対策戦争、言い掛り滅多打ち戦争、などになった事)

▶兵器の発達により滅多打ち皆殺しが可能になった事

▶高貴な階級の責任という伝統が失われつつあること~したがって、危険負担(=最前線の戦闘)をマイノリティ人種や貧困層階級、あるいは傭兵、などが担うようになった事

▶自国民兵隊の死の意義が見出せず、しかも民主制の為に犬死が極端に忌み嫌われる事

▶以上に述べた全ての要因が、全て互いに原因と成り結果と成り合うようにして絡み合い、結局アメリカの戦争は大儀の無い無差別民間人滅多打ちという様相を呈することになり、シビリアン(政治家)は無責任に戦争を開始し、兵隊の徳義も志気も喪失した

▶したがって、アメリカの戦争は、アフガニスタン戦争やイラク戦争で見られるように、原住民がアメリカに背き、アメリカを憎悪するに至る為に、レジスタンス兵が原住民の中に受け入れられ、その為にピンポイント重点攻撃といっても非常に多くの巻き添え殺戮、無差別殺戮、誤爆撃などを伴わざるを得ない。それでも昔なら密室的な無差別皆殺し殲滅が出来たのだが、今は幸いに時代が変わって、情報がグローバル化した為に、そうする事も幾らかは難しくなった。

➡アメリカの三大財閥はロックフェラー、モルガン、メロン、であり、彼等はその金力と知能とを持ってアメリカの政治を支配しているのだが、彼等の第一標的は彼等の「財産の保全+財産の膨張」であり、アメリカの国益はこの第一標的に従属する。

従属することの意味はこうである。

ⅰ.アメリカの国益と彼等の第一標的が合致するときにはアメリカの国益を追求する

ⅱ.アメリカの国益と彼等の第一標的が衝突するときにはアメリカの国益を無視する

ⅲ.彼等が第一標的を達成する為に都合の良いようにアメリカの国益が作成される

しかし、一方において、アメリカの富豪に対抗する勢力がアメリカの議会や、東部エスタブリッシュメントや、ジャーナリスト達の中から必ず現れて、敵対する。先物買いをして、国を挙げて勢力に便乗し、全国的に靡く、ということはアメリカにおいてはない。(少なくとも今迄はそうである)

➡アメリカは何を放棄し何を堅持するか-それを弁別する。アメリカは堅持すると決めた分野で首位に立とうとする。そして首位に立っても決して手を緩めようとはせず、リードの差をもっと広げようとする強いエネルギーを持つ。そしてライバルに対しては残酷に押し潰そうとする。その荒々しいエゴイズムには時として世界中の人々が驚かされたりする。

アメリカはエネルギー、食料、国家暴力、金融、そして科学テクノロジーの各分野について世界をリードし続けようとしている。アメリカは第一人者が常に持つところの警戒心と嫉妬心を、アメリカ以外のあらゆる国々に対して持つ。

➡アメリカは地球温暖化防止のために先進諸国が、その石油エネルギー消費量を一定比率で互いに削減しようと約束し、それを協定にしようという試み-即ち、「京都議定書」協議から離脱してしまった。

これはアメリカのエネルギー産業を支配するコングロマリット(=Conglomerate=巨大複合多角経営企業体)が自分達の商域を守ろうとしてアメリカ政府を動かし、京都議定書協議からの離脱を行わせしめたものである。(CO削減率国別割り当てが、EUの策謀に嵌って非常にに不当決定されてしまったことも理由の一つだが

アメリカの石油消費量は年間70億バレルと、世界の22%を占めていて、これがアメリカの持つ、巨大消費力という世界経済牽引機能の為の、原動力の一環になっていることからも、アメリカは地球が抱えるこの厄介な問題に背を向けてしまった。地球温暖化という急激な切迫性~(今しかない!)~というものがどの程度に本当であるのかは、現時点においは完全には分からない。しかしそれ故にこそ、取り敢えず今、100%の切迫性を仮定して行動しなければならないものと考えなければならない。

この問題は地球上の国々が夫々の利己的な制約を越えて何かを成し遂げ得るものか否かを試される事例第一号なのであるが、人工国家アメリカがこのような試験に耐え得ない限界を露呈してしまった。

この事件は、彼らが言う人権、自由、公正、責任、などというイデアなるものが、自国の利益と、そして自国の利害内部調整とを専らとしたもので、究極的には彼らは自己本位に振る舞い、簡単に地球全体の緊急的な危機回避の必要などを見捨ててしまう集団に成ってしまう可能性を持つ事を示している。

さらにアメリカはヨハネスブルク(南アフリカ)で開催中の環境開発サミット会議において決議しようとしている太陽光利用など再生可能なエネルギーの利用比率を2,010年までに世界全体で15%にまで持って行こうという数値目標設定にも反対した。反対理由は、勿論アメリカコングロマリットの商域(石油利権)保守のためだ。しかしアメリカのコングロマリットはむしろその権力を再生可能なエネルギー産業分野の発展のために注いだほうがもっと利口である。

このようにアメリカの民主制の背後にもっと根底からアメリカを動かしている、法外な経済力を持つパワーが存在しているのであり、アメリカの民主主義的人民はこの法外な経済力パワーが自分達の利益(エゴイズム)に合致していると思っており、それ故にこのパワーを受け入れ、歓迎し、このパワーに協力する。

アメリカの世界的な軍事展開への欲望もまたコングロマリットの利益と合致している上にアメリカ人の持つ力の感情と経済的利益を満足させることによってアメリカ民主主義の支持の下にある。コングロマリットはアメリカの議会と政府をその財力を以って支配し、彼らの一員たちをアメリカ政府や議会に送り出し、そして、送り出した政府高官や議員達を再びコングロマリット企業に呼び戻す。

*-(ブッシュ政権を例にとれば、政権の高官になっているエネルギー産業関係者(勿論、重役級の人々だ)は21人いる。武器産業の関係者は32人である。兵器産業全米トップであるロッキード・マーティン社からは8人、同社の役員としてチェニー副大統領夫人が;94から;01年まで勤めていた。

ロッキード・マーティン社は;01~;02にかけて米国防総省から300億ドル受注し、その政治献金額は約237万ドルで、民主党へ4割、共和党へ6割と、そつなく配分されている。国防長官であるラムズフェルドはロッキード・マーティン社と系列的なシンクタンク「ランド研究所」の理事であった。)-

兵役はアメリカの下層市民達の有力な就職先であるから、アメリカの世界的な軍事展開はアメリカ人の雇用を創り出している。兵器の消費と兵器の輸出とはアメリカの経済を支える有力な手段である。

アメリカの自由、人権、公正、というイデアは当初、アメリカの支配国イギリスに対する抵抗から、そして自分達の新しい統治のための必要から白人種が自分達のために採用した理念である。

実際、開拓時代に、親切で純真であった原住民達(Native-American)から土地を騙し取り、彼らを皆殺しにした上、更にアフリカから黒人を狩り立てて奴隷にしてしまった、そのこと自体が今では自由と人権の前で示しがつかないでいる。

今でも心の奥深い所で自由と人権は白人の為のみのものだ。

アメリカは20世紀の全期間を通じて、アメリカの財閥資本のために、南米諸国の民主化を敵視し、独裁政権を支持し続けてきた。

そして、アメリカの息のかかった軍隊や特殊警察や情報機関を操り、自由市民たちやそのリーダーを殺戮し、デモ隊に対して無差別銃撃殺戮の謀略を実行し続けてきた。

その理由は、南米諸国が自由化すれば、必然、アメリカの巨大資本産業による南米の資源や市場支配に対する反抗が発生すると読んで、それを恐怖したからである。

実際、南米に、自由選挙により、自称民主、反米左傾政権が次々と出現して、アメリカの恐怖は現実のものになりつつある。

(ベネズェラ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、ボリビァ、ニカラグァ、グァテマラ)

アメリカが日本とドイツとの戦争に勝利したときに、自由と人権の勝利だと思ったか否かは知らぬが

(*-自由な精神と人権の適度な尊重とを抑圧しすぎる体制は戦争にも決して強くは無かったということは事実であるが-)

アメリカの自由と人権なるイデアは、支配や介入のための言い掛かりの道具であり、更に、内政上の統治権力正当化の根拠でもある。しかし、自由と人権とが絶対化して、それ自体が人種混合国家アメリカの血肉(Identity)に成りきることは無い。もしそうなってしまえばアメリカが空中分解してしまうであろう。

(注)~アメリカは国際刑事裁判所に関するローマ規定

(=ICC=International-Criminal-Court=大量殺戮の罪、侵略の罪などを犯した個人を裁く常設の国際裁判所設置とその活動に関する取り決め)

への参加を拒否し、この裁判所に対する相手国民の訴追と、訴追された相手国民の国際裁判所への引渡しをお互いにしないようにしようという二国間協定を色々な国に対して持ちかけている。

このことは、アメリカが、アメリカの、世界の警察官兼世界の裁判者としての地位と体面を固く守ろうとしていることを示す。何故ならば、国際的裁判官(=アメリカ人達)が国際刑事裁判などにかけられては非常にまずいからであり、更にアメリカが、時にはこのような戦争犯罪をなし得る可能性を持つという事をアメリカ自身が知っているからでもある

➡アメリカの民主主義的作用の一般化―民主制下における巨大プロジェクト執行意思の多くは民主制から直接に出てくるものではなく、民主制の背後にあるもっと非合理な意思から出て来る。しかし民主制は、この非合理な意思に屈服し、歓迎し、審査し、修正し、方向を指示したり変えさせたりする。

民主制は、非合理な意思を、新たに自分達自身の本来的な意志であるかのようにさえもしてしまう。

➡アメリカ人の中に「反復強迫」があって、これが、アメリカ白人達が持つ皆殺し癖の原因であるという心理学者が唱えた学説がある。即ち、アメリカ大陸開拓時代の彼らのネイティブアメリカン(インディアン)皆殺し体験~それが原罪意識としてアメリカ人の中に沈積しており、その反動により、あの行為は神が命令するところの神意の執行であると僭称する意識があって、それが「反復強迫」と言う形で現れ、似たような状況に立ち至ると又皆殺しをしなくては良心が休まらない。何故ならば、神の思し召しをあの時は実行したのに今回は実行しないとしたら、さてはあの時の事も真っ赤な犯罪でしかなかったのではないか?・・・かくして、アメリカは己の正当性を己に信じ込ませるために、戦争の時、皆殺しを実行し続けないと建国の正当性を失う不安に苛まれて皆殺しを反復するのだと云う。

それにしては昔のアメリカ西部劇映画の中で無数に見ることが出来た英雄的ガンマンたちによる「悪魔のようなインディアン部族」退治のシーン

-(彼らインディアン達はホッホーと掛け声を上げながら騎馬に乗って殺到し、白人達に向けて弓を射る)-

そして何回と無く波状攻撃をかけてきては白人たちに銃撃をされて全滅し、かけてきては全滅して、遂にはインディアンの一部族が絶滅してハッピーエンドすると言うシーンなのであるが、あれは「反復強迫」というよりは「反復快楽」というに近い感じのものであったと記憶する。

東京空襲の時には、まず住民を火で囲い込んで逃げられないようにしておくために、空襲対象区域の周囲を囲んで焼夷弾を落として、周りが火で包まれてから区域の中を焼いて皆殺しを図ったのだが、そのときの悪魔的な残忍さの中に「自己正当性への不安」などというナイーブな陰影が全く感じ取れない。

長崎、広島への原爆投下に際してアメリカは、色々な時間帯を選考して、最も効率的に焼き殺せるよう、多くの人々が戸外に出ている時間を考慮し、さらに

爆撃機が一度上空に出現して人々を一旦防空壕に非難させておいてから上空離脱をして油断をさせ、警報解除を待って、人々が安心したところに襲い掛かって原子爆弾を投下するというやり方をしたのだが、ここに「反復強迫のおののき」などという殊勝なものがあるとは思われない。

       (注)1~ヤルタ会談-(アメリカのF.ルーズベルトとイギリスのチャーチル、それにソ連のスターリンがヤルタ島で会談した)-で、これから予想される日本本土上陸作戦にソ連も参戦するものとし、その期限はドイツ降伏の三ヵ月後(1,945.8.8)と密約したが、ルーズベルトの急死後に繰り上がってアメリカの大統領職に就いたトルーマンは、ルーズベルトが創設した「原爆投下についてのアメリカ政府臨時委員会」による規定のコースに従って、

ⅰ-日本への早期の原爆投下。

(このことによってソ連による対日本戦参戦に伴うソ連サイドの手柄と分け前を出来るだけ減らそうと目論見た。)

ⅱ-原爆は二重の標的(A Dual Target)に対して投下される、即ち、一般家屋に囲まれた軍事施設ないしは軍需工場に対して投下される事、・・・もっと判り易く言えば軍事的なものを狙う振りをしつつ、一般家屋とその住民に対して原爆の破壊力を実験しようとすること。

ⅲ-そのためにこの兵器の特質について予め日本に警告を与えることなく投下すること。

~という残忍な三方針を決定した。

アメリカの陸海空軍の各司令長官達は、「日本の降伏はもう目前にあり、日本本土上陸は従来の戦法によって十分に可能である」として、今ここで原爆を投下することに対しては否定的であった。

(*-スチムソン陸軍長官、フォスタレル海軍長官、マーシャル参謀総長(陸軍)、キング軍令部総長(海軍)、他には文官ではグルー国務次官などの人々がそれである。)

しかしアメリカの大統領以下のシビリアン(文官)達が、その政治的思惑と功名心、それに加えて戦争終結後におけるアメリカのヘゲモニー確保、そして大規模な人体実験への誘惑、などの動機に駆られて原爆投下を軍の頭越しに計画し、実施したものであり、極東方面軍司令官のマッカーサーなどは、このマッカーサー抜き、マッカーサーの頭越しの原爆投下によって日本が降伏してしまったから、自分の今までの作戦をすべて否定されたように感じ、屈辱と怒りで一杯になったのである。~注(1)終わり

           注(2)~第二次大戦後、アメリカはソ連に対して核攻撃をしようとする気持ちが高くなった。

1948年、米統合参謀本部による研究報告に、70発の原爆をソ連に投下しようというものがあった。この計画は断固としてためらいのないものであったが、翌年の8月、ソ連が水爆実験に成功したため、核による一方的破壊という希望が閉め出され、その代わりに相互破壊という恐怖がアメリカのエリート達の心の中に衝撃を与え、対ソ核攻撃に対する欲求は急激に凋んでしまった。

(参考-桜井春彦~「テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない-第一章」~三一書房~2005.9.11)~注(2)終わり

アメリカは朝鮮戦争の時、核兵器を使って北朝鮮軍+中共軍を殲滅しようと主張する極東軍総司令官マッカーサーを罷免してこの衝動を退けた。

アメリカは対北ベトナム戦争においては、皆殺し戦力(核兵器)の発動をセーブして、北ベトナム軍とベトナムコンミューンゲリラ(べトコン)を生殺しにして活かし続け、却って自分が火傷を負う形で手を引いてしまった。

(このときは中国とソ連を相手にしてしまうことを恐れたためでもある)

その後アメリカはアフリカのソマリアにおける内戦制圧のために出兵したが、米兵18名が惨殺されて、その死体をソマリア人達が縄で引きずり回して喜んでいたにも拘らずから、お返しの大虐殺を食らわそうともせずに撤兵してしまった。アメリカは第一次、第二次の対イラク戦争やアフガニスタンにおけるタリバン征伐などにおいて、曲がりなりにも一応はピンポイント爆撃などをして一般人の巻き添え殺しをなるべくしないようなポーズは取っている。

多分アメリカの「反復強迫症」は元々そんなものはなかったのか、あるいは何故か自然治癒してしまったかした模様である。 

アメリカは移民による人種混合の人口国家であるから()に標的を創造してこれと戦い、もってIdentityと団結とを不断に確認し続けなければならない。そのためにアメリカは絶えず戦争を欲し、戦争に熱狂する国民総右翼国家だという学説(?)。

~しかし、アメリカに限らず地球上のあらゆる国家国民は、「負け知らず、敵皆殺し味方の損害少なし」とあらば、国民総右翼好戦国家に成り得るものであろう。(その例外というものを我々は見た試しがない)

アメリカが戦争に熱狂したのは、

▶建国の過程における内乱(南北戦争)

直接攻撃を受けてアメリカ人全体が憎悪と復讐の念に燃えた時(対日本戦、9/11テロに対する対タリバン戦?)、

国対国が直接一対一で真っ向衝突をしたアメリカにとっては比較的稀なケース(対イギリス独立戦争、対日本戦争など)、

▶一方的に正義の滅多打ちをしたという、とても幸福なケース(対イラク第一次湾岸戦争、ボスニア戦争)

などの場合に限られていて、そしてこの場合に観察されるのは、具体的なな事情があっての熱狂であり、Identity確認のための哲学的熱狂などではない。

ベトナム戦争のときのアメリカはどうであったか。対ベトナム戦争に従軍した兵士の体験によればこうである。

[私はもう疲れていて、家に帰るのだと心を切り換えようとしながら太平洋上空でほとんど寝ていた。充分・・眠った後、目が覚めた。・・・光の中でカリフォルニァの海岸線と丘陵が見える。乗客はどよめき始め起きる。暁とアメリカが同時に見える。二重の壮大さには畏敬にも似た美しさがあった。・・・サンフランシスコは恋する夏だった。ぼろ服、長い髪、カラフルなビーズの首飾りにサンダルばきのヒッピーたちがいた。私は彼らを見た。彼らは夏季用グリーンの制服に略綬、バッジ、階級章をつけた私を見た。平和の印をペンキで書いたフォルクスワーゲンのバンがいくつかあり、街頭ではハシッシュ、マリファナ、LSD*-幻覚剤のこと-が流行っていた。・・・私は誰にも話しかけず、誰も話しかけてこなかった。・・・私は707に乗り、・・・スーツを着た若いビジネスマンの横の席についた。前には二人の大学生くらいのかわいい女の子が座った。・・・ビジネスマンと私は話し始めた。会話は丁寧でごく一般的な内容だった。すぐに前の二人の女の子もこっちを向いて色々話始め、みんなで話していた・・・冷たいものを飲み、リラックスしてくるとちょっとした会話が大きなことになった。私はベトナムから帰ってきたばかりで、休暇でうちに帰るところだと話した。

「ベトナムにいたの?戦いで?」女の子の一人が聞いた。

「昨日戻ったばかりなんだ」私は言った。

「どのくらいいたの?」

「一年くらい」

「戦いに行って人を殺してたの?」

彼女の人を殺してという言い方にはとても間違った響きがあった。まるで私が楽しんで殺したか・・・のようであった。私は適切な答えを探していたが、二人の女の子は向こうを向いてしまいそれ以上話さなかった。

しばらくの間私は理解できなかった。ビジネスマンも顔を下に向け、雑誌を読み始めた。・・・サンフランシスコの公園で抗議する人間やヒッピーたちは見て来たばかりだが、乗客たちは普通の人間に見える。ベトコン*-ベトナムコンミュ-ンゲリラ兵-の旗を振っていた頭のいかれたやつらとは違う。何てことだ。世の中そんなにひどいのか?

私は立ち上がり、ビジネスマンの前を通してもらった。彼は表面的な答えを返した。

通路の先の空席の列に行って、一人で座った。私は混乱し、傷ついていた。

スチュワーデスが私に気付いて寄って来て、飲み物をすすめた。

「大丈夫ですか?」彼女は言った。

「平気です」私は嘘を言った。私は女の子とビジネスマンの所に戻って、北ベトナム軍が火炎放射器で焼き打ちした村のことを話してやりたかった。我々が埋めた餓死した赤ん坊のことやたくさんのことを話してやりたかった。だが、しなかった。彼らはベトナムのことを本当に知っている訳でもないのに堅固だった。私の言うことを聞こうとしないだろう。言えば彼らの先入観を乱し、すぐに私は声を張り上げたろう。そうなったら自分をコントロールする自信がなかった。・・・](「ザ・ラープ」~byフランク・キャンパー~高橋和久訳~1,990-5~並木書房

ブッシュ(二代目)政権が今(2002.8月)イラクを攻撃したくて躍起になっている。だがアメリカの国民はそうやすやすと燃えてはくれない様子である。

米国民「イラクに地上軍派遣反対」が倍増

[米CNNテレビなどが二十二日発表した世論調査結果によると、イラクのフセイン政権打倒に向け、湾岸地域への米地上軍派遣を支持する米国民は五十三%で昨年十一月時点の七十四%から大きく減少、逆に反対は四十一%と同二十%から倍増したことが分かった。又ブッシュ大統領の支持率は六十五%と昨年の同時テロ以降同調査で最低となった。

ドイツなどの同盟国が攻撃に消極的な姿勢を表明。国内でも攻撃の際に多数の死傷者が出る懸念や攻撃後のイラク復興などをめぐり慎重論が広がっていることの反映と見られる。又同盟国数カ国が支持する状況下でイラクに地上軍を派遣すべきだとした人は四十七%、単独でも派遣すべきだとした人は二十%に過ぎなかった。(ワシントン=共同)]

(;02.8.23~日本経済新聞)

勿論、国際社会がイラク叩きに追従し、そしてアメリカが自国兵の死傷数を非常に小さいものと見積り得て、イラクを一方的に滅多打ちが出来るものと見積り得るならば、アメリカ人達は正義と力の感情によって燃え上がるかもしれない。それは丁度アメリカならず、すべての国々の国民がそうで在り得るようにである。(追記);04.4・・・アメリカはフセインを追放した後の、イラクの内政を樹立することがまだ出来ない。イラクの国内でアメリカとイラク人武闘派が内戦状態に入っており、一般のイラク人民はアメリカに対して激しい憎悪を感じているのだが、これは一朝一夕のうちに発生した憎しみではない。しかしアメリカの人々はブッシュを支持している。アメリカがここで引き下がってはならないと感じているからだ。

➡アメリカ-アングロサクソンには選ばれし者の使命感が存在する。

アメリカが行使する奸計、策謀、大量殺戮、略奪、その他もろもろの悪い手段は、アメリカ白人種が持っている使命感に裏付けられており、そのためにすべての利益は白人種が独占し、その為に何をやっても神が彼等の味方にある。

「我々は多数であり、富を力とし、至上の活力を持つ。最良の文明、至高唯一の宗教(=キリスト教)、それらを我々が担う。我々アングロサクソン民族は人類制度の師表であり、特別に進取的であるように創られているから地球は我々の繁栄のためにある」

(ジョサイア・ストロング~「我が国」~1,885)

「我々は神が与えた統治能力により野蛮人や遅れた人種を統治する権利を持つ。中でもアメリカ人がそのチャンピォンとして選ばれた。我々は世界を救済する」(「アメリカによるフィリピン領有の根拠」~アルバート・ビバレッジ、アメリカ上院議員~1,898)

いずれも古い時代の文章からの引用であるが、現代でも本質に全く変わりはない。ただ、最近は遠慮して、あからさまに口に出さなくなっただけの事である。

このようにして、時には言い訳として、又、時には信念として、あるいは使命感として、又、場合によっては強欲と自惚れのための原動力として、彼等の信念が作用し、彼等自身と彼等を取り巻く世界とを振り回す。

~アメリカの手段

➡アメリカの政・軍・産・複合体の手順はこうである。

a.相手を設定する。設定基準は、

⋆経済的な利得に対する障害の除去-(例~2,001.9.11の同時多発テロは、アメリカのコングロマリット、ユノカル社が企画したアフガニスタン経由のカスピ海~インド洋間の石油パイプライン設置を拒否したアフガニスタンのタリバン政権に対するアメリカの征伐戦争に絶好な口実を与えた。)

⋆親アメリカ政権を作るために今の政権を転覆させる必要があるとき-(例~イラク征伐)

⋆仮想敵国であるとき-(例~太平洋戦争のときの日本)

⋆侵略目的-(例~スペインの植民地であった、プエルトリコ、グァム、フィリッピン、キューバなどを狙った対スペイン戦争、メキシコ領のテキサスを狙った対メキシコ戦争など。ただし、少なくも今のアメリカは、領土的な侵略精神を持ってはいないように見える)

⋆武器消費、経済政策としての戦争-(例~朝鮮戦争、ベトナム戦争、第二次イラく戦争)

b.相手に斬りつけさせるように仕向ける。

(そのための謀略と情報操作、情報偽造が行われる。)

このような場合、アメリカは自国民の犠牲などにも無頓着である。

*-アメリカの軍産複合体は、ベトナム戦争時に、アメリカ軍制式銃M16の使用する火薬に、経済上の理由(要するに在庫品一掃のことだ)から古い火薬を供給し続け、そのために戦闘中のM16が非常に頻繁にジャミング(弾詰まり)を引き起こしてそのためにアメリカの兵隊が余計な無駄死をしてしまったが、軍産複合体は古い火薬の供給を続けた。

アメリカの政・軍・産・複合体は貫徹力の強い劣化ウランを弾頭に使用した劣化ウラン弾を湾岸戦争中使用し、その放射能のためにイラク人のみならず、アメリカの兵士たちにも放射能被爆による白血病や肝臓傷害が多発した。しかしアメリカの政・軍・産・複合体はその因果関係を認めようとはせず、ユーゴスラビア紛争や、今回のイラク攻撃にも使用している。-

c.これで大義名分が出来て戦争をする。

アメリカの拠り所は、アメリカ人の始祖たちが新大陸に使命を帯びて上陸したときの感情-即ち、我等こそが世界を先導するのだという気持に他ならない。敵に不自由をすることはない。何となれば皆殺しをし続けることによって新しく敵対の芽を育て続けているからである。この過程を繰り返し続ける事~即ち、周期的に戦争をして蓄積した暴力エネルギーを放出する事によってアメリカはチャンピオンであり続けようとする。

アメリカの戦争衝動の本質は、力の過剰によるその発散衝動である。アメリカの戦争理由は朝鮮戦争やベトナム戦争における共産主義膨張阻止などのように正当な部分を持つことも少なくない。

又その努力と犠牲と功績は大きい。しかしアメリカの戦争理由そのものを裏付けている最も基本的な原理は、力の過剰と発散衝動であり、そして力の過剰によって自らが自らにもたらす所の原罪の恐怖である

*-アメリカの議会は、アメリカの行うイラク攻撃に関する一切の決断をブッシュに委任するという決議をしたが、このようなアメリカがする決定の、すべての根底には、アメリカの「力の過剰意識」が存在している

➡分断工作-アメリカは中東ではイランとイラクとに武器を供与して相争わせ両方を疲弊させたが、その後イラクに肩入れをしてイラクに武器を密輸した。しかし、強くなったイラクがアメリカの従順な従属国にはなりそうもないと知ったアメリカは、クエートを焚き付けて、OPECの石油生産量規約を破ってまで隣国イラク領の奥深く迄地下石油を盗掘採取させておいて、S.フセインの怒りを誘い、フセインをしてクエート侵攻を決意させ、それを知りながら、イラクのアメリカ大使をして、イラクに対して「イラクがクエートに侵攻してもアメリカは関与しない」と言わせて、フセインのクエート侵略を誘い、それを好機として、たちまち「アメリカはイラクのクエート侵略に際しては何の関与もしない」と言う前言を軽く覆して、「イラクを叩くべし」という主張を展開し、国際世論を誘導し、

*-(フセインが、クエート領にある石油のパイプラインを破壊した為に、アラビア湾に石油が流出して、深刻な環境汚染をもたらしたというデマとともに、原油まみれに成った悲惨な海鳥の写真が世界中に報道されたが、これが実はアメリカの謀略偽造写真であった。アメリカは対イラク戦争勧奨のために専門の戦争宣伝会社に委託してこのような写真を世界に撒き散らしたのであった)-

国連安全保障理事会を利用してそのイラク征伐決議を得、遂にアメリカ軍を主力とする連合軍を編成してイラク征伐をおこなった。

アメリカはこの戦争によってイラクとその周辺地域における軍事拠点を確保し、クエートに次いでS・フセインの次の侵略の標的と目されるサウジアラビアを従属国化し、この国の石油産業へのアクセスを確保し、加えてサウジに対する米軍の駐留を常態的に権利化することを考えていたのである。

しかしアメリカは第一次イラク戦争に関しては国際社会の承認と協力を得ることに腐心し過ぎたため、フセインをクエートから駆逐した段階で、イラクの石油支配にまでは踏み込み得ず、竜頭蛇尾に終わってしまった。国際正義と国益を両立させるゲームは、そう簡単な事ではなかったのである。

(その反省からこの度の第二次湾岸戦争におけるアメリカの独自強硬直接イラク侵攻路線が出てきたのである)

全世界への映像放映で有名なピンポイント爆撃がアメリカ軍の圧倒的なメイン戦法で、クリーンなWarなどと持て囃されたが、実際にはピンポイント点を含む周辺を一括して劣化ウラン弾が破壊してしまったり、あるいは、単にピンポイントとおぼしき地点に間違って劣化ウラン弾が炸裂したりしたから、一般イラク人民の死傷者は十万人を越えるものとなった。かくして戦争は殆ど連合軍の一方的な制裁に終始して、この戦いはクエ-トの開放により終結し、アメリカはサウジアラビアに常駐軍事基地を獲得するという成果を得たが、サウジアラビア人の米軍駐留に対する反感が物凄く、これが結果してオサマ・ビンラ-ディンが主導するアルカ-イダ組織の台頭を促進してしまった。しかしイラクに親米政権を造り、これを操縦し、もって中東の政治的安定と対西側協調的な石油の安定供給体制を確保するというアメリカのもう一つの目的は見送られた。それはイラク北部にいるクルド族の扱いを含んで、フセイン後のイラクの安定を保障する権力樹立の見通しが全く立たなかったためであり、この難題は2,002年のブッシュ(息子)によるイラク征伐においても課題を妨げるガンとして残っている。

アメリカがなぜ中東の分裂を図るのであろうか。

一つはイスラエルの安全保障のためである。

もう一つはアメリカ石油メジャーの利益保全のためである。アラブの結束はアラブの力を高める。それはイスラエルにとって脅威である。

中東産油国の結束は、彼らの権利意識を高くするであろう。彼らは石油の生産量、販売価格、販売先を自分達で自由に決定し、オイルマネーの使途も自分達が自由に決定しようとし始めるであろう。

彼等は石油主権を自分たちの手に取り戻そうとするであろう。しかし、現実はアラブ圏が一枚岩どころの騒ぎではない。レバノンはシリアに頭を押さえられている。シリアとイラクはアラブ圏のリーダーの地位を争っている。アラブには石油を除けば産業らしいものが育たない。独裁者や王族が石油の売上金をすべて巻き上げて、人民には回さず、欧米の金融業者を介して欧米に投資され、あるいは欧米からの兵器輸入代金として支払われて、その結果、欧米が産油国に支払ったオイルマネーが欧米に還流している。アラブの政治は腐敗しており、真の民主制国家は一つもない。クエートとイラクの仲が悪い。イスラム教徒達はシーア派とスンニ派という二つの派に分裂している。

*-イラクに進駐しているアメリカ軍に対して抵抗しつつある間、シーア、スンニ両派の共闘体制が組まれたりしている。しかし、アラブ人達が自立して自分達の運命を開拓し始めようとするや、又この宗教的な分裂が息を吹き返して、イラクやレバノンなど宗教的な分裂地域は、難産を強いられるであろう。-

サウジアラビアの貴族階級の顔(はアメリカを向いているのだが、人民は憎米的だ。パレスチナ人はシリアやヨルダンでお荷物扱いにされている。

1,982年にはイスラエル軍の手先と化したレバノン軍がパレスチナ人を二千人以上も虐殺した

(これを指令したのが当時のイスラエル国防相で、今のイスラエル首相のシャロンだ。)

エジプトのサダト大統領は第三次の中東戦争でイスラエルに取られたシナイ半島の変換と引き換えに、独りさっさと対イスラエル和平に調印してしまった。(尤も、それが原因で後には暗殺されてしまったが)

-極東においては日本を孤立させてアメリカに惹きつけて置くために、CIA、嫌日的な議員、ジャーナリスト達が、アイリス・チャンなどといった中国系アメリカ人詐話師を泳がせて、日本の過去における悪行を捏造公布させ、中国や韓国における対日誹謗、対日怨恨をひそかに支援している。

いくら間違っても、極東(日本-中国-朝鮮半島)が一丸になる筈も無いのだが、用意周到なアメリカは、極東連合の成立という可能性をも排除してはいない。それに中国の日本憎悪が高くなればなるほど、日本はアメリカ様に依存しなければならないであろう。それもアメリカの狙い目の一つである。

➡兵器、軍事テクノロジー-を売りつける

目的は紛争を助成(煽り)し、より一層武器を消耗させ、このことによってより一層の武器の売り付けを行い、もって将来の支配権(経済的な利権、親米政権、軍隊の駐留権など)を確立することにある。

武器輸出はアメリカの貿易収支における輸入超過を相殺する有力な方法である。

➡アメリカの他国に対する内政干渉工作の手口は、その国の人間や、企業のうち、アメリカの気に食わない者に対してする所の

       ⋆スキャンダル暴き、スキャンダル示唆、スキャンダル捏造

       ⋆犯罪暴き、犯罪示唆、犯罪捏造

によってその者を失脚させ、時には

              暗殺

などによってもその者を抹消して、アメリカの傀儡的な人物を後釜に据える。

しかもアメリカはその所業を相手国の人々にそれとなく教唆して「俺達に逆らえばこうなるが、俺たちに従えばエエ目に合わしてやるぜ」と教える。

アメリカの狙いはこの者共を震え上がらせて、アメリカの傀儡にしてしまうことにあるのだが、勿論殆どの者共は震え上がってしまうのである。

実際、「xx年oo月、合衆国大統領はCIAに対してXX国政権転覆を許可する大統領命令に署名」などというのであるから一体何様のつもりであるのか。

*-(;72~;74にかけて日本の首相であった田中角栄が自主外交路線を取り、アメリカの頭越しに中国と国交回復を行い、アメリカによるイランのホメィニ師が率いるイランナショナリズム体制への締め付け強要にも拘らずこれを無視し、中東(やアジア、ヨーロッパ、カナダ)などに対して大胆な資源外交を展開した為に、これに腹を立てたニクソン政権の大統領補佐官キッシンジャ-が首謀者になって田中に対し、ロッキ-ド社からの収賄容疑暴露(これは明らかに冤罪であったのだが)を仕組んだが、日本人は綺麗にこの謀略に乗ってしまい、政界、報道界、検察官、最高裁判官から国民一般に到るまで証拠かまわずの角栄有罪全国的なバカ丸出し盆踊り大会を展開して角栄を裁判にかけ、角栄は結局これで失脚してしまった。この後、日本の総理大臣達はアメリカに対して、すっかり怯えて萎縮してしまっている)-

アメリカは、アメリカの気に食わない政権に対する反対勢力の育成やクーデターの唆しもやる。

そのために金と武器とを用意し、ばら撒く。

アメリカはどの国に対してもそれをするが、発展途上国やアメリカの属国に対して最も遠慮なく出来るし、実際そうしている。だがこのことによってアメリカに対する信頼や尊敬などが発生すると言うことは全くない。

勿論このやり方はアメリカの専売特許ではない。

だがアメリカが最もこの手段に長けていて、旺盛に、そして無遠慮に行い得る根拠は、いわずと知れたアメリカの圧倒的な国家暴力という背景の存在にある。

だがそのような方法によって仕立て上げられた国の傀儡政権は、元々が悪い素質の人間達~他国の威を利用し、他国の金に釣られて自分の権勢を築こうとするような人間達~によって成り立ったものであるから、必ず破綻するのであり、そして親米国であったつもりが、必ず激しい嫌米感情を内包していて、次第にその感情は異様に成長し増殖して、遂には激しい逆噴射(ブロ-バック)をアメリカに浴びせかける。かくして反米的悪の枢軸の一員が新たに立ち上がり、アメリカの正義の場面が、アメリカの新しいお楽しみが又一つ増える。

*-アメリカは、このたびの第二次対イラク戦争の前に、フセイン政権の要人たちに対して、金や、戦争後の地位と安全の保障などを餌にして、密かにフセインに叛き、アメリカに靡くよう勧誘するという一本釣りを行ったが、今イラクの再建に際してこのような一本釣りに弱かったという、弱点のある人々をイラクの要職に据えて行おうとしているから旨く収められるわけがない。-

➡このようなアメリカの伝統的な方法

-謀略を用いてする傀儡政権樹立と、この傀儡政権を支配し、操ってする所の、「間接支配」という方法-

がこのたびの直接的なイラク侵攻において破られてしまった。

ペンタゴン(アメリカ国防省)の意図は嘗てこうであった。

「フセインは生殺しにしておけ。殺し切るな。何となればフセインを殺してしまうと中東地域に対するアメリカの軍事的関与理由が一つ減ってしまう」

しかし9/11テロの後、アメリカは血迷って気が変わってしまった。イラクに対して、(アメリカにとっては前代未聞な)直接先制攻撃をせよと・・・

アメリカは9/11テロによって、間接支配という従来の方法が行き詰まっていることを思い知らされたのである。

しかし、イラクはアメリカを攻撃した事が一度もなく、イラクがアメリカを敵視したこともない。

イラクは1,990年、隣国のクエートに侵攻しようとする場合でも事前にアメリカの意向を伺った。

実際、今回のイラク侵攻に際してもフセインは色々なル-トを使ってブッシュとの妥協を持ちかけていた。フセインが出した条件はとても譲歩的なものであり、例えば

▶大量破壊兵器に関しては、アメリカのFBI捜査官を2,000人送り込んできてもよい(受け入れる)

イラクはもうそんなものを持ってはいない

▶石油利権をアメリカの企業に対して認めることも吝かではない

▶私(フセイン)はイラクにおいて民主的な選挙を実施するつもりである

▶バクダッドに拘束している1,993年に起きた世界貿易センタービル爆破テロ事件の容疑者をアメリカに引き渡してもよい

等である。

しかしブッシュは強硬派の側近達と共にもうイラクを征伐しようとする気持ちをすっかり決めてしまっていたのである。

(注)~[実際、1991、第一次湾岸戦争

*-(フセインの軍隊がクウェートに侵攻し占領したためにブッシュ(父)が国際同盟軍を率いて撃退したがイラク本土にまでは侵攻せず、フセイン封じ込め作戦に転じた)-

以降、当時の国防長官チェニー(今、息子ブッシュ政府の副大統領)に見られるようなイラク征伐強迫症的な傾向がアメリカの武断派勢力の中に存在し続け、9/11テロがそれに火をつけた。

ブッシュの使命感~(アメリカは世界に対して、最良の社会を提供し、自由と民主の勝利を証明する)~は単なる政治的アクセサリーではない。

ブッシュは「物事を突き詰めようとしない人間」であるという(「攻撃計画」)。この書物によれば、パウエル国務長官はブッシュに対して、

「イラクと戦争をして勝つことは簡単であるが、アメリカはその後、イラクという国家を一時所有しなければならないという羽目に陥ります。大統領はそれがお分かりの上でイラクを攻撃なさるおつもりですか」

といった。

パウエルは、アメリカがイラクのフセイン体制を追放した後、宗教と人種的な分裂を抱えたイラクの占領統治に膨大な金と人員と人的エネルギーを投入し、イラクが民主制国家として一人歩きするようになるまで支配しなければならないのだが、大統領にそのような覚悟がおありか?と言ったのだが、驚くべきことにブッシュはこのパウエルの言ったことの意味が分かっていない様子であったと言う。

しかし、そのことが又ブッシュの強みであり、ブッシュの迷いのない力強さとなった。少なくとも誤魔化したり、しらを切って逃げようとしたりするような兆候をブッシュの中に見出す事が出来ない。

 

*-(チェニー副大統領-ラムズフェルド国防長官-フランクス中央米軍司令官のラインは、少数の超近代化された精鋭軍隊による短期決戦に熱中し、それが全てであるようにしていた

彼等もまたフセイン追放後のイラク統治に思いがまるで行っていないと言う信じられないような単細胞振りを示した。

このような信じがたい判断ミスは、かの9/11テロのショックの大きさを物語るものであるとともに、あるいはアメリカの指導階級の質的な劣化がもう進みつつある兆候でもあるか?)

 

ブッシュは又、共に戦った部下を「海に投げ落とすようなこと」(「攻撃計画」)は決してしない。

アメリカの大統領であるという自覚がブッシュにはある。ブッシュは国家安全保障問題大統領補佐官のコンドリーザ・ライスにこう言った。

「自分が正しいと思うことをやるのに、大統領の地位を失う危険を冒す覚悟がある。」(「攻撃計画」)

そして、この言葉は決してハッタリや強がりなどではなかったのである。]

そこでアメリカはイラクに大量破壊兵器拡散、テロリスト養成国家というレッテルを貼り、これをもってイラクに対する直接・先制的言い掛り攻撃の理由とした。そのためにアメリカが戦後イラクに石油の利権を独占的に設定したり、イラクに軍事基地を設定したりするならば、アメリカによる対イラク直接先制攻撃は、完全な石油目当ての侵略戦争であったということになり、アメリカは世界中からの非難を受けるという厄介な問題に直面するかも知れないという危険性を持っている。そうなれば、9/11のテロも、これはアメリカが受けて当然のものだと云う事になりかねないであろう。

更にアメリカは直接先制攻撃予防(または言い掛り)戦争と言うアメリカにとっては古今未曾有な侵略方式をとった手前上、今までは中東の民主化に対して警戒していたにも拘らず、今度は体面上、イラクの民主化を目的の一つとして持ち出さざるを得なくなった。もっとも、イラク人の幸福や民主化など、それ自体は多分、ブッシュの知ったことではないのである。しかしブッシュはこのたびのイスラム征伐を称して「恐怖政治、大量破壊兵器、テロリズムを基調としている悪の枢軸対、自由、人権、民主を主たる基調とした正義と善の国との戦い」であると世界中に呼びかけて、さあどちらに付くんだ?と恫喝した。

(注意)1.もともとイラクに対して毒ガスや細菌を供与したのはアメリカである。

欧米人はアラブ人など人間集団であるとは見做していない。彼等は中東を将棋の駒か、せいぜいのところ家畜のようにして扱ってきた。人間が家畜に対するに、何をやろうと背信という概念は成立しない。嘗てアメリカはイランにパ-レヴィという従米傀儡政権を樹立させたが、この政権は、今アメリカが悪として糾弾しているイラクのフセイン政権と同じ独裁政権であり、この男の任期の間、イランでは多くの流血と弾圧があったが、アメリカはこれを認容するどころか、CIAが密かにこれを支援さえしていたのである。だがイラン人達にも魂はある。

イランのイスラム教指導者ホメィニ師が奮起して国民革命を起こしてパ-レヴィを倒し、併せてアメリカを、そのオイル利権とともにイランから追放してしまってからは、アメリカは隣国のイラクのフセインに肩入れを始めた。その意図は、イラクの力を増大させてイランに攻め込ませ、イランを制圧させるにあり、イラン革命が、アメリカが石油利権を設定している大産油国サウジアラビアとクエ-トという二つの王族支配国家に波及して、この二つの国が民主化でもして、アメリカがその利権を失うことを恐れた為に他ならない。そのためにアメリカはイラクに対して次のような色々な軍事的援助を行っている。

▶工作部隊や軍人を派遣しての編成・訓練

▶イランに関するアメリカが得た情報の提供

▶化学兵器、細菌兵器の供与と使用承認(フセインはイラン軍に対して実際に毒ガスを撒いている。勿論アメリカはこのことを十分承知している)

▶軍事転用可能な機器や兵器の供与

▶アメリカによる、イランの油田基地、艦船、民間航空機などに対する直接攻撃・・・等

このようなイラク支援を推進したアメリカ人のうちの一人が、レーガン政権の副大統領であったブッシュ(今のアメリカの大統領ジョージ・W・ブッシュの父親)で、このブッシュ(父)が今度は第一次湾岸戦争において、アメリカの大統領としてイラクと戦争をするのである。

さて、イランと停戦をしたフセインは核兵器の開発を推進し、細菌兵器や毒ガス兵器などを大量生産してこれを輸出した。更に増長を続けるフセインは隣国のクエートに侵攻してしまったから、既に強情なフセインが幾分忌々しくなっていたアメリカは、イラクを叩き、もって過剰になっていた兵器の在庫を一掃し、新鋭米軍兵器の威力を実験かたがた宣伝し、サダムの次なる侵略の標的であるサウジアラビアを防衛し、かの地の米軍基地を拡大強化すべき好機到来と立ち上がってイラク軍を叩き、クエートから駆逐して本国イラクへと敗走させたが、サダムの独裁政権には手を付け得なかった。

時は過ぎて2,001年9月11日、サウジアラビアにおける巨大米軍基地の露骨な存在や、嘗ての、アフガニスタンにおける対ロシア軍戦争介入のための資金源として大いに利用したアラブ系の巨大銀行、BCCIを、今度は大きくなりすぎて目障りだという理由で弾劾し、不正会計、マネーロンダリングなどをあげつらって営業停止に追い込み、この銀行を取り潰すなどアメリカの恩知らずな所業の数々に憎米の念慮を募らせていたアルカイダ一派による、ニュ-ヨ-クの貿易センタ-ビルへの航空機突入テロが発生し、アメリカは自分達の、過去の罪業の影に戦慄し、反動的にイラクとイランとを今度は抱き合わせて「悪」であると宣告し、手始めにアフガニスタンを、次いでイラクを征伐することにした。

これが第二次イラク征伐戦争に到るまでの米英の動機であり、顛末である。

*-アメリカによって悪の枢軸と呼ばれた国、イラン、イラク、シリア、リビアはいずれも封建王制を打ち破って反米的な独立革命政権を打ち立てた国々であり、同時にこの国々は自国の石油を自分達の手中に収めた国々でもある。-

アメリカによる第二次イラク征伐に対する我々の最良の考えは次のようなものであろう。

「イラクのフセイン体制のような、中東にとって不吉なものは、いずれこの地上から姿を消すべき運命にある。結果はどうであれ、アメリカが今それをやってしまったのであるから、その後のイラクは、よりよい形を持って再建されなければならない

(注意)2~アメリカによる支配国に対する内政干渉の基準は必ずしも自由と民主ではない。往々にしてそれは単にアメリカの利権増大と利権保守であり、南米や中東の非自由、非民主独裁政権(中東におけるサウジアラビア王族との資本結合、イランの独裁者パーレヴィ政権工作、南米におけるチリの独裁者ピノチェトによる反動革命促進など)の多くがアメリカの利権を保証することと交換条件にアメリカによって支持され、促進された。

➡そそのかす、焚き付ける~

クエ-トに対するイラク領の地下石油盗掘のそそのかしに見られるような、そそのかしという手段は、アメリカの建国時にまで遡って、彼らの始祖がネイテイブ・アメリカン達の部族を騙して互いの悪意を注ぎ込み、遂には部族間で相争わせる事によって彼らの絶滅を助けたとき以来の伝来手法である。

勿論、この手法はアメリカだけの専売特許ではないが、アメリカはこの手法に尤も長けていて、王者アメリカが尤も無遠慮にこの手法を用い得る。

➡偽装工作と情報操作が有力な補助手段である。

この手段は又、アメリカ自身の戦争遂行、又は戦争介入に対する有力な正当性のイメージ刷り込みの方法でもある。アメリカには専門の戦争宣伝操作のための企業が存在する。第一次湾岸戦争のとき、邪悪イラク軍によるクエ-トの石油パイプライン爆撃によって石油が流出し、アラビア湾で油まみれになって黒い油のしずくを垂らして、目だけが光っている惨めな海鳥を写した一枚が世界中の新聞を賑わしたが、これは後になってアメリカの偽作であることが判明した。

*-アメリカ軍がゲテイオイルカンパニ-の原油貯蔵庫施設を爆撃して流出させた結果を写してフセインの仕業であると偽装したのである-

アメリカはクエ-ト駐米大使の娘にクエ-トからの難民の振りをするという演技を教え込み、イラクによるクエ-ト侵攻に伴うイラク兵の蛮行をでっち上げ、世界中の世論を煽動した。

(子供に嘘の演技を強要するとは、北朝鮮並みの恥知らず振りだ)

クエ-ト駐米大使の娘はTvに出演して次のような嘘を言った。

「私はクエ-トから脱出してきたばかりです。クエ-トではイラク兵が赤ちゃんを保育器から取り出して殺す所を見ました」(増田俊男~「ブッシュよ、お前もか・・・」~風雲社~;01.10.25)

(注意)1.[~アメリカがこのようにデマや作り話を流布して、アメリカの世界戦略を執行するのに都合のよい国内、及び国際的な世論を形成することに力を入れていて、又非常にその能力に長けているのはアメリカが民衆の世論によって政治をせざるを得ないということ、言い換えればアメリカが民主制に尤も忠実な国であることから来ている。]

(注意)2.~[そうは言っても、民主という考えが絶対化されるものではない。民主概念は、人権概念と同じく調節弁的概念に属する。人権を絶対化すれば、一人一人が絶対の人権を主張して、それが他人の人権と無際限に衝突するので、万人の万人に対する不断の闘争状態が来て、収拾が付かなくなるように、民主は、それを突き詰めると集団的な混乱と痴愚に到達するだけのものでしかない。

即ち、民主という観念は、これを現実に絶対化して突き詰めてはならないのである。

人は自分が支配者であるとき、世界が非民主的であることを要求し、自分が被支配者の立場であるときには、世界が際限もなく民主的であることを要求する。―これが人間というものの普遍的な本性なのである。

アメリカの世界戦略が常に民主的に執行できるなどという保証は何もないし、アメリカの世界戦略が常に民主的であるという理由もない。然るにアメリカは支配者として振舞おうとしている。故にアメリカの権力は民主的であろうとして、被支配者(=アメリカの国民と他国の国際的世論)の要求~(=民主的であれという要求)に応える代わりに、国内・国際世論という民主主義の声をデマやディスインフォメーションや謀略によって創造するのである。]

アメリカはユ-ゴスラビアにおけるセルビア人対アルバニア人の人種的紛争に対して、アルバニア側に武器を売りつけることによって焚き付けるとともに、これに先立つボスニア戦争でしたと同様にして、戦争宣伝会社を使ってセルビア人によるアルバニア人拷問、大量虐殺、人種浄化(絶滅)を世界に向けて宣伝して善悪二元的対立表象の刷り込みに成功し、晴れてNATO軍によるセルビア陣営への大量空爆の正当性確立に成功した。

W・ブッシュは;02年9月、国会議員を自分のブリ-フィング(報告・説明会)に呼んで「中枢同時テロ一周年目の今年9/11前後に次のテロ行為は

必ずあるだろう」と述べた。9/11前後において次のテロ行為はなるほど起きた。その一つはイエメンの海上で起きたフランスの石油タンカ-爆発事件で、爆弾ボートの突入テロである。

もう一つのテロについては、アメリカの諜報・謀略機関であるCIAが、かのグラウンド・ゼロの一周年がくるから、インドネシアを中心とした東南アジアでテロが起きそうだと警告を発して、この地域のアメリカ人を退避させた後、タイミングよくバリ島の白人歓楽街で爆弾テロが起きて、オ-ストラリア人を始めとする人々が180名余犠牲になってしまったが、アメリカ人は幸いにその中に殆どいなかったのである。この二つのテロの真犯人が確証をもって判明することは多分あるまいと思われる。

;02年2月、アメリカは戦略影響局(OSI)を設置した。この局の仕事は世論操作であり、当面、イラク攻撃に向けて世論を誘導し、反アメリカ的世論を変えようとすることが主目的と成るであろうが、情報の機密化、偽造、誇張などの手法を用いて活動を拡大して行くであろう。

➡自国民、保護国民を計画の一環として囮に仕立てる。犠牲に供する-

勿論、このやりかたは巧妙に偽装し、隠蔽される。偽装隠蔽の為にまたしても犠牲者をしつらえる。

第一次湾岸戦争における囮はクエートであり、犠牲者は多分、イラクのアメリカ大使である。

(保護国-属国とも言う-とは、「アメリカが守って差し上げる。しかしその代わりに我々アメリカの云う通りにしろ。他国と付き合うときは我々の認可が必要だと思え」・・とアメリカによって条件付けられた国のことを言う)

アメリカが持つこのような性質

―(自分自身を切り貼りして、その一部を自分自身の為に売りに出す性癖)―

はアメリカが自国民の命と国益?をレシオ勘定の秤に掛けると云う事である。勿論秤に掛ける人々は自分達自身が秤のマイナス天秤に乗っていないという絶対条件がつく。

この性質はいかなる原因や動機から出てくるのであろうか?

-先ず浅い歴史、内部矛盾に満ちた荒々しい淘汰の追想があり、この淘汰癖が手段を選ばずに活躍する。

-第二に、建国初期から中期までのアメリカにおいて、多民族人工国家であるために由来する痛みに対する強い抵抗力が存在していた。

-第三に、アメリカを材料として取り扱うかのようなもう一つの国家内国家、アメリカの内臓の一部として棲息してはいるものの、完全にアメリカそのものではないもう一つの生存意思であるような金融資本支配階級の存在が考えられる。

-四番目の要因(おそらくこれが最大の要因であろうが)としてアメリカの民主主義を挙げ得る。

アメリカが自分自身の一部を犠牲に供する理由の多くは、民主主義体制下の国家における、国民を戦争に向けて励起させるためである。この傾向はアメリカ建国の初期よりも、アメリカの民主主義が熟成した後期において顕著になる。

-五番目には、アメリカが行う戦争についての国際社会に対する口実、正当性弁明、又は正当性押し付けの為の材料にできると云うことがある。

以下、アメリカの足切り戦術の歴史を速やかに通観する。

              イ.メキシコ領のテキサスを自国の物にする為の対メキシコ領土略奪戦争(1,835~46)

テキサスに移民をしているアメリカ人を、テキサスのメキシコからの独立運動に狩りたて、煽動し、もってメキシコ軍による制圧を呼び込み、アメリカ人独立蜂起軍の全滅を看過誘導したこうすることによってアメリカによる正規の対メキシコ戦争を内外に合理化し、メキシコ軍を打破。テキサス、キャリフォ-ニァ、その他の北米大陸にかかるメキシコ領土の半分程度をアメリカの領土にした

           ロ.プエルトリコ、グァム、フィリピン、キューバの領有を狙う対スペイン戦争(1,898)

この四つの地域は昔、スペインの植民地であるか又はスペイン領であったが、アメリカはキューバに派遣した自国の戦艦メイン号を自爆させ、そのために米水兵26名が死んだ。アメリカ政府はこれをスペインの仕業であると言い立てた。そのために米国民が憤激してしまい、米国議会が第二十五代の大統領W・マッキンレ-に対して、対スペイン戦争実施に関する権限を与えるという議決をした。そしてこの機を待ち構えていたアメリカの海軍が直ちにフィリピン沖に出動して、この海域にいたスペイン艦隊を打ち破った。そしてプエルトリコ、グァム、フィリピン、をアメリカ領として取り、キュ-バをアメリカの植民地にた。

           ハ.対日戦争(1,941~45)

アメリカは中国侵略には立ち遅れていた。欧州諸国とロシアは中国大陸を虫食い状に侵略していた。

日本は欧州やロシアによる支那侵略の魔手が日本にまで及ぶことを恐怖していたので、満州(今の中国の東北部)に東洋人種による共和国を打ち立てて、ここを日本防衛の拠点として固めようとしていた。アメリカは支那進出に遅れているために、欧州、ロシア、日本、そして米国による支那の市場共有(これをアメリカは「門戸開放」といった)を持ちかけて欧州、ロシア、日本を牽制したが思うようには行かなかったので、支那共産党軍と支那蒋介石軍を密かに支援し、これを満州の派遣されていた日本軍にけしかけたがその裏に、アメリカの政界に浸透していたソ連共産党のシンパが策動していた。

一方欧州に対しては、アメリカの大統領フランクリン・ル-ズベルトが、ヒトラーのナチスドイツと戦争をしているフランスとイギリスを助けて欧州戦線に参加し、ドイツを叩きたがっていた。

しかも、丁度運良く(?)ナチスドイツと日本が軍事同盟(独-日-伊間の三国同盟)状態に入り、そして、ヒトラーの欧州での破竹の進撃(仏、蘭は降伏した、イギリスもまた風前の灯であるように思われた)に悪酔い(グルー中日米大使の表現)した日本の軍・官・民が便乗的に仏印に軍事侵攻をしてしまった。かねてより「東洋の黄色い恐怖」を弱らせておかなくてはならないと潜在意識的に考えていた伝統的なアメリカの権力中枢にとって、この三国同盟はドイツと併せ日本をも潰してしまうべき好機ではあった。

しかし、ルーズベルトにとっての主標的はドイツなのであり、「ドイツを屈服させれば日本問題は自然になくなってしまうが、日本を制圧してもドイツ問題は解決しない」と考えていたから、極東では、強大な日本軍を相手にした大きな戦争に巻き込まれたくはなかった。

しかも、当時、アメリカの人民は戦争に関心がなく、戦争に狩り出されることを嫌がっていたのである。

ル-ズベルトは日本の南洋進出を牽制し、しかも、日本が暴発しないよう巧くあやしておこうという意図の下で、オランダと謀って対日本石油輸出を停止したのだが、日本はこの石油禁輸によってアメリカから追い詰められたものと感じ、急激に対米強行戦争推進勢力が台頭し、国論また沸騰するにいたってルーズベルトも対日和平交渉妥結の余地なしと判断し、対日開戦やむなしと考えた。

しかし、「アメリカは欧州にも極東にも介入戦争はしない」という大統領選挙での公約に束縛されていたルーズベルトは、相手(日本)に手を出させてやむなく立ち上がったという形で対日戦争をはじめる必要から、「先に手を出させる」方法として、日本海軍が南下して奇襲をする誘惑に駆られるよう、ハワイとその周辺海域の北側の警戒を解除せよと太平洋艦隊司令長官のキンメル海軍大将に命令した。

しかし日本軍がハワイのアメリカ艦隊を狙っているらしいという情報はキンメルに対して一切報せて置かなかったのである。それを知らぬキンメルは、米機動艦隊の航空母艦2隻をミッドウェイ、ウエーキ方面に出動、輸送、警戒業務に当たらせていた。

こうして当時極東ではまだ劣勢であったアメリカの機動艦隊が日本の機動艦隊*-(機動艦隊とは航空母艦とそれに積載している戦闘機、爆撃機を主力とし、飛行機によって攻撃することを専門とする艦隊のことを言う)-と刺し違えることなく、日本海軍が真珠湾に待機しているアメリカの老朽戦艦を存分に破壊してくれる結果になったアメリカにとってラッキーな事であった。

かくして、日本海軍機動艦隊は周到な作戦計画のもとに真珠湾を奇襲攻撃し、これによってアメリカは真珠湾に停泊していた軍艦十六隻を大破撃沈させられ、飛行機も百八十八機が破壊されてしまった。

しかもアメリカ側の死者(アメリカが意図した故意の犠牲者)が2,273人、負傷者は約1,119人に上った。

それにも拘らずルーズベルトは内心してやつたりと北艘笑んでいた。チャーチルはこの真珠湾の犠牲によってアメリカを対日独伊戦争に巻き込むことができたので狂喜していた。

勿論ルーズベルトの思惑の通り、アメリカ国民はジャプ共をやっつけろと一斉に燃え上がった。

日本人達は緒戦の大勝利に酔い痴れ、国中で提灯行列大会が繰り広げられていたが、真珠湾攻撃の張本人山本五十六海軍大将は、この作戦の主標的である米海軍航空母艦を打ち洩らしてしまったことに対して内心苦り切っていた。

キンメル米太平洋艦隊司令長官等は、責任を問われて降格され、以降鬱々として世を去ったが、何故か戦後にいたって名誉が恢復された。この件に関して米海軍の機動艦隊司令官ウイリアム・ハルゼ-大将は次のように回想している。

「日本がかなりの長期間にわたって真珠湾の米艦船の位置や移動についての様子を知ろうとしていること、つまりあの魔法の電報からも分っていた事実を仮に私達が知っていたならば、私達は当然の事として、真珠湾への日本海軍による攻撃への、実際に即した諸対策を講じた筈である。この私自身も1,941年の11月末から12月初めにかけて、わが機動艦隊をウエ-キ島に移動させるというような作戦には反対したであろう。もっと云うならば、私のそんな反対さえも不要であったとさえ思われる。

何故ならば、もしキンメルが当時ハワイ奇襲に関する情報を知らされていたならば、彼がウエ-キ島への機動艦隊移動などを命令する筈はなかったろうからだ。

私はあれ以来、キンメル提督とショ-ト将軍(二人とも真珠湾の夫々、海軍ならびに陸軍の司令官)は第一級の軍人でありながら、自らはどうしようもない理由によって生贄の子羊として狼に投げ与えられたのだと考えている。

彼等は、与えられた兵器、物資、情報の範囲内でやっていくしかなかった。彼等は米海軍史上における特筆すべき受難者である」(The Final Secret of Pearl Harbor,by(Admiral)Robert A.Theobald,(New York:The Devin-Adair Co・1,954)

*-文中魔法電報とあるのは;41.9.29に東京からホノルルの喜多長男総領事に当てた次のような電報を言う。

「――今後、貴下は下記の区割りにしたがって、配置されている艦船に関する報告を、可能な限り行われたし

一、真珠湾の水域はおおむね五区域に分けられるものとする。もとより貴下のご意向でこれを省略することには異存なし。A区域―フォ-ド島と兵器庫にはさまれた水域。B区域―フォ-ド島に隣接した南部及び西部水域。この区域は同島をはさんで区域の反対側に当る。C区域―東部の入江。D区域―中央部の入江。E区域―西部の入江及び近接の連絡水路。

二、艦船ならびに空母に関しては、イカリをおろして停泊中のもの(これらはさほど重要ではない)、埠頭、ブイ、ドックに繋留されているものの現況を報告されたし。それらの艦船の形、等級等を簡潔に指摘のこと。出来れば、同じ埠頭に、二隻以上の艦船が繋留されている事実を明示されたし。」

(このような日本の暗号電報の多くは、既に一年以上も前からワシントンの暗号分析専門家達の手で傍受、解読されていたのである)

(注意)-1.このハワイ米艦隊囮説に対して有力な異論がある。この異論は、[ルーズベルトは「日本に先に手を出させるが、損害ができるだけ軽微であってほしい、少なくともアメリカ国民と議会が燃え上がるための最小限であってほしい」と側近たちに話しており、勿論、これは側近たちにとっても最良の選択肢であったから、ルーズベルトたちがハワイ奇襲計画を承知し、ハワイの軍艦を明け渡してまでも日本軍を誘うとは考えられず、ハワイの辺りの何処かで丁度程よい被害が発生することを望んで隙をみせたものと推理するほうが自然である]と主張し、それを裏付けるための色々な状況証拠を示すものである。

(注意)-2.日米開戦緒戦においてアメリカがその植民地フィリピンを防衛することは、どのように摸擬演習をしても不可能であるのがわかっていたが、フィリピンの要塞化は議会と予算の制約があり遅々として進んでいなかったので、日本がアメリカに対して戦争を開始したならばフィリピンにいる1万1千人の米軍は見捨てられることになるため、誰も日本に対して強硬開戦論を唱え得なかったが、ルーズベルトが、何とかして、フィリピンにいる米人を見捨ててでも、参戦のきっかけを摑みたかったのは事実である。

実際、日本軍の攻撃によってフィリピンは陥落し、多くの米軍兵士が失われた。しかし、アメリカ極東軍総司令官マッカーサーは「アイ シャル リターン」などという捨てゼリフを吐いていち早くフィリピンを脱出していた。太平洋艦隊司令長官のキンメルに対しては、日本暴発に関するあらかじめの情報が与えられなかったのであるが、逆にマッカーサーに対しては米政府からの内密の脱出示唆があり、そのためにマッカーサーの部下放棄単独敵前逃亡に対してもお咎めがなく、「アイシャルリターン」が公然化したのであろう。

              ニ.朝鮮戦争(1,950~)

ル-ズベルトは対日戦争末期に戦争の終結を早くしようとして、ソ連の対日参戦をスタ-リンに慫慂し、その代償として日本の北方四島、北朝鮮、満州をソ連の自由に任すといった。そのため、日本の敗戦に伴ってソ連は日本領の北方四島(歯舞 ()(国後)択捉()の四島)を占領してそこに居住していた日本人を北海道に追放し、中国はソ連が占領した満州国を巨額の代金を払って買い取った。そして北朝鮮にはまい連軍によって仕立て上げられた傀儡である、抗日戦の偽英雄金日成が北朝鮮の赤化による指導者として押し立てられ、結局、この金日成と、その後を世襲した息子である金正日という二人の個人によって北朝鮮は、私設搾取所、私設拷問所のような人類歴史上類例のない、異様、かつ非生産的な体制が組み上げられてしまった。

このようにして朝鮮半島の南北二分が定着してから、ディ-ン・アチソン米国務長官が「たとえ韓国と台湾に外国軍が侵入しても、アメリカの関与するところではない」と、あの湾岸戦争の前にイラクを()ったと同じやり方でソ連、中国、北朝鮮を誘惑した為に、その気になった金日成の北朝鮮が38度ラインを越えて韓国に侵攻し、それを見てアメリカ軍が参戦した。アメリカの意図する所は、

ⅰ.西側(自由)と東側(共産)との対立鮮明化

ⅱ.戦争経済政策の推進

ⅲ.極東における軍事的、政治的、経済的な足掛り確保

であった。

(注)1-アメリカ自身は、当時共産勢力が悪魔の手を有していることに疎く、そのためにすっかり油断をしていたために、それがアチソンのあの発言になったのであると主張する。アメリカは当面もう極東で大きな戦争はしたくないし、戦争も起きないだろうとあるいは思っていたのかも知れない。

(注)2-朝鮮戦争勃発の6日前、ジョン・フォスター・ダレス(アメリカの法律家、反共的秘密工作者、後のアメリカ国務長官)は韓国の議会で、朝鮮戦争を予知しているかのような発言-「韓国はアメリカの対等なパートナーであり、韓国が見捨てられるようなことはない」-をしていたため、開戦後、それを聞いていた人は驚いたという。(「テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない」~桜井春彦~三一書房~2005.9.11)

 

           ホ.ベトナム戦争(1,964~73)

世界共産主義化の魔手は、東南アジアにおいてソ連から中国を経由してベトナムの北半分に及び、ここに北ベトナムという共産主義国家が出来上がって、この国のゲリラと南ベトナムの洗脳されたゲリラとが合体してベトナムコンミュ-ン(=ベトコン)となって南ベトナムに浸透しつつあった。これを憂慮したアメリカは軍隊を出してこの地から共産党を駆逐したかったがアメリカの人民は勿論このような戦にアメリカの兵隊を出すことを嫌っていた。

そこで、ベトナム南端のトンキン湾に出ていたアメリカの駆逐艦マドックス号が北ベトナム軍の魚雷攻撃を受けたという偽装による策動を行い、アメリカの世論の沸騰を試みた。アメリカの軍産複合体が送り出した大統領のリンドン・ジョンソンは大統領権限による議会を招集し、アメリカの受難に対するあらゆる対応に関する措置執行についての議会による大統領一任決議を得た。かくしてアメリカの9年間に及ぶベトナム戦争介入が始まったが、その間にアメリカは得意の空爆滅多打ちを主力とする戦法によって、300万人のベトナム人を殺したにも拘らず、密林の民北ベトナム人達には、その背後に中国やソ連による物資補給網が存在していたために容易に屈せず、アメリカは対共産圏全面世界戦争への発展を避けたためもあって次第に手詰まり状態に陥ってしまい、遂にベトナム全土の共産化を受け入れてアメリカは撤退した。しかしこの戦争によってベトナムとカンボジァ以外の東南アジアは恐ろしい共産党の魔手からの自由が保障されたので、朝鮮戦争と並んでこのベトナム戦争はアメリカの不朽の功績である。

(注意)~1,933年、もしヒトラーがいて、ドイツの政権を取らなかったとしたならば、ドイツは恐らく共産主義者達によって乗っ取られたであろう。このヒトラーの経済的・軍事的な支柱であったドイツ巨大軍需関連産業に莫大な投資と技術提携をして育て上げたのはアメリカの大企業群であった。

アメリカはヒトラーの手を介してドイツの共産主義者達の魔手からドイツを救済したのである。

そして後にそのヒトラーがアメリカの手に掛かって崩壊させられたのである

(参考~「アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか」~菅原 出~草思社~;22.7.22)

           ヘ.第一次湾岸戦争(1,990~91)

この戦争におけるアメリカの狙いは、

戦争経済対策を執行して軍事関連産業主導の経済成長を謀り、

アメリカ製兵器のデモンストレ-ション効果による武器輸出を促進し、

弛み気味になってしまっている中東に関するアメリカの支配力を、中でもイラクによって攻撃されることになるクエ-トと、クエ-トに次いでイラクからの脅威にさらされるサウジアラビアに対する支配権を確立し、

そして新しい試みである所の、この戦争による中東安定の恩恵を関係諸国に強調して恩を売り、戦争費の集金をして儲けること、

*-(そのためにブッシュは国連による、イラク攻撃に関する承認決議を取り付け、アメリカ軍を中心とした多国籍軍を編成して事に臨んだ)-

などである。アメリカはこの第一次湾岸戦争において、初めて戦争という商品を売って集金する味を覚えるという、アメリカ頽落への第一歩を踏み出してしまった。

囮はイラクと隣接し、国境にイラクと地下資源の共有関係(互いに地下を掘り進めて隣国の石油を盗掘することが出来るような共有関係)のある従米的な国クエ-トに定め、「アメリカは常にクエ-トを支持し保護する」からイラクと隣接するルメイラ油田をイラク領へ深く採掘しても良い」と保証しつつ、一方のイラクに足しては「アメリカは、イラクとクエ-ト間の国境紛争に対して中立的である」といってイラクを安心させた。クエ-トによる石油増産は、OPEC(アラブ石油輸出国機構)が決定した石油価格下落防止のための減産協定を破るものであって、対イラン戦争で疲弊していた自国経済の建て直しを、石油を減産して石油価格を上昇させる事によって成し遂げようとしていたイラクを怒らせるものでもあった。

この第一次湾岸戦争による景気への煽りは一時的にアメリカの景気を刺激した。軍事産業各社は数百~一千億ドルという利益を得、原油の値上がりに乗じたメジャー(大手石油産業)も儲けた。クエ-トの復興はアメリカの大手建設、エンジニアリング会社が独占的に請け負った。だが、この繁栄はクエ-トとイラク、それに戦争費を集金されたアメリカの同盟国の犠牲によって成り立つものであり、アメリカ経済の根本的な、そして自立的、内発的な立ち直りによるものではなく、冷戦の終結このかた息切れのしているアメリカの軍需産業はこの第一次湾岸戦争から十年たった今、又してもフラストレ-ションの発作に見舞われている。

      ト.第二次湾岸戦争(2,001.9.11~)

第一次湾岸戦争の勝利にもかかわらず、中東のアメリカに対する憎しみはエスカレ-トをする一方であった。10年以上も続いた経済制裁によってイラクは非常に貧困な国になってしまった。アメリカが使用した劣化ウラン弾の後遺症はイラクの子供達の3%(!)を障害児(白血病、ガン、奇形児など)にした。母親達は、絶望し驚愕し、しかもそれに耐えてゆくしかないという状態である。この実情を撮影した凄惨な写真を見ると、あの北米の地には本物の悪魔の末裔が現実に棲息しているのかという感じをいだかせられる。

だがアメリカ政府はこの惨状と劣化ウラン弾との間の因果関係を認めようとはしない。

尤も認めてしまえばアメリカの世界的な地位が崩壊してしまう危険性を持っている。

アラブ人達は、イラクによるクエ-ト侵攻を言い掛りにしたイラク征伐がアメリカの謀略であるということにも気が付き始めていて、中東の地に反アメリカ、イラク贔屓の気持ちが充満し、その隙を付いてフランス、ロシア、中国などがフセインと原油採掘権契約を成立させているが、アメリカの石油企業はなかなか実効契約が取れないので苛々していた。

苛付くアメリカはもう一度イラクと戦争をしてイラクに対する権力を再構築するとともに、戦争経済政策効果も狙っていたので、アルカイダがアメリカでやっていた色々な航空機ハイジャックテロの事前工作を知っていて泳がせていた。そして9/11のテロが起きたときブッシュは即座にこれを戦争であると宣告し、同時にこのテロにアフガニスタンやイラクが関与しているか否かに関わらずこの両国がテロリストを養成し、支援しているものと断定し、この両国を征伐するという規定方針を固めてしまった。

その際にブッシュは何を血迷ったか、イラクと並んで、イランをもテロ国家、ならず者国家、悪の枢軸、などと名指しで指名するという、イスラム原理主義的な傾向を自制し、親アメリカ的に姿勢を転換しつつあったイランの神経を逆なでするような言葉を吐いてイランを激怒させた。

(このときにイランと北朝鮮をイラクとともに悪の枢軸としてあげた理由は、専らイラクをたたくための体裁付けとしてのものであると、ブッシュの側近スピーチライターが言っている)

アメリカ政府は、自ら予測し誘導していた航空機ハイジャックテロが、まさか貿易センタービル崩壊のような異様な結果になるとまでは予想していなかったのであろうか?

始めてアメリカの本土を本格的に破壊された初心(うぶ)なアメリカ人は過敏神経症に罹って、八つ当たり気味なブッシュのイラク征伐を支持してしまった。

*-9.11の直後、ブッシュは待ちかねていたようにアルカイダ-アフガニスタン-タリバン-フセイン-イラクのようなテロ機構の連結をでっちあげ、

早々にアフガニスタンとイラクを征伐した。

このタイミングの良さを見れば、9.11事件そのものがアメリカ政府による自作自演であるということに対する極めて濃厚な状況証拠であるなどという人も出てくる。

なるほどアメリカは、より正確にはアメリカの政府は、もっと正確に言えばアメリカのブッシュ政権は、テロという新しい敵を手に入れることに成功した。しかし、アメリカはアフガニスタンとイラクの両方面で同時に戦争を遂行する軍事的・財政的な余裕がない。そのためアフガニスタンにおいてはタリバンの交戦にてこ摺り、この戦争を子分のNATO軍に引き継いだので欧州諸国の軍隊がしぶしぶ対タリバン戦争を執行している。しかし、フランスはこれに参加していない。幸いにも憲法において戦争を禁止している日本の自衛隊は、アフガン沖でNATOやアメリカの軍艦に無料給油サービスをしてお茶を濁している。

イラクにおいてアメリカはこの国の戦後秩序を次のように計算していた。

a.軍事基地の設置・長期駐留

b.アメリカの傀儡的民主政権樹立によるイラクの民主化

c.上記のa.bの条件下での石油利権掌握

だがブッシュ一派はイラクの安定にとって何が必要であるのかという問題をまったく把握しようとしないまま、彼等の欲情にせかされてイラク戦争に突入したために、フセインの追放には早々と成功したが、そのあとの青写真は無残に頓挫し、イラク国内がシーア派対スンニ派対北部クルド族という三つ巴の不倶戴天の仇敵による内戦状態に入ってしまった。

そしてこの戦争によるアメリカの財政支出は五千億ドル/年という規模であり、アメリカは「アメリカの国債発行→売却」という、買った側が何時本物の現金に買えることが可能であるか極めて疑わしい貨幣で調達している。中国がこれに目をつけ、アメリカの急所を握るためにアメリカの国債を買い込んでいるのだが、ブッシュ達にとってそのような愛国的な心配事は知ったことではないらしい。

この問題は一昔前であるならば行われたような、アメリカがどちらか一方の派に肩入れをして、もう一方を徹底制圧し、もって肩入れをした一派による独裁的傀儡政権支配を通じた利権設定-のような古典的支配手段を採用するほかに解決の方法がない。

しかし、今では地球上において、このような手段を平気で用いることができるのはロシアと中国しかない。アメリカはアメリカの世界支配の大儀である自由と民主の手前上もうそのようなことができない。しかし、ブッシュ政権は恐ろしく不勉強無知であったためこのような事前の読みをすることができなかった。これはアメリカの政治家達の資質が、急激に低下しつつある潮流を示すものであり、この低下潮流はブッシュのあと、仮に民主党が政権をとっても変りはない。

➡アメリカは正義の旗を揚げることに固執する。勿論、全く正義などという名分には無頓着な国々に比べれば、アメリカのこの性癖は決して否定すべき性癖であるとは言えない。アメリカの揚げた旗は、嘗て「悪魔の共産主義者に対抗するアメリカ」であり、今度は「自由と人権と民主に挑戦するテロリストと、テロリストを保護育成する、ならず者国家を退治するアメリカ」である。アメリカはこの想念を世界中に刷り込もうとするし、中には本当に刷り込まれてしまう人々も出てくる。

しかし、9/11テロなどは単にテロリストたちにとって「アメリカという国はむかつく奴だ」からやったことなのであり、アメリカの云うように「人類の自由と人権と民主に対する挑戦」なのではない。テロリストに言わせれば、「自分達の国に勝手に土足で踏み込んで引っ掻き回し、武器を売りつけ、軍隊を持って占領駐留し、石油利権を獲得し、自分達の自由と人権を破壊したのはアメリカだ」ということになる。テロリスト達は自由陣営と証する国々が持つ所の、諸価値観に対して挑戦し破壊しようとしたのではない。彼らは単に憎いアメリカに対して挑んだのである。しかしアメリカは人類対人類の敵テロリストという図式を世界に刷り込もうとしている。

アメリカの行為がたとえ民主や自由を植えつけようとする善意に準拠しているものと自惚れても、それは民主でも自由でもない。植えつけられた方は逆に、自分達の自由と民主が踏みにじられたと感じてむかむかするのだ。大体が、(アメリカに限ったことではなく)よその国の自由だの民主だの幸福などを利害抜きで純粋に心から願っている国などは地球上に一つもない。何かしら他に下心を持っているのだ。

(だから自らで助け、自らで決定することが決定的に大切なのである。)

➡アメリカの自由民主主義はアメリカの理念ではない。それは単にアメリカの手段である。アメリカの利権は、彼らが自らの理念であるという所の自由民主主義に優先する。したがってアメリカに都合のよい他国の独裁政権や共産主義政権などが、アメリカにとって必ずしも「愛い(うい)(やつ)」ではないような他国の民主主義政権より優先する事がよくある。

       (例)1.産油国北イエメンのムハンマド独裁王政に対する人民蜂起弾圧~(1,962~1,970)

1,962年に起こったイエメンに王政転覆クーデターが発生し、イエメン・アラブ共和国が発足して、エジプトと同盟関係を結んだとき、アメリカはその民主革命が隣国の王政サウジアラビアに波及すると、アメリカが支配し、手なづけている王政政権下のサウジアラビアにおけるアメリカの石油利権が、新しく出来るサウジアラビア民主政権によって接収される可能性が強いことから、当時のケネディーアメリカ大統領、-(この自由と人権の元祖みたいに演ずる人物)-がサウジアラビア王政政府と、エジプトの民主政権であるナセル大統領に反抗する反体制派(王政復帰派)の人達に武器を売りつけてイエメンの危機が持つ危険性を吹き込み、扇動し、アラブ同士による凄惨で長期的な「共食い戦争」を行わせた。

(例)2.イランのモサデク首相がイランにおけるアメリカの石油利権を接収したとき、アメリカのアイゼンハワー政権は、アメリカの謀略機関をイランに派遣し、反モサデク分子を金によって釣り上げ、武器を貸与し、モサデクの虚偽の醜聞をでっち上げ、流し、そうすることによって叛乱を煽動して、遂にモサデク追放に成功した。そしてその後釜にパーレヴィという傀儡人物を持ち出してイランの国王とした。アイゼンハワーの後を受けたケネデイは、パーレヴィの手兵として秘密特別警察SAVAKを養成して、この機関による陰惨な人民弾圧によってイランの西欧化(=反イスラム化)と称する恐怖政治を行わせた。(1,953~1,978)

➡アメリカは民主主義国であり、アメリカの大統領といえども民衆によって選ばれなければ大統領になれない。故にアメリカ政府は、アメリカ人が自分の戦争でない限りアメリカの兵隊が死ぬことを嫌うことから、圧倒的な兵力、武器、テクノロジ-を駆使した滅多打ち戦法~(わが方の損害無し、敵全滅戦法)~を多用する。その際に、一応民間爆撃を避けて必要な標的のみを狙うピンポイント爆撃にこだわる振りをするが、これはミサイルデフェンスなどと同じく殆ど机上の空論である。実際、セルビアにおいてもイラクにおいてもアフガニスタンにおいても、非常に多くの民間人が殺されている。

「アメリカが爆撃によって少なくとも12万5,000人の命を奪い、・・・一方、アメリカ側の戦闘犠牲者は120名以下であった。アメリカは、イラクに向けて11万回の戦闘機出撃を行い、広島を破壊した原爆の約七倍に相当する8万8千トンの爆弾を落としたことを認めている。このうち93%が自由落下爆弾で、その殆どが(米兵の安全の為に)高度3万フィ-ト(約9,000メ-トル)以上から投下された。残りの7%は電子誘導システム付き爆弾だったが、その25%以上が目標からはずれ、殆ど全部が、識別可能な攻撃目標を越えた範囲にも被害を与えた。攻撃目標の大部分が民間施設だった」(ラムゼ-・クラ-ク元アメリカ司法長官他による「国際戦争犯罪法廷調査委員会」の告訴状~;91)

アメリカ軍の誤爆対象は、一般民家、病院、結婚式場、路線バス、教会、ホテル、給油設備、橋、結核療養所、歩行者、老人ホームなど何でも有りであり、しかも、アメリカの会計監査院によるハイテク兵器

-(トマホ-ク巡航ミサイル、レ-ザ-誘導爆弾など)-の効率に関する報告によると、あまり有効ではない例がとても多いのが分る。

「標的の破壊に成功したと判定された誘導装置つきの爆弾やミサイルは計11トン相当だったが、失敗を含め目的を十分に達成できなかった同種兵器の使用トン数は成功を上回った・・・又、ハイテク兵器の使用トン数は、通常形も含めた全体の8%に過ぎなかったが、費用の面では84%を占め、コスト面でも有効性に疑問が生じるとしている。・・・検査院は、当時過剰評価された兵器の典型として、トマホ-クと、レ-ザ-誘導爆弾のほか、レ-ダ-に捕らえにくいステルス戦闘爆撃機として注目されたF-117を挙げた」(;96)

(注意)~上記2つの報告の事例はしかし、アメリカにおける批判の自由と気力、真実を暴く自由と気力の存在を示している。

➡アメリカでは原始Identityの階序が存在していて、これがアメリカの統合のために不可欠である。この階序が崩壊すればアメリカの主Identityも衰弱する。故にアメリカの国家意思の中枢を白人種が明け渡そうとはしない。

アメリカは世界各地の軍事的緊張を時には煽り、時にはそれを鎮める。

*-2,001年にインド対パキスタン間の核戦争クライシスをアメリカが仲裁して鎮めた。これはアメリカでなければできないことであった

しかし、結局、アメリカが世界の軍事的緊張と紛争に介入することをもって自己の存在根拠を見つけ出し続けようとする限り、アメリカは疲弊して遂には行き詰まり崩壊するであろう。何故ならば、国家暴力をもって商売道具にするということは、生産を放棄してその換わりに、戦争という浪費の供給をもって世渡りをし、その代償として他国から生産財を購入することであるからである。

➡アメリカは民族雑居が亢進し続けるだろう。

それは自由・人権・平等を国家理念として押し立て続ける限り避けられないし、この理念を引っ込め、取り下げることも不可能だからである。もしこのイデアを取り下げるようなことをすれば、それはアメリカの統合の軸を破壊するに等しい。

しかし、自由・人権・平等の追求が亢進すればそれだけ(言葉が良くないが)人種的な雑居化が亢進してアメリカのIdentityクライシスに直結する。このクライシスの進行度に比例してアメリカにおける世界支配~(食料、エネルギー、国家暴力、金融と情報、科学技術、における世界支配)~への衝動もまた亢進する。何故ならば、そうすることによってIdentityの崩壊を防御し、階序を保持しようとするからである。

➡Ratio(レシオ)

レシオとは貸借損得増減均衡上の比率を言う。長崎、広島に原爆を落として日本人民を50万人殺し、日本を早期に降伏させると、原爆を落とさないで戦争がもっと長引いた場合に比べてアメリカ兵の死者が10万人少なくてすむから原爆によるレシオはアメリカ人の犠牲者1に対して日本人の死者5が丁度よい。

対北ベトナム戦争のときにはアメリカの国防長官マクナマラがアメリカ兵1名に対してベトナム人1,000人をもって適正死亡レシオであるなどと根拠のない計算をした。色々、そのときの都合で適当にレシオがこじつけられる。

ベトナム戦争末期、「アメリカはこの戦争に勝てないであろう」、という予測を持ってしまった当時の大統領特別補佐官ヘンリー・キッシンジャーは、最後の兵器消費のチャンスを求め、カンボジァにあるベトコンや北ベトナム軍の軍事物資集積所や軍事基地への攻撃と称して、カンボジァの一般民衆部落に対して無差別爆撃を秘密裏に遂行した。(1969.3~1970.5)

爆撃回数は3600~3900回、総消費量が11万トン、

殺戮されたカンボジァ人は、人口の10%弱である60万人、

難民発生数が200万人で、この難民達の多くが後のポル・ポトによる大弾圧の際に飢餓や病気、殺人によって死亡している。

しかし、アメリカ白人(=純人類)に対する殺戮はテロ犯罪であるが、黄色人・アラブ人・黒人(=準人類)に対する白人による殺戮は当然の経済的・道徳的行為であるかのようである。

レシオとは野犬狩りの思想であり、野犬1,000匹殺しに対して犬殺し一人の犠牲であるならば、野犬狩りは適合レシオであるというような考え方を云う。但し、この考えを正当化できるのは、この考え方を正当化する人物自身が決して選ばれた一人の犬殺しではないという条件がつく。

(参考;副島隆彦~「世界覇権国アメリカの衰退が始まる」~2,002.7.23~講談社)

   ;テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない」~桜井春彦~三一書房~2005/9/11)

対ベトナム戦で傷を負ってからのアメリカは、自国兵の命を節約し始める。

「対アジア戦争にはアジア人を使え。対中東戦争にはアラブ人やペルシャ人を使え」

アメリカの支配者達が彼らの娯楽戦争を愉しもうとする時にこの原則が適用される。

➡アメリカは王者の持つ宿命と、意図的な政策との作用によって半ば無意識裡に、陰気臭くて退屈な生産・製造業による世渡り術を他国に明け渡し、自らは管理者としての道を進みつつある。アメリカは次の様な方面に特化している。

      ❖国家暴力優位-アメリカはこの優位性の命ずる所により、世界の秩序安定を維持しつつも、この秩序・安定が崩れなければ自分の役割を失ってしまうため、世界秩序の不安定が何処かになければやって行けないと言う矛盾の中にある。アメリカの世界秩序保持という仕事は、本質上は無償の行為であり、金にはならない。そのため、アメリカは何らかの利権を軍事的介入の対価として取り付けようとして、アメリカに対する反感や憎しみを自らの手によって作り出す。

アメリカは又、自国の戦力テクノロジー優位性保持のために、自国の戦力テクノロジーを独占しつつも、自国の戦力テクノロジーを他国に売りつけなければ商売が成り立たぬと言う矛盾の中にいる。

アメリカは嘗ての第一次と第二次の世界大戦に参戦して、連合国サイドの中核となって勝利に導いた。その後ドイツを中心とする疲弊した欧州や日本に対して救援資金を供与して復興を援けた。

(尤もその前に欧州の連合国側に武器を売り捲ってしこたま儲けてはいたが。)

そのあと、朝鮮戦争、ベトナム戦争においては共産主義の浸潤・汚染に対抗しその拡大を防いだ。

その後、湾岸戦争以降においてアメリカの戦争は変質した。嘗ては自前で戦争に参加し、更に自分の富を戦後の復興に分け与えるという形であったのが、今度は戦争を誘導してから、予め、又は事後に、他国の金を集金して戦費に充当し、戦争後の復興もまた他国から支援金を集めるという形に切り替えた。即ちアメリカは戦争によって自国の産業を儲けさせるために戦争を商品として、あるいは商売のための手段として取り扱うようになったのである。

アメリカは生産を下々に委ね、自らは秩序管理者の役割を果たして、その見返りとして支配権力と資金徴収権の行使とをもって生業(なりわい)とする特化過程を歩みつつある。

人間の精神を、力を持って捻じ伏せ切るなどということは決してできない。アメリカはそれに近いような事をやろうとしている。そしてアメリカ自身の軍事的な技術を用いるアメリカの敵によって、逆にアメリカが攻撃されるという結果になっている。

だがアメリカがここで急にもの優しくなれば世界がより良くなるという保障もない。アメリカは自分達が舐められてしまってはもう終りだということを知っている。進撃するしかない。

~アメリカの世界支配のための主要標的

      ❖科学テクノロジー優位-アメリカは他国による科学テクノロジーがアメリカのそれを凌駕することに耐えられない。アメリカはその自由・開放・公正という理念による無防備さと、科学テクノロジー優位という国家の必要に伴うなりふり構わぬエゴイズムや仮借の無さとによって、その時々に矛盾した行動様式をとる。

      ❖宇宙・航空-アメリカは宇宙開発の優位性を保持しなければならない宿命から、今後も多大な国家財政支出をし続けなければならず、これを商売の種として輸出すればするほど自国の宇宙産業の相対的な地位低下を齎すという矛盾の中にいる。

アメリカの航空産業はヨーロッパの追い上げによって脅かされつつある。そして第二、第三のヨーロッパが台頭するであろう事は必然である。

      ❖エネルギー支配-アメリカは既にエネルギーの輸入国であるとともに、世界最大のエネルギー消費国でもある。しかしアメリカは世界のエネルギー供給秩序の最大の形成者である。・・・がこの役割の遂行は、アメリカにとって直接の収入源ではない。

アメリカのエネルギー世界支配の標的は、

第一に湯水のように消費するアメリカ国民の為のエネルギー確保であり、

第二に世界中のエネルギー供給の蛇口を把握し、アメリカの意向ひとつでこの蛇口を開いたり占めたりすることを通じての世界管理・世界支配にある。

この二つの標的は互いに密接に関連しあっている。

なお、上記のようなアメリカのエネルギー支配方法をロシアもやろうとしている

      ❖食料支配-アメリカは穀物の大量供給国である。アメリカの農業は遺伝子操作化学肥料多用・殺虫剤多用・機械化・灌漑用水汲み上げの為の石油エネルギーの多用、大規模生産、などがその著しい特徴であり、その生産力と価格競争力は圧倒的である。これを国際競争力のない全世界の国々に売りつけようとして諸国と争う。アメリカの食料支配世界戦略は、食料という、生存のための根幹物質に関して、比較優位・国際分業の考えを導入しようとする。即ち、「大量で安い事」のみを食料の需要-供給原則にしようとし、結果的にではあるが、農業の生物的多様性・土壌や生き物に対する自然管理性・食料主権性を押し潰そうとしているかのように見える。アメリカは弱肉強食原則の無条件な支配を要求する。このやり方が進行するならば世界の小規模農業者が失業して都市や北側の先進国に移動するであろう。天変地異の際には、食糧の供給基地の世界的な分散化による救済の機能がなくなる。

食べ物の画一化と劣悪化が進行する。アメリカは言う。

「食料支配は原爆による支配よりもっと強力である」

「蛋白質を制するものは世界を制する」

      金融支配アメリカの金融業界(より正確には、金融操作業界)は、彼らの金融上の作法()たるグローバルスタンダード(世界標準)を政府と一体となって世界に浸透させようとしている。

他国とアメリカの違いは、アメリカがこの作法によって、いかにして世界中から金を吸い取るかに腐心し、その能力に熟達しているのに対して、グローバルスタンダードを導入させていただく国々の多くが、この作法()によって自分達の金融がいかにお行儀良く、お健康に成るか、それが最大の関心である所に存する。

アメリカの金融支配のもっとも典型的な方法として、非常にアメリカに対して従属的な国になってしまった国である日本における事例を見ることにする。

まず金融市場の開放が第一に来る。この開放は日本国内的な措置、即ち、銀行と保険と証券と信託とノンバンクという各業界の垣根を取り払うこと(=兼業の自由化)、そして対外的な措置、即ち、外国の参入に対する垣根を取り払うこと(=外国企業の参入と外国資本流入の自由化)、この二つの措置によって出来ている。

次にグローバルなスタンダード(=地球的な標準)を導入させる事を行う。グローバルスタンダードの一つは時価式会計制度(=企業が保有する資産の評価額をその取得時の値段で行うのではなく、時々の時価相場で評価計上しようと言う気違い染みた制度で、独り日本政府のみがこの基準を採用した世界で唯一の国になった。この制度を採用した企業は、企業自身の経営努力と関係なく時々の株式や土地の価額の浮沈によって資産状態が左右され、結局損益決算、株主への配当、社員の賃金額、この会社の株の値段、などが上下動するという不合理な圧力に曝される。このために、経常収支が黒字の企業でさえ、資産状態悪化を理由に外資への身売りや、産業再生機構への身売りを、日本の金融庁から強制されるという状況が現れた。)

この制度導入の狙いの一つはアメリカのモルガン、メロン、ロックフェラーなど巨大資本による日本の株価操作の効力増大にある。その過程は、

1.「株式の買占め」→「株価の上昇」→「時価式会計制度によって企業の資産価値が上昇」→「企業業績が上昇」→「株価上昇のより一層の加速」

2.「株式の売却」→「株価の下降」→「時価式会計制度によって企業の資産価値が下降」→「企業業績が下降」→「株価下降のより一層の加速」

である。

実際、日本の株市場取引における外国資本による投機資金の占める割合は7割を超えている。

この外資が株価操作とそれに伴う買占め・売り抜けによって巨大な利益を得ているであろう事は明らかである。

グローバルスタンダードの二つ目は、銀行の自己資本比率に関するBIS規制(=銀行は銀行の貸し出し総量の8%に該当する額以上の自己資本を持たねばならぬというものである)である。アメリカでは銀行の業務は個人相手の預金受付と個人消費ローンが主流であるが、日本の銀行は企業に対する貸し出しが業務の主流であることにアメリカは目をつけた。そして日本の財務省に自己資本比率規制の採用を強要

*-(自己資本比率が8%以上ないとその銀行は国際決済業務ができないと定めた国際決済銀行(BIS)規制はアメリカが指導してできたものである)-

したために日本の銀行は対企業貸し出しの頭を抑えられて一斉に貸し剥がし、貸し渋りに走ったのでここ数年来の景気悪化が一段と加速されてしまった。しかも時価式会計制度が、「景気悪化」→「資産価値の低下(土地や株価の値下がり)」→「時価式会計制度による企業損益決算のより一層の悪化」というルートを作り出して、景気悪化を更に促進した。

かくしてアメリカ巨大資本のお膳立ては整った。

後は株式や通貨為替市場に進出して株価や為替レートを操作し、不良債権に喘ぐ日本の銀行に対して自己資本比率基準の遵守を強要し、不良債権の処理(=銀行や企業の倒産・破産処理・企業再建・公的資金=税金の注入など)を促しつつ対象銀行や対象企業のうち、残った金目のありそうな部分を二束三文で買い叩く。このときに自己資本比率が8%確保されていれば、それは例えば自己資本比率が6%しかない場合とでは買い叩きに伴う利益に大差があるであろう。

一方において、円~ドル為替操作による大掛かりなアメリカによる対日カスリ取りが存在した。

1,985年のプラザ合意(=ニューヨークのプラザホテルで米・英・独・仏・日本の蔵相が集まってドル安協調介入を合意したもの)によりドル安政策協調実施を了承して以来、ドルが240円から120円へと半分に値下がりした。

(ドル安というアメリカの要望に最も応えたのが日本政府であることは次の表によって明らかである。)

ドル安円高誘導のための方法は二つある。

一つはドル売り円買いを日本の政府が大掛かりに実施すること。

もう一つは日本の金利をアメリカの金利よりも高く設定して、アメリカからの対日投資を増大させることに伴う、ドル売り円買い促進を期待するものである。

だがアメリカは日本に対してアメリカのドル建て国債を売りつけて、後にドル安によってこの国債の価値を低下させてアメリカの対日借金(=日本のドル資産保有分)を減らして計画的な借り倒し利益を得ようと目論んでいた為、日本に景気対策という名目でゼロ金利政策を強要したから、日本政府は高金利操作によるドル安介入手段を封じられた形になり、もう一つの手段である為替市場介入に偏って異常な踏ん張りをしなければならなかった。

一方、日本の財務省はアメリカの命令を受けて日本の金融機関にアメリカ国債購入を強要。(買わないと、もう意地悪しちゃうぞと執拗に脅かし続けた。)

こうして目減りした資産(アメリカの国債)のために日本の銀行の自己資本比率が大きく低下して6%を割り込んでしまった。ここにかの自己資本比率に関するBIS規制が介入して銀行による貸し剥がし、貸し渋りを誘起し、日本経済のより一層な悪化を齎してしまったのである。



表-1

各国通貨の対米ドルレート変遷率(%)

(1.975年を100とする)

国名

通貨

;75

;80

;85

;90

;95

;97

;98

;99

;00

100

76

80

49

32

41

44

38

36

ポンド

100

96

171

124

141

136

134

137

337

マルク

100

74

120

66

58

70

72

フラン

100

99

211

127

116

136

138

リラ

100

131

292

184

250

261

266



(1-数値が大きいほどドル高-円、ポンド、マルク、フラン、リラ安-であることを示す。)

(2-ドル高であればそれだけアメリカの貿易国際競争力が他国に比べて低く不利になる。)


注)1~[日本の金融機関が保有するアメリカ国債総額は取得時価格で計算して2,000億ドルを越える。これが4割くらい目減りしたとして、円換算で約18兆円の目減りになる。(金融機関に限定せず、日本政府や日本企業、個人の保有する分を含めれば、日本のアメリカ国債保有総額は約3兆ドルである。故に1.2兆ドル(=170兆円)・・・これが目減りの総額になる)]

(注)2~[この日本によるアメリカ国債大量購入の裏には事情があった。それは、

96年の、中国による、台湾に対する軍事的な示威攻勢(日本と台湾に対する威嚇の為に台湾と沖縄の中間地点にミサイルを発射した)の狙いは「中国が台湾に暴力侵攻をしても日本は中立的姿勢を保て」と日本に命令しようとするものであり、日本が中立的であるならば、日本に駐留しているアメリカ軍は実質的に何も出来なくなり、中国に対して何の脅威でもないことになる。中国が台湾に軍事攻勢をしたときに、これに反応するアメリカが、米軍の日本横須賀基地から空母インデペンデンスを台湾海峡に出撃させたが、中国の逆鱗に触れることを恐れる日本政府(橋本龍太郎首相が中国の美人スパイと非常に懇意になり、それを弱みとされて、中国従属を余儀なくされた)はアメリカに対して「空母インデペンデンスの出撃を日本は知らなかったことにして、日本の中立性を偽装してくれ」と頼んだため、その代償として日本がアメリカ国債の大量購入という条件を呑んだという事情である。

勿論横須賀基地からアメリカの空母は出撃した。

日本外務省はこれを知らなかったなどと、国民に対して嘘を言った。

アメリカが日本に無断でこっそりと日本の横須賀基地からあの巨大な空母インデペンデントを出撃させえたこと自体が、到底有り得ない驚きであるが、日本はそれを知らなかった事にして中国のご機嫌を取り結んだ訳で、これをみると、日本の政治的状況がもう末期的症状に立ち至っていることが窺われる。

日本は国家意思を放棄し、アメリカと中国の両方によいツラを示すために、その代償を金で贖ったのである。]

(注)3~[政策としてのゼロ金利は不合理な計画経済的処置に属するものである。これで日本の銀行は怠けだしてしまった。(最も以前から怠け者ではあったのだが。)

低金利のために資産運用業界(保険会社、厚生年金運用会社など)の業績が悪化し倒産会社も発生した。

しかし、供給過剰である日本経済の現状からしてゼロ金利にも拘らず企業の設備投資も、ベンチャー投資も伸びない。高額資産保有者達も金を握りこんでいても金利がつかないために利息収入が存在せず、そのためケチにしている。だがゼロ金利の割には、なぜか個人消費ローンの金利がたいして低下していない。]

アメリカの金融の著しい特徴はアングロサクソン的な投機にある。投機とは結局、一定額の金を何人かが争ってふんだくり合う行為であって、そこには生産性が全く無い。しかし、アメリカは自国の金融産業をグローバルスタンダードの公布によって外国に展開させ、外国の通貨、株、先物物資、などの価格を操作しておいて、ここに先物投機をかけて儲ける術に目覚めた。それを可能にしたのはアメリカの巨大な資本力、軍事力、消費力、ドルへの信任、そして、アメリカがもつ他国に対する国際政治上の権力、である。投機は誰かの損失によって別の誰かが儲けるというバクチ・システムであり生産性・建設性がゼロであるから結局、アメリカは他国の財を掠りとる吸血的行為をもって、その国家経営方針の一つの柱としたのである。

      ❖情報支配-情報は「他国の情報を掴む」「自国の情報を隠す」「自国や他国に関する情報をでっち上げて流し、信じさせる」-この三つの力によって成り立つ。エシュロン*-(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージランドというアングロ-サクソン同盟による世界規模の盗聴機関)-に見られるように情報優位はアメリカが持つ世界戦略の要の一つであるが、勿論、これは商品として直接に金になることはない。そして逆にとても金が掛かる。

       このようにアメリカは(ドル)の持ち出しによる世界の秩序支配を商売にして、その巨大な消費を維持し、併せ、その消費力によって世界経済の景気を牽引するという役割を果たしている。

必然アメリカの経常収支とアメリカの財政は赤字基調にあり続けざるを得ないという宿命を持つが、アメリカの世界秩序維持者という立場に対する信任がドルへの信任となり、巨額のドルがアメリカへの投資としてアメリカに還流している。

アメリカの優位性は絶えず脅かされようとしており、そしてアメリカの諸優位性が崩れればアメリカは衰弱するであろう。

アメリカの世界管理機能は直接的には金にならない。したがって、アメリカの経常収支と財政収支は常に赤字への圧力に曝されていて、これが一定の限度を越えて進行し、ドル信任力が低下すればアメリカは衰弱するであろう。

アメリカの巨大消費力による世界経済牽引機能は、もしかするとインドや中国のような巨大人口国の経済発展によって取って代わられる可能性がある。

だがインドや中国が、アメリカが見せているような(曲りなりにもにせよ)世界秩序に関する理念や気組みを持つということは不可能である。消費力だけが問題の全てではないのだ。

➡アメリカが戦争と金融操作によって国家の生業としていることにより、アメリカは没落する必然性を内包する。その理由は次のようなものである。

❖まず金融操作は世界の経済を混乱させるだけであり、「世界の富のいわれなき移動」(=泥棒行為)によって経済合理性を破壊するが、逆に金融操作には経済に対する貢献が何もない。だからアメリカがいつまでもこのようなことを続けていられる訳ではない。

❖戦争の輸出は多くの国々が反対し始めている。

アメリカの戦争に伴う集金に対しては、次第に応じたがらない国々が増加するであろう。

*-アメリカが自らイラクに武器を供与しイラクによるクウエ-ト侵略をそそのかして起こさせた第一次湾岸戦争により五兆円という戦費を費消し、もってアメリカの軍産複合体に慈雨を与えたが、その際に日本を始めとする同盟国に対して中東原油の受益者負担金として、総戦費の50%以上に相当する2兆6千億円を回収して濡れ手に粟のダブル収穫を達成した。

*-アメリカの第二次対イラク戦に掛かる費用は 

⋆戦費-          (最低で400億ドル

⋆軍の駐留費-

(300ドル/年)×(2~3年)=700~1,000億ドル

合計にして7.7兆円~11兆円とされている。(アメリカの議会予算局)アメリカはその内の8割を同盟国に負担してもらおうと目論んでいる。

❖アメリカによる戦争は憎米者達を生産し続け、この中の非常に多くの者達が対米テロを願望し始めるに違いない。

❖アメリカの経済政策としての戦争がアメリカの景気を上昇させ得るか否かは、アメリカの戦争的財政出動がアメリカの有効需要をどれだけ、いつまで喚起させ得るかにかかっている。有効需要は景気上昇の発火点になり得るような国内総需要の増加をいい、究極的には最終消費者の消費需要の増加によって示される。それ故に、戦争支出に伴う有効需要とはアメリカ政府による戦争公共支出→軍事産業とその周辺産業、それに兵隊の収入などの増加→この家計収入への分配→それがどれくらいの割で消費需要となって消費市場に湧き出るか・・・に掛かっている。その他に、上に述べたような戦争支出の経済効果を見込んで人々が消費支出や株式投資を先取り的に前倒しするような心理効果というものも存在し得るであろう。

仮に戦争で消費が煽られたとしても、それが発火点になって新しい成長の爆発が継続的に起動しえるものか否か-それは爆発するべき何かが既に経済そのものの中に(戦争支出とは別に)準備されていなければならない。その何かとは、いわずと知れた新しい消費フロンティア(地平線)の拡大である。消費フロンティア拡大の状態は二通りある。一つは新しい発明(昔の自動車とかTVとかがそうであった)の普及であり、これは勿論、それに対する購買力の裏づけが付けを伴うものでなければならない

もう一つはまだ消費欲求が満たされていない非常に多くの人々が、消費の予備軍として存在して、この人達に何らかの方法でGDP(国内総生産)の分配が行き渡ること、そしてこの人々が分配金を貯蓄しないで消費することである。しかしアメリカがもう戦争の中に救いを求めるようなとき、そのような経済状況~消費フロンティアの拡大する可能性という状況が背後に果たして有るのだろうか?

なるほど一つの戦争投資によって一過性の消費を煽り立てることが出来て、運良くその消費がある程度は効果を継続するかもしれない。しかし煽りはあくまで煽りでしかない。もし、アメリカが世界の帝王として戦争経済に身を委ね、次々と悪者を見つけ出して、又は悪者を作り出して戦争を行ない続ければ世界は破滅するであろう。

❖アメリカの支配的権力の行使による世界秩序保持という仕事は、アメリカの巨大な消費に見合うだけの収入をアメリカに齎さない。アメリカの経常収支と国家財政赤字とが一定の限界を超えればアメリカのドルへの信任は世界から消滅する。

❖アメリカが国家的に管理業務に偏向したということは、アメリカの社会構造もまた管理者社会的構造~(即ち、上位支配者階層と下層貧困労働者階層への二分化と、中産階級の没落・減少構造)~へと偏向したということになる訳である。何となれば、実体経済における実体生産力は中~中下流階級が担うのであるが、アメリカが実体経済における実体生産力を他国に担わせれば、アメリカ自身の内部における中~中下流階級が痩せ細るからである。

だが、・・・

「近代の世界史を通じて、国家の政治的な安定と社会的な平和を保ってきたのは、安定した中産階級および、自分達も向上すればその仲間入りを果たせるという下層階級の信念である」(「だからアメリカは嫌われる」)

したがって、このままアメリカが二分化階級社会へと、共産社会のように階級分裂の道を歩み続けるならば、その行く末は嘗てのソ連の末路のようなものになるであろう。

しかしアメリカは、このような社会構造をより自由で平等な構造に復元させるような政策~(富裕層に対する増税と貧困階級に対する減税、福祉政策の推進、トラスト制限の強化、などの諸政策)~を推進することが出来ない。何故ならば、アメリカが執行する管理業務は本来、直接的に富を生産することができない性質のものであるから、このような諸政策を行なう為の財源がないのである。仮に大企業に対して増税政策を採るものとしても、大企業(食料会社、エネルギー産業、軍需・航空・宇宙産業、情報やエレクトロニクス産業に関わる大企業)はアメリカの世界管理者としての業務の支え手であるから、アメリカがその本来とする世界管理者としての立場を放棄しない限り、大企業の力を弱くするような増税政策や反トラスト策を採り難いのである。

➡アメリカについて確実にいえることはアメリカが最強者であり続けようとすることである。他国がそのことを受け入れてアメリカを殊更に凌ごうとしない限り、アメリカは確かに我儘な存在であるが、世界のもろもろの自由に対して寛容であり続ける。

少なくともそうであるように振舞い続ける。

アメリカは、アメリカを超えようと試みるライバルの存在を容赦せず、その萌芽、その兆候をもすかさず抑圧し叩こうとするであろう。しかし反面においてほとんど意識せずにアメリカは自己の存在理由を確認しようとするが故に、自己確認の方法としてとライバルの台頭出現を望んでおり、それを創り出そうとさえするであろう。

アメリカは自分自身がその原因と成って創り出した所の世界中に蔓延する対米憎悪―その増殖、その浸透に怯えている。実際、核拡散に対して非常に神経質であるのは独りアメリカが突出している。

ロシアや中国、そして事によるとフランスさえも、本心何処吹く風で、彼らは核の買い手がついて儲かりそうであれば平気で売付けようとするであろう。

国家暴力が自由と並んでアメリカの存在の根拠である。故にアメリカの行動の多くを、アメリカの軍事産業が儲けるためであるという動機付けに帰着させる事は間違っている。アメリカが言うのは「ここは私達の分野だ。私達の存在理由がここにある。―それは自由と国家暴力(と正義と人権)だ。」ということである。アメリカはそういっているに違いない。

故に、緊張と紛争―これをアメリカは決して手放そうとはしない。

アメリカの大統領は国民を統御する前にアメリカ国民によって選出されなければならないのであるが、アメリカの国民は統御されるよりも、刺激を受け、鼓舞されることをより好む。アメリカの経済はその巨大な消費力によって世界経済の牽引力であるが、彼らが行う反対給付は主として国家間暴力による世界の秩序保持にある。アメリカがするこのような強力であるが故に反って弱点に満ちた世界戦略が永久に栄え続けることは出来ない。しかしアメリカは歴史上課せられた自らの役割を今果たそうとしている。仮にアメリカが忽然として地上から姿を消してしまったとして、その後に描き出される世界のイメージはまことに恐ろしいものになるであろう。

中東のアラブ諸国は競って核武装に走り出すが、これを押さえうる意欲と力をもつ国はアメリカを措いて他にはもう無い。そうなれば中東の地はイスラエル対アラブ諸国間による恐ろしい核戦争の舞台になる可能性が格段に高くなるであろう。

ロシアと中国が虎視眈々とアメリカの後釜になろうとして待ち構えている。しかし、これはあまりにもぞっとしないシナリオである。

アメリカの関与がもしなければ、紛争の規模と破壊の凄惨さは、そのスケールを縮小し得るかも知れない。しかしその場合、紛争は未解決のままに燃焼し続けて、時に世界から忘れ去られ、世界から遮断されたままいつまでも打続くかも知れない。

アメリカの意図がどうであろうとも、平定と再建の可能性と並んで、もっと深刻化した紛争再燃の可能性を同時にアメリカが齎す。アメリカの意図がどうであろうとも、アメリカの抑圧によってアメリカに次ぐもろもろの暴力的暴発が押さえ込まれているが、その暴力的な衝動が消滅する気配は皆無である。

―暴力との訣別、この問題はアメリカさえいなければ・・・あるいはアメリカが世界の帝王として何とかしてくれれば・・・というようなレベルで為しえるものではない。我々は歴史の必然でもあるようにして兵器の発達が持つ蠱惑とその魔力に取り憑かれてしまった。独りそこから逃避しようとしても周りが許さない。

全員が全員を互いに縛りあっているが、それは絶対に解けない縛りである。

~アメリカ対中東

➡アメリカによる今回(2003.5)の唐突なイラク攻撃の動機は次の五つのものである。

       ⅰ-第一次湾岸戦争(1990~1991)(イラクが隣国クエートを侵略したためにアメリカ軍を主力にした多国籍軍がこれを追い返したもの)以後アメリカとイギリスがイラクに対して経済封鎖、空爆をしている間に、裏をかいたフランス、ロシア、中国がフセインと密かに対イラク石油利権契約を締結しているので、アメリカは苛立っていた。

アメリカはイラクのフセインを征伐してイラクを開放し、イラクの石油をものにしなければ収まらなかった。何となれば湾岸危機に際しての最大の軍事的、外交的貢献者は他ならぬアメリカであるのに、アメリカを差し置いて今、よそ者共が美味い汁を吸っているではないか。そしてブッシュ(今の二代目のブッシュ)は石油資本による政治献金を使ってアメリカの大統領選に勝利している。

そして多くの石油資本系の人間がブッシュ政権高官に就任した。

アメリカの中東石油依存率低減政策にもかかわらず、アメリカによる石油輸入全量に占める中東依存率は30%ある。アメリカの石油メジャーによる石油の採掘・加工・販売活動の多くが中東の原油に対するものだ。

詳細(イ).~1,991年の湾岸戦争後、国連安全保障理事会がイラクの原油輸出禁止を決定した。

しかし1,995年には、仏、露、中三国の後押しによって一部が解禁された。

その内容は半年に20億ドルを限度として原油の輸出を認めるが、輸出代金の使途は食料と医療品でなくてはならないというものである。そののち、1,998年には、輸出上限額が約53億ドルに増額され、更に1,999年には石油輸出上限額枠が撤廃された。このような経過の中に石油埋蔵量世界第二位のイラク原油をめぐる国連安全保障理事国達の思惑が見える。即ち、アメリカとイギリスは対イラク戦の主役であり、対イラク強硬派を形成してイラクの原油輸出禁止を唱える。しかし内心ではイラクの原油採掘~販売権を独占したい。そこでアメリカのメジャーは内証でイラクと交渉をするがイラクの反応はよくない。アメリカとイギリスの他にも、フランス、ロシア、中国など10数カ国の石油会社がフセインとひそかに交渉して、2,000件近くもの石油供給仮契約を締結している。そしてこの内の8割はアメリカとの契約であり、総額は約50億ドルである。しかしフセインは手付金だけを受け取って、契約の履行には中々手をつけなかった。イラクへの経済制裁後、イラクに対して裏投資をして成功した額は、フランスが69億ドル、ロシアが37億ドル、イタリア+スペインが19億ドル、アメリカは10億ドルと最も少ない。これでアメリカがヒステリーを起こしてイラクを征伐しようとした理由と、ロシアやフランスがこれに反対した理由が分るであろう。

尤も、第一次湾岸戦争のときに全く何もしなかったロシアや中国が、アメリカやイギリスを差し置いてイラクの石油利権にしっかりと食い込んでいるという事実はアメリカならずとも、他の第三国にとっても決して愉快なものではない。実際、中国やロシアのような信頼性にかける国が世界第二位の埋蔵量(確認埋蔵量は1,125億バレル)を持つイラクの石油を壟断するということは人類にとって非常に危険なことである。

*-(ロシアは埋蔵量150億バレルというイラク最大の西クルナ油田のほか、北部のバイ・ハッサン油田とクルド人たちの居住地内にあるキルクーク油田、南部ではスバ・ルハイス油田を押さえた。フランスは東部のナウ・ウルーム油田とマジュヌーン油田について交渉中であり、中国は中央部のアダブ油田に続き東部にあるハルファヤ油田について交渉中である。)

*-(イラクの原油はバレル当り1ドルであり、これはアメリカが膨大な金を注ぎ込んで開発している中央アジア(カスピ海沿岸地域)やロシアの原油価格、1バレル当り40ドルに比べて非常に安い。

もしフセインがロシアや中国、フランスなどと組んで、膨大なイラクの安い石油を世界市場に放出したとすればアメリカの原油開発は徒労に帰し、アメリカの多くの原油開発会社は倒産するであろう。)

アメリカはフセインに対するイラク人反対勢力のうち、チャラビーといういかさま師のグループに目をつけて、この者を中心とした「イラク国民会議」をフセイン追放後のイラクの傀儡政権に仕立て上げ、この政権がアメリカの石油資本に対する利権を最優先的に与えるという密約の元、チャラビーはブッシュ政権の中の新保守主義者グループが編成したフセインの関する情報探索・情報捏造機関である特別計画室(OSP)に対して、S・フセインのアルカ-イダとの密接な連携や、大量破壊兵器開発・保有に関する偽情報を垂れ流したが、イラク攻撃を既に既定路線と考えている人の良いブッシュはこれを無条件に信じ込んでしまった

*-(このチャラビーは、その後イラクの再建過程で、イラク人たちの激しい反撥を受けて失脚してしまった)-

しかし、イラクには既に大量破壊兵器が殆どなくなっていたし、フセインとアルカ-イダの接点も全くなかったのである。

(世俗主義の独裁者であるS・フセインは過去30年間にわたってイスラム原理主義の殲滅に励み、オサマ・ビンラディ-ンもフセインを背教者と呼び抹殺しようと企ててきている。この犬猿の仲の二人が結託するということはありえないし、そのような証拠も見つかっていない)

然るにアメリカ政府は、国連安全保障理事会常任理事国の各国に対して、

「アメリカのイラク攻撃に作戦しなければイラクでできる(チャラビー首班による)新政権誕生の後はイラクの石油をお前たちの国には売らせないぞ。」などと威嚇したのである

(元アメリカCIA長官J・ウルジーの証言による)

詳細(ロ).~一方、仏、露、中はどうか。彼らは巧く立ち回った。彼らは既にイラン~イラク戦争中期以降における対イラク武器供与上位三カ国であり、当時全イラク武器輸入量の七割程度をこの三カ国で占めていた。イラクの原油輸出額上限値を開放する過程で彼らの演じた役割はこうである。

まず、イラクが国連査察団による大量破壊兵器査察活動を妨害する→仏、ロ、中がこれを仲裁して事態を収め、イラクは妨害を止めて協力的になる(振りをする)→その代償として国連決議による経済制裁の一部緩和をイラクに与える(ここでこの三国の国連安全保障理事会常任理事国という地位が物を云う)→その代わりにイラクは自国の石油採掘権をこの三カ国に優先して与える。

こうした過程を経てイラクの原油生産力は既に(2,002現在)クエート侵攻前のレベルを越えている。かくしてイラクの石油利権獲得競争においては、仏、ロ、中が米英をかなり引離してしまった。

これに苛立っていた石油系のアメリカ大統領ブッシュは、9/11の航空機突入テロを契機にして遂に切れてしまい、国連の決議クソ食らえ。ついてくるものはついて来い。フセインを潰してアメリカがイラクにおける(石油利権の)主導権をとるぞと決意したのが今回のイラク戦争の石油的真相であり、紛れもなくこれは国連安全保障常任理事国共の間で行われた利権闘争である。アメリカの言い分は「湾岸戦争で一番骨を折ったこのアメリカを差し置いて野次馬共がコソコソと泥棒をしやがって、ただで旨い汁を吸いやがって・・・」というものである。

実際、9/11テロ直後において既にブッシュはCIAに対して次のように命令した。

「叩くのはイラクだ。アフガニスタンには何もない。なんとしても9/11テロとイラクの関係を導き出せ」~(ジョン・E・マクロリンCIA副長官の証言)~(「華氏911」)

ブッシュはイラク攻撃の可否について副大統領のチェニーにも国防長官のラムズフェルドにも一切どうする?とは言わなかった。両人の気持は分かっていた。中でもチェニーは、何故か殆ど熱病に浮かされたようにイラク戦争に固執し、打ち込んでいた。

~(「攻撃計画」~byボブ・ウッドワード)

ブッシュはフセインからの提案-「私を亡命させてくれ。そして、私とその一族の安全を保証してくれ。ついでに国連のイラク貧困民救済措置として認められたイラクの石油輸出許可枠の売上金からくすねておいた20億ドルを国外に隠して持ち出させてくれ。そうすれば私はイラクをアメリカに明け渡す。」-という申し出を即座に断った。戦争はしなければならないのだ。

~(「攻撃計画」~byボブ・ウッドワード)

ブッシュが胡散臭い大統領選で非常にいかがわしい八百長行為(民主党支持者層が厚い有色マイノリティ有権者に対する有権者名簿登録抹殺、集計上の工作など)によってアメリカの大統領に当選したことは周知の事実である。このときにアメリカの議会、政治家達が民主、共和の区別なくこの国家的八百長に協力したり黙認したりした。

このマイノリティ達がアメリカの議会で選挙権抹殺という事実について報告したときに、誰一人、どの供述者の供述書に対しても、唯の一人も上院議員は署名していない。

供述書には最低一人の上院議員の署名が必要であるにも拘わらずにである。

このように国家大のスケールで彼等を動かすことができるのは何かといえばそれは金(選挙資金)しかない。してみればブッシュは始めからイラク戦争をなすべく、この政治献金勢力によって大統領に指名されたのだという事になる。

           注意~1.[アメリカはイラクの石油権利を独り占めにしなければならない。何故ならば、そうしなければ多くの犠牲者を出して戦争をしたことについて国民に申し訳が立たない。しかも泥沼状態はまだ続くであろうからなおさらである

しかし、アメリカがイラクの石油利権を独占して、イギリスをはじめとする同盟国にその権利を配分しようとすれば全中東が黙ってはいない。

アメリカのお里が知れて世界中にアメリカに対する幻滅と侮蔑が拡散するであろう。アメリカはこのような矛盾を抱え込んでしまった。]

           注意~2.[フランスのシラク大統領はイラク石油の利権仲間であるロシアのプチン大統領と、ドイツの平和主義政党の党首兼大統領であるシュレーダーとを抱きこんで反イラク戦争同盟を結成した。しかし、シラクの真意はこうであった

 a.シラクはブッシュが自分を軽視していることが気に食わなかった。「ブッシュとアメリカは自分に敬意を払っていない。情報をよこさない。シラクの不満を伝えられたブッシュは好意や敬意くらい腐るほど浴びせてやろうじゃないかと言った」~(「攻撃計画」~byボブ・ウッドワード)

 b.シラクはフランスの対イラク石油利権がアメリカによって一方的に壟断されることを懸念した。

アメリカはフセイン追放後のイラクに対して、フランス、ロシア、ドイツ、日本、などが保有する対イラク債権を放棄してくれといった。

その理由は、終戦後のイラクの石油収入をこの債務返済から開放してイラクの復興建設資金返済に早く回し、アメリカ企業が受注したイラクの復興建設代をイラクから早く取り戻したいからである。

(その金の流れはこうだ。「イラクの復興建設代を、アメリカ政府が当面イラクに代って、アメリカの企業に対して支払う」→「債務免除を受けたイラクは石油の輸出を再開して得た収入をダイレクトにアメリカへの返済にまわす」)

実際、イラクの復興建設業務は全てアメリカの企業が受注した。その主力企業は副大統領のチェニーが会長をしていたハリバートン社である。

そのためにイギリスの政府がアメリカに対して自国の企業にも少しは寄越せと苦情を申し入れたほどであった。勿論、アメリカは自国の企業に対する安全確保について、世界最強のアメリカ軍を動員して殊更に力を入れている。

シラクはブッシュに対して、イラクの石油についてはお互い旨くやろうではないか、イラクの復興工事に関しても色々協力できそうじゃないかと仄めかしたが、これはブッシュに一顧だにされなかったのである。

              ⅱ-イスラム教スンニ派フセインのイラクが、核、毒ガス、細菌類、を用いる兵器を開発しているとして(アメリカにおいてその疑惑は大きい)、こうした兵器による攻撃の主要な標的はシーア派のイランとクルド族とイスラエルである。そして親イスラエル的共和党右派がブッシュ政権の中に隠然とした影響力を持ち、ユダヤ系アメリカ人政治家や、ユダヤ系ロビー団体によるアメリカ政府、アメリカシンクタンク、アメリカの議会への進出が目覚しい

「ユダヤびとがエルサレムとパレスチナの地を回復して、故郷に帰る日が来るべし」という新約聖書の話を本気で信じていて、それ故にその通りにしなければ世界の救済はないと本気で信じているキリスト教原理主義者の票がブッシュ大統領の実現に対してかなり貢献している。ブッシュは再選のために彼らの願望を無視し得ない。

当然、フセインを征伐し、親アメリカ的イラク政府をアメリカの手によって樹立し、以ってパレスチナの地におけるイスラエルのヘゲモニーを磐石にしなければならない。

人工的移民国家アメリカは常にIdentity-crisis状態にある。それ故にアメリカ人のキリスト教に対する宗教心はヨーロッパ人を上回る。

特にキリスト教原理主義者が4000万人を超えている。

(とすれば、アメリカ人の4人に一人はキリスト教原理主義者であるか、もしくは少なくともその予備軍であり得る勘定になる!)

キリスト教原理主義とは旧約聖書の予言、即ち、キリスト教徒(絶対善)と異教徒(絶対悪)間の最終戦争(=核戦争)が発生し、キリスト教が勝利しなければならない。そのとき世界はいったん破滅するのだが、選ばれた人々であるキリスト教原理主義者たちはこの恐ろしい世界破滅から救い出され、天上に飛翔し、キリストと共に地上の崩壊する様を眺望する。・・・という極めて利己的、かつニヒリズムに満ちた妄想体系であるが、このような予言を本気で信仰しているアメリカの知性が少なからずいるのに我々は驚愕する。実際、大統領としてロナルド.レーガン、ジェラルド.フォード、そして、ジョージ.W.ブッシュがいる。第二次イラク戦争の推進者群、ドナルド.ラムズフェルド国防長官、チェニー副大統領、そして、ユダヤ系のポール.ウォルフォウィッツ元国防次官がイスラエルのユダヤ正教原理主義者群と親近関係にあるキリスト教原理主義との間にいる。ブッシュ政権が地球温暖化防止に無関心であるのも、この世界ハルマゲドン(最終解決)への信仰から見れば、地球環境の崩壊もその一端として必然の成り行きであると思い込んでいるからである

彼等がおこなったイラク征伐は勿論、彼等の信仰の実践、即ち、悪魔狩りの必然的な一環である。

(参考)-(「テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない」~桜井春彦~三一書房~2005.9.11)

しかし、アメリカはいずれ軌道修正をするであろう。

              ⅲ-アメリカ軍需産業界の重鎮がアメリカ政府の高官に就任する事が多いのは、アメリカの大統領選挙や、国会議員選挙に際して軍需産業が多額の政治献金をしているからであり、したがってアメリカ政府は定期的に戦争を実行し、以って溜まっている武器を費消し、新兵器の性能を検査し誇示し、以って兵器輸出を推進しなければならない

そしてイラクの大量虐殺用兵器開発・所持疑惑などは絶好の戦争機会であり、戦争理由である。

              ⅳ-9/11以降のアメリカは、イラクが、アルカ-イダなど世界中のテロ集団に大量破壊兵器を供与し、自国にもテロリストを養成し、憎きアメリカに対するテロリズム志向の一大勢力権になるということを本気で恐怖している。さもなければアメリカが数百万人分ものワクチンを自国の軍隊や国民に接種し、アメリカ軍のイラク攻撃隊に物々しくも真剣な毒ガス防御用マスクを準備したりなどはしなかったであろう

アメリカの国防長官ラムズフェルドと部下の中央軍司令官トミー・フランクスは、アメリカ軍が一ヵ所に大兵力を集中した瞬間に、そこにイラク軍が毒ガスや、細菌などを撒いて、大惨事になることについて非常に恐れていたので兵力の一カ所集中に対して非常に神経を尖らせていた。

実際、S・フセインは対イラン戦争の末期にイランの市民とイラクのクルド族の人民に対して、マスタ-ドガスを吹きつけ、幼児を含む多くの人々を殺害したのだが、アメリカはそれを見て知っている。

*-(S・フセインは、イランとイラクの国境に近いハラブジャというクルド人の居住する村に化学爆弾を投下して婦女子小児の区別なく五千人のクルド人を殺戮し、一万人を超える後遺障害者を生んだ。これは、;88、イラン-イラク戦争のどさくさにまぎれて、クルド人居住区の地下に存在するキルクーク油田(推定埋蔵量は100億バレル)をものにしようとしての行為であった)-

だからアメリカはイラクの生物化学兵器がS・フセインの手によって憎米国や憎米組織に流れ拡散することを本当に怖がっているのだが、反面においてS・フセインがイラン人やクルド人に毒ガスを吹きかけているのを承知の上でなおイラクに対して軍事支援をし続けていたのはアメリカである。

「;54~;60にかけて自国のユタ州で炭素菌、サリン、タブン、VXガスなどの上空撒布実験を行ったのはアメリカであり、対ベトナム戦争における実戦使用によって名高いエ-ジェントオレンジ(枯葉剤)、神経ガスなどをアラスカ、ハワイ、メリ-ランド、フロリダなどの各州で自国民に対して撒布実験をしたのもアメリカである。その成果を踏まえてイラクに生物化学兵器を供与したのはアメリカである」(広瀬隆~「世界金融戦争」~NHK出版~2,002.11.30)

アメリカは、イラクのフセインが、アルカ-イダによるテロの大成功を見て、「これだっ!」と手を叩いたものと想像したに違いない。仮に今のイラクに大量破壊兵器が存在していなくても、大量破壊兵器はS・フセインの心の中にある。フセインはチャンスさえあれば必ず大量破壊兵器を持とうとする筈である。イラクの核がイスラエルを睨み、イスラエルがイラクの核によって人質に取られる。そして他の中東諸国がイラクに触発されて次々と核兵器保有国になろうとするならばアメリカにとって、これは悪夢である。イラクの大量破壊兵器撲滅は査察などによっては不可能である。査察を無限に続けてもフセインがやる気を失わない限りは、フセインは大量破壊兵器の開発や製造をやろうとし続けるであろう。

査察を止めたり、査察の手を抜いたりすればとたんにフセインは核武装をし始めるだろう。

*-(第一次湾岸戦争のすぐ後、アメリカが9700万ドルの資金を提供して、アメリカ国内に反サダムフセイン体制亡命イラク人の組織イラク国民会議(=INC)が組織されていた。

この組織は元イラクの政治家、軍事関係者が主たるメンバーになっており、そのリーダーであるアーマッド・チャラビーが第二次湾岸戦争後のイラクの新しい体制の首相になることを予定されたが、イラク人がこのチャラビーをアメリカの傀儡、自分の欲望達成のためにイラクを売ろうとする売国奴と感じ取って猛烈な反感を浴びせかけた為、アメリカ政府もやむなくこのチャラビーを失脚させてしまった。

もともとはこのINCがイラクの核兵器開発、化学・細菌兵器の貯蔵、アルカーイダ組織との接触、相互支援、などという如何にもありそうな情報をアメリカの情報機関や記者達に吹き込み、9/11テロに見舞われてすっかり神経が参ってしまっていたアメリカ人とアメリカの政治家達がその情報にいかれてしまったという事情がある。結局INCはアメリカ人の中にフセインの脅威を刷り込んで、アメリカによってフセインを退治させて自分達がその後釜に座ろうとしたのであった。しかし、フセインを放逐した後、アメリカ軍による大掛かりな捜査にもかかわらずイラクには核兵器も化学・細菌兵器も見つかっていない。こうしたものは第一次湾岸戦争の後に行ってきた国連のイラク大量破壊兵器監視廃棄活動によってその殆どが発見され廃棄されていたのである。フセインとアルカーイダとの接点も全く存在せず、両者は反って反目しあっていたことも判っている。)

北朝鮮の場合もそうだが、アメリカ(や日本)が安心する為にはS・フセイン(や金正日)を征伐するしかその方法がない。

実際、一時期のアメリカは憎米的な大量破壊兵器生産・保有国のすべてをテロの温床として、片端から叩き潰してしまおうという気持ちになったのである。(しかし、アフガニスタンとイラクでもう息切れがしてしまった)

アメリカの国防総省は、2,002年の国防報告書において対テロ戦の執行について次のように言った。即ち、「戦争目的が同盟を規定せねばならず、同盟が戦争目的を決めてはならない」と。

これは分りやすく云えばこうである。

「アメリカの方針に協力するものだけがアメリカの同盟者である。我々はやる。協力したい奴は来い。」

更に、アメリカと軍事同盟を締結している国々は次のことに注意しなければならない。即ち、アメリカは同盟関係に準拠した戦はしない。アメリカは自分がしたい戦争のためにのみ戦争をするのだということを。(考えてみればそれはアメリカならずとも当然なことだが)

イラクから生物兵器や毒ガス兵器を供与された国や集団が自前で生物・化学兵器を製造し始めて、そいつらがまた生物・化学兵器を諸方に売り渡すという筋書きは、(もしこの筋書きが本当のものであるならば)、結局、生物・化学兵器がまるでナイフやピストルのように世界的にポピュラーなものになるというぞっとしない筋書きに繋がるのであるが、アメリカがそれを絶対に許さぬと決意したならば、我々はアメリカのこの決意を十分に了解することができる。

色々な憎米国家、憎米集団が互いに破壊兵器を融通し合っている。彼等に対して、アメリカ、ロシア、フランス、中国、ドイツその他の大国が適当に、ご都合に合わせて武器を輸出しており、併せ、革新的な軍事技術が拡散する程度は拡大し、速度は加速しつつある。かくして蓄積した暴力の標的が圧倒的にアメリカに集中する。脅えるアメリカは、もうやられるのを密かに待って、しかるが後に滅多打ちをもって応ずるという正義のガンマン的スタイルを取ることができなくなってしまった。

彼らが単独先制攻撃の分野に踏み込んだのは必然的な反応であるが、このように反応し続けるだけの体力は、いくらアメリカでも持ってはいない。

アメリカはこの先制的な言い掛り滅多打ち攻撃をすることによって、益々憎まれる種を撒き散らして行く。だが、アメリカに対して「贖罪の為に、ここはテロリスト達によってやられ続けなさい」などと言う訳にも行かない。

アメリカはアフガニスタン(その領土を通過するカスピ海からの石油パイプラインの施設が、タリバンによって拒絶されていた)やイラク攻撃のチャンス到来の時を待っていたのであり、2001.9.11のニューヨーク貿易ビルとペンタゴン(アメリカの国防省)ビルへの攻撃テロは、そのための絶好の口実とする素材であった。アメリカが知っていて密かにこの同時多発テロを誘導したと迄断定する訳ではないが、アメリカの一部にこれをイラク攻撃のチャンス到来と読んだ人々が居ることは間違いがない。

              ⅴ.アメリカの中東における地位は思ったよりも脆弱なものである。中東産油国中親米の最右翼たるサウジアラビアとアメリカとの間の友情とは、サウジアラビアの石油を支配するサウジ王族とアメリカ資本との間の利害関係による結合でしかなく、サウジ人民の間に親米感情などは存在せず、反ってアルカイダなどと共底する憎米感情が渦巻いている一方中東反米国はイラクを筆頭にイランとリビアという三つの有力国が聳え立っている。そして、これらの国々の背後で潜在的な反米国たるロシアと中国、更にはフランスまでもがアメリカの隙を付いて食い込み、アメリカを中東から放逐しようとして狙っている。アメリカは内心焦っており、一気にこの三国を征伐し、征服して、親米民主国にしようと思っているその手始めがこのたびのイラク征伐であった。

それ故、アメリカは結果が出るまではイラクから引き上げたくとも引き上げられない。アメリカの同盟国は四つのうちのいずれかを選択する決断をしなければならない。

a.イラクから永久に手を引く

b.イラクから一旦手を引き、アメリカが敗北した後に、またはアメリカが没落した後に、イラクの内乱に介入し、イラクにおける地位と利権獲得を図る。

c.少なくもイラクに関しては、イラクが平定するまではアメリカと命運を共有する。

d.独自の立場によってイラクの安定に尽力する(そんな方法があるものとしての話である)

➡中東の歴史は、アメリカとイギリスを主力にした欧米諸国による石油獲得のための血塗られた侵略と反抗の歴史であり、世界の民主制さえもがこの侵略の齎した恩恵に与っている。何となれば民主制の基盤は経済の発展と安定であるのだが経済の発展と安定のための基盤の重要な一つが石油にある。

我々が万古不滅の真理であるかのように信奉している民主制というものは、実は、今のところ石油によって成り立っている蜃気楼のようなものなのだ。

だがイスラム教徒たちの憎悪と怨恨はアメリカが集中的に受けることになるであろう。(参考-「世界石油戦争」~広瀬隆~2002.6.30~NHK出版)

➡アメリカの対イラク占領統治のお手本として、太平洋戦争後における日本占領統治の例を採用すると言っていた。しかし、この類推はとてもいい加減なもので、まず成功しないことが明らかであり、実際そうなりつつある。

       ⅰ-先ず、イラクとアメリカは、嘗て日本とアメリカがそうしたように、国民が総力戦を戦っていない。勿論、イラクは日本のように、原子爆弾による都市殲滅や絨毯爆撃による大量無差別焼き殺しも受けてはいない。アメリカはイラク攻撃に於いて、一応は限定目標に対して、お上品なピンポイント爆撃をするという建前は取っている。

イラクにおいて、フセインという独裁者集団がアメリカに一方的に征伐されて、イラク国民が巻き添えを食ったという感じである。

その巻き添え的暴行は広汎で残酷で理不尽なものであり、イラク人民の多くにとって、アメリカは占領統治者ではなく、要らぬ侵入者であり、民衆殺戮者でしかない。イラク人は国としてアメリカと戦争をして、降伏したとは思っていない。

この戦争はイラク人にとってアメリカとS・フセインとの間の私闘でしかない。イラクという国はアメリカと戦っていないのであり、それがイラク人のフラストレィション(イライラ、欲求不満)である。

       ⅱ-日本は対アメリカ戦の前から、自らの主体性によって民主制をもう構築していた。

しかしイラクにはそのような経験も追想も無い。

然るにアメリカはイラクのIdentityを人工的に拵えて上げる事が今からできると思っている。

だがIdentityは自らが産み出すしかないものであり、誰かにあてがわれて出来るものではない。建国というものは、もろもろの倒錯や試行錯誤が交錯して、長い追想の積み重ねのうちに熟成するものであって、人口国家を、それも軍事的暴力によって、いきなり作って美しい理想をそこに植えつけようとしても、それは沖合の海面に松の苗木を植えるようなものでしかない。仮に見かけ上の民主制が出来上がったとしても、アメリカが立ち去ればすぐさま分裂瓦解するであろう。

自由というのは自分が自分の理由であることを言う。されば・・・民族自決の原理に違背して他国による暴力的な介入によってお膳立てをしてもらった国で、独立して自らのIdentityを確立したという事例は今まで一つもないことは必然の(ことわり)であろう。

アメリカが他国の内政に手を突っ込んで親米民主国が完成したという事例が存在しない。

尤も、従米国(日本、韓国、フィリピン)や憎米国(イラク、サウジアラビア、アフガニスタン、南米の諸国など)ならいくらでもある。

イラクは人種的に(クルド人とアラブ人)、宗教的に(イスラム教のシーア派とスンニ派)、という風に部族的に分裂していて、国家としての自律的な建設をした追憶がない。イラクの体制は外国から侵略者的にやって来るか、フセイン独裁のように天から暴力的に降ってきたものである。然るに日本においてはイラクのような宗教的な原理主義が存在せず、アメリカは日本の国家としての継続性を天皇制の存続という形で保障したのだが、勿論日本には人種の単一性と共に、国家としての継続性が元からあったのである。

自由は、自らが自らの理由である事を言うが、民主制は自分が自分でなければならない事を言う。

即ち、いずれも同質性-より正確には自己同一性-が前提である。

AとBが異質であり、そして、A≻Bであるとき、民主的な意思決定方法と称する多数決は、AによるBに対する強制であり、したがって行く先は強制支配か、又は分裂内乱か、又は一方の手によるもう一方の絶滅・追放、のほかに有り得ない。

ⅲ-日本の場合、天皇がいて、対米戦争終結のときに、全ての武器をアメリカ軍に引き渡せという詔勅を出した。日本人は皆これに従った

しかしイラクにおいては、フセインが放棄した厖大な兵器は放置され、持ち出されイラク人民に行き渡ってしまった。この武器が今アメリカ軍に向けられている。

結果論ではあるかもしれないが、アメリカは少数精鋭主義を採ってフセイン軍を破壊するには成功しのだが、破壊のあとの管理については見通しが甘かったのであり、アメリカのパウエル国務長官-(叩き上げの軍人であり、しかも理論派であった)-が主張したように、そしてアメリカのシンセキ元陸軍参謀長官も言っていたように、数十万単位の大軍を動員して、正攻法の占領政策を取り、イラクの人民の武器を徹底的に(支配の意志を持って)取り上げねばならなかった。

イラクの民主化やイラクの自主更生などはそれから先の話だ。然るに軍事的な素人であるブッシュとその取り巻き達~いわゆるシビリアン(=文官、より正確には政治家)さん達~(人柄は良いが宗教的で読書の嫌いなブッシュ大統領を筆頭としてチェニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ヴォルフォウィッツやR・パールなどの高官達)~は、机上の想像の中でのみイラク征伐を夢想していて、パウエルやその腹心であるアーミテージ国務次官(海軍上がり)が主張したような玄人の意見に耳を貸さなかったのである。ヴォルフォウィッツやR・パールなどユダヤ系高官達にしてみれば尚更で、彼等の第二の母国イスラエルのためには、イラクが混乱して無力になりさえすればいい。

ⅳ-アメリカはイラク復興事業の全てにアメリカとイギリスの企業を採用し、イラクの石油利権をアメリカが独り占めをしようと露骨に動いている。これが全中東の人々に対してどのような感情を起こさせるかということについては無神経であるように見える

(もっとも、色々な国の企業はイラクの治安が悪いので今のところイラクに進出したがらないでいるが。)

アメリカは息のかかった亡命イラク人たちを主力とするイラク暫定政権をでっち上げようとしている。しかし当然ながらこの暫定政権

-(イラク人民によるならば、今迄逃げていた奴ら)-はイラク民衆が嫌っており疑っている。

ⅴ.仮にアメリカの手によってイラクに親米政権と称する政権が旨く出発しえたとしても、アメリカはかえってイラク人の憎米感情に火をつけるであろう

何故ならば自由制イラクにおいて表現の自由が解禁されるからだ。アメリカのブッシュやその政権の人々は「中東の民主化・自由化」→「中東における憎米、憎イスラエル感情の消滅」という筋書きを夢想している。しかし、現実には、中東の王政独裁政権(=親米傀儡政権)が反米的な国民感情を抑圧して何とかやってきているというのが本当のところであり、サウジアラビアやエジプトが民主制になってしまえば、民衆の間の長年にわたって蓄積してきた反アメリカ、反ヨーロッパ感情が結束し、開放されて火を噴く可能性は高い。必然、自由制・民主制政府はアメリカの傀儡的なものにしなければ危険な事になるであろう。しかし、歴史上、傀儡政権が長持ちをしたという事例は一つもない

ⅵ-イラクはサウジアラビアやクエートなどと同様に石油の売り食い国(悪い言い方で恐縮ではあるが不労働所得)によって食べている国であり、不労働所得は、その分配を合理的に行うための民主的な方法が原理的に存在しない。

かくのごとく、ブッシュ政権の事実認識と計画の能力はとても無神経で幼児的であるのだが、これは驕れる大国アメリカの、衰弱兆候の内の一つであるに違いない

アメリカの政界は又、これまでの強い倫理的な自浄能力、賞罰の残酷さや容赦のなさに対して鈍感になりつつある。これまた今のブッシュ政権にのみ独特な現象であるのか。それともアメリカの長期的な変質退行傾向の兆候を示すものであるのか。

答えは多分後者だ。

「アメリカの政治責任者たちは他国にない強い重圧を受けており、権力の頂点に立つものは、・・・ほんの些細な過失を発見されただけで、・・経歴をふいにすることもある。・・・ところがジョージ・W・ブッシュが大統領になってからは、政治や倫理に関する一般通念とは完全に縁が切れてしまったようだ。その実例には事欠かない・・・」(「ブッシュの聖戦」)

アメリカ大衆の95%はアメリカ政府の情報操作によって簡単にマインドコントロールされ、イラクはアメリカ攻撃のための大量破壊兵器-(核や毒ガスや細菌など)-を開発保有していて、アルカイ-ダやビンラディンとも気脈を通じているものと信じている。

フセインを倒せば中東は民主化してアメリカに石油も入るし世界に平和も来るなどと単純に思い込んでいる。

「実は厄介なことに、アメリカ人の大半は外の世界のことを殆ど知らず、とりわけ、政府がアメリカ人の名を借りて何をしているかという情報に不足しているのである。たとえば、アメリカ人は絶えず、しかも正確に、S・フセインが邪悪な男だということを思い出すが、アメリカが強制した経済制裁によって1,991年以降、少なくとも35万人のイラクの子供たちが死亡し、かつては裕福だったイラクの中産階級が貧乏になっていることは知らされていない。」(「だからアメリカは嫌われる」)

イスラエル人とパレスチナ人の間の血なまぐさい暴力行為は・・・その戦いでイスラエル人よりもパレスチナ人のほうが多く死んだ事実を知っていたのはアメリカ人の32%だけだった。又、世界の殆どの国々がアメリカの中東政策に反対していると知っていたのは43%。そして、殆どの国々がイスラエル側よりもパレスチナ側に同情的だと知っていたのは27%にすぎなかった」(「だからアメリカは嫌われる」)

そして、アメリカ人に限ったことではないのだが、戦争に勝つことを嬉しがらない人間など元々一匹も居ない。

名にし負うアメリカの議会は、下院がブッシュの翼賛議会と化してしまった。そして上院は無気力感が蔓延している。(エリック・ローラン~「ブッシュの聖戦」~藤野邦夫・山田侑平訳~中央公論社~2,003.12.25)

尤もこのアメリカの退行はブッシュ政権に成ってから急に出てきたものではない。それは永い間掛かって準備され進行しつつある「王者の退廃」が、徐々に出てきつつある状況なのに違いない。

(参考)1.~アメリカのジャーナリスト達も変質しつつあるという

「1,980年代というつい最近まで、アメリカのジャーナリストを過激に(そして珍しい存在に)していたものは彼らの気概、即ち、殆どのニュ-スの種を提供する政財界のエリートたちの根本的な前提に挑みかかろうとする意欲だった。・・・五年間の海外生活を終えて1,995年にアメリカに戻ってきた時、私が気づいた尤も大きな変化は、メディアがもはや何事もまじめに扱っていないことだった」(「だからアメリカは嫌われる」)

アメリカの報道は巨大企業の(したがって、巨大企業が高官人員を提供しているアメリカ政府の)私物と化した。アメリカのジャーナリストたちは彼らのボスに都合の良い記事しか書くことを許されず、したがってアメリカのジャーナリスト集団はアメリカにおける権力の翼賛集団と化しつつある。アメリカの報道会社は真実追求よりも、視聴者の低俗化による視聴率と利益の増大を優先させられている。

[イラクにおける国連の人道的救援プログラムの元責任者、デニス・ハリディは言った。「アメリカ人は、・・・今アメリカ空軍が、イラクの罪もない民間人の殺害をアメリカ人の名の下で実行していると知ってショックを受けるでしょう」・・・アメリカ政府の対外政策に対する批判的な情報を国民が殆ど受け取っていないと知ったら、外国の人々はもっと寛大になってくれるだろうか?アメリカのマスコミが政府の息の掛かった「真実」ばかり報道しているのに、国民が「対テロリズム戦」についてじっくりと考えて意見をまとめることなど、どうして期待できるだろう](~「だからアメリカは嫌われる」

いうまでもなく、自由はアメリカの地球理念などではさらさらない。

しかし、アメリカが自由を自分達の国家理念とし続けることを放棄すれば、アメリカは必ず滅びるに違いない。

(参考)2.~アメリカにおける製造業の衰退が、アメリカ人労働者達のモラル退廃と連動しているということは明らかである

「三年間の好景気にもかかわらず、製造業に関する指標は必ずしも好ましくない。貿易赤字は、好景気のために拡大したというべきかもしれないが、1,994年には、史上最高の水準(1,661億ドル)となった。製造業の労働生産性は、確かに、ここ三年間増加したが、それでも、1,982年から94年までに32%しか上昇せず、これは主要先進国の中では大変低いグループに属する。(日本は57%)」(脇山俊~「行き詰まるアメリカ資本主義」~NHK出版協会~1,995.12.25)

「アメリカの工場を訪問すると、従業員が隣同士お喋りをしながら作業しているので大変危なっかしい。携帯用ラジオを聴きながら作業をしている従業員も多い。単なるバックグラウンド・ミュージックならばあまり害もないが、フットボールの実況放送でも始まれば、注意の集中度が格段に落ちることは、目に見えている。このような工場の不規律ぶりを見ると筆者は、1,964年スタンフォード大学食堂でアルバイトをしていたとき、女子学生とほんの短い間雑談をしたのを現場監督に見咎められ、事務所に連れて行かれてさんざんに油を絞られ、規律の厳しさに感心したのを思い出して、今昔の感がするのである」(「行き詰まるアメリカ資本主義」)

「筆者が1,963年、まだケネディ大統領が健在の頃、留学のために始めて訪れた頃の整然として力強いアメリカは、その後、訪れる度に急速に失われてもう帰らない」(「行き詰まるアメリカ資本主義」)

-以上から感じられることは、アメリカ固有のプロテスタンティズムの伝統に由来する、世界でも屈指であった怠惰や娯楽への軽蔑と、激しい真摯な宗教的勤労モラルが崩壊しつつあることである。

その結果は恐るべきものであり、アメリカの双子の赤字、即ち、国際収支と国内財政の膨大な赤字額が危険水域に接近しつつある。

ⅴ-イラクはシーア派人、スンニ派人、そ

してクルド族という三種類の異邦人それもただの異邦人達ではなく宿怨を持ち合う異邦人達)が混住している地域であり、イラクが民主主義化するためには、

▶イラクの人々はイラク人としてのみイラクの政治に参加できる

イラクの政治が宗教と人種とによる差別を一切しない

この二つの事項を実施できるか否かにかかっている。しかしイラクの人々がそのようなことに成功するとはとても思われない。だとすると、アメリカが立ち去った後のイラクは又してもフセインのような独裁者が力で制圧しない限り秩序が立てられないことになる。

イラクの多くの人々(サイレントマジョリティ)達がそのためにアメリカの長期占領を願っているとしても、「アメリカが15万人の兵力を一年間イラクに駐留させるには3.600億ドル(約40兆円)かかるという。これはアメリカの総国防予算の約90%、アメリカの連邦政府による総国家予算の約17%であるという」(数字は、副島隆彦~「大統領の茶番とネオコンの分裂」~正論;04.3による)

他では次のような試算もある。

「米軍の試算によると、イラクの治安維持には8万人の兵力が必要で、駐留費用は、最初の一年間で200億ドル(二兆六千億円!)に達する可能性がある」

「この数字には思わずタジタジとなる。(R・ルーガー共和党上院議員)」

~(News week-2,002.9.18~「イラク攻撃のQ&A」)

アメリカの同盟的従属国日本も、今では財政赤字累積額(実質)が900兆円に達していて日本の金に期待をしても無理である。まさかイラクの石油売り上げ収益をもってアメリカ軍のイラク駐留経費に当てるということは難しいであろう。しかしそうでもしなければ他に方法がない。アメリカは政権の無知による強引な戦争政策に対してチェックができないような国になってしまったのか。議会は対イラク戦に関する権限を大統領に一任するという決議をしてしまった。アメリカの言論は黙り込んでしまった。

大統領即近の政府高官達も大統領に対してものが言えないようになってしまった。

そうした中で、アメリカは解が存在しない方程式の解を出してみせると宣言してしまった。

しかも、イラクが民主化を遂げさえすればアメリカは満足であるわけがない。実際、アメリカがイラクに手を出した最大の理由は石油であり、サダムフセインはイラクの石油売却代金の決済を、2011年、ドルからユーロに切り替え、ドルの増刷によって維持されているアメリカの経済とアメリカの世界支配に挑戦してアメリカを非常に苛立たせた。これがブッシュのイラク侵攻の最大の理由である。

何かを持って帰らなければアメリカ国民とアメリカの財閥は納得しないであろう。実際アメリカは、イラクに長期関与するための物的な資本投下を行いつつあるが、アメリカは民主的に運営されるイラク国家の歓迎される客になれるのであろうか?しかし、アメリカ軍が存在となければイラクの治安が保全できない状況が簡単に解消するとも思われず、イラクの大多数の人々は内心嫌っていてもアメリカが去ればイラクがどうなって行くかを知っているためにアメリカ軍の滞在を必要としている。そこがアメリカにとっては逆に幸運であった。

アメリカは、いつの日か、イラクが民主化を達成したならば、「我々の崇高な目的は達成した」と称してイラクから手を引こうなどと考えてはいない。

アメリカ軍は最近イラクのバラドに作った空軍基地のほか4カ所のスーパー基地に占領軍を集約し、長期イラク滞在の構えを見せつつあり、そして、推定6億ドルの建設費用をかけて、21棟、室内競技場とプールつき、発電所と浄水場つき、の巨大な大使館を築造しつつある。

(参考資料~News week-2,006.5.3~「イラク-米軍、10年駐留の覚悟を固めた?」)

アメリカに対立している国家やテロ集団達は、密かに対イラク援助を-(但し、イラク人達によるアメリカ軍への攻撃に対する援助を)-行っている筈だ。

アメリカが泥沼に嵌って行くようにと。

ロシアと中国とはいずれも自分たちに牙を向くテロリストからの恐怖が存在する。ロシアはチェチェン-アフガン-中央アジア-というラインのテロリスト集団に包囲されつつあり、これが中国を狙う新疆ウイグル族という対中国敵対勢力と結合しつつある。中国はそのほかに自分たちが播いた種でもあるチベットの毛沢東主義反中国勢力というテロ集団を抱えている。したがってアメリカの背後に回ってイスラム教テロリスト達を支援し焚きつけるということは、これは反って自分たちの足元に火をつける結果になることからそれはできないのかも知れないが、そうしたいと思ってはいるだろう。テロルの援助をする代わりにロシアや中国には手を出さないという密約でもあれば、彼等、ロシアと中国とは間違いなくそうするであろう。

イラクという国自体、1,921年に、イラクの石油を確保しようとするイギリスが人工的・強制的にイラクの国境線を引いて定めたものであり、その際に、北部のキルクーツク油田を欲しがるイギリスは、この一帯に居住するクルド民族の土地を分割してイラク領に編入し、現在のクルド人に対する周辺国による迫害の原因を作った。その後のイラク民衆は、傀儡王政、クーデターによる軍事政権という強制的に天下ってきた恐怖権力しか持つ事ができず、フセイン追放後も、自分達自身がやって行くという発想がなくて、アメリカがこうしてくれない、何処そこが何もしてくれないなど、他力的依存な傾向が強く見受けられ、特有のIdentityも希薄であるように見える。

乱暴者や、やくざの類が戦場ではしばしば意外な弱卒と化す―そのように、フセインもまた日ごろの大言にも似ず、さしたる戦闘もしないまま簡単に蒸発してしまった。有名なフセインの親衛師団も匆々に軍服を脱いで砂漠の驟雨のようにどこかに消え失せてしまった。イラクの人々はアメリカに食べ物をよこせ、着るものをよこせ、そのあとはイラクから出て行けと喚いている。イラクの文化財は当のイラク人によって根こそぎ略奪されてしまったが、それを反省することもなく、一方的に、アメリカがイラクの文化財を軽く見たために略奪されたのだと言い立てている。このような気の毒な人々が果たして将来自主統治への道を歩みだせるのであろうか。

あてがわれ、飼い馴らされた者共にIdentityがもたらされる可能性はない。イラクやサウジの戦う者共の中から彼等のIdentityが出てくるであろう。それらの者共が自ら民主化を習得して、自分達の石油を自分達で処理するに到ったときに始めて本当のイラクが始まるであろう

➡アメリカは今回のイラク攻撃を「衝撃と畏怖作戦」と呼んだ。なるほどこれを見てリビアは核兵器開発を放棄し、その替りに国連によって経済制裁を解除してもらった。イランもまたイラクを主たる標的としていた核武装を中止するといっている。

一方で「アラーの神に対する悪魔としての欧米」という信仰が、過去におけるもろもろの暴力と西欧文明による凌辱と流血の記憶を曳き摺るアラブイスラム人たちの間にじわりと燃え広がりつつある。

イスラム原理主義教徒たちに対しては悪魔を殲滅した後に永遠の生命が与えられるから死を恐れる必要はまったくない。彼らのレジスタンステロは執拗で恐ろしいものになりつつある。

こうした事情をみると「衝撃と畏怖作戦」が、実は「破壊と恐怖作戦」であったことになる可能性が高い。

➡戦後のイラクで毎日のように行われているアメリカ軍や対米関係者への自爆テロが、もし「宗教的に世俗主義のイラク人」によるものであるならば、これはイラク人がアメリカに対して持つ所の怨念は容易ならざるものであると言う感じを禁じえない。

➡イスラム教の経典である「コーラン」によるとイスラム教の対異教徒に関する基本は

a.イスラム教の優越と支配下に服する異教徒は許す

b.イスラム教に対して従属しない異教徒は、イスラム教に改宗しない限り殺す というものであるという。(池内恵~「アラブ政治の今を読む」~中央公論社~;04.2.25の205ページ参照)

もしこの教義がイスラム教徒の現実であり続けるならば、嘗て共産主義者達が「共産党員にあらずば人間にあらず」といって自由社会に対して侵略的に挑戦してきた時に異ならず、決着が付くまで戦いが打ち続くことになるであろう

実際、イスラエルもパレスチナも、単に彼等の住む土地を巡って争っているのだが、結果としては、アメリカによるイスラエルへのてこ入れによって、イスラエル対パレスチナ間の戦争は、より包括的なキリスト教対イスラム教間の代理戦争の様相を呈してきている。

➡ⅰ-中東産油国は(悪い表現だが)石油資源の売り食い国家である。彼らは勤労と生産、そして生産したものを交換する方法に、ということは資本制自由経済の運営に熟練していない。何故ならば売り食いは生産ではないのであり、正当な取引による財の分配は生産行為と生産物に対する報酬によってのみ可能である。民主制はこの生産と分配により構築した財の配分体制の上に成り立つ。然るに売り食い国家においては売り上げの配分方法は理不尽なものにならざるをえない。何故ならば財配分の根拠(=生産行為)が存在しないからで、生産し、配分を主張し、税金を払う、このことによってのみ政治に参加することが可能になる。

ⅱ-中東産油国の一人当たり国内総所得は、(非常に低いイランとイラクとを除けば、)

6,000ドル(オマーン)~18,000ドル(クエート)

の間にあり、中進国から準先進国並なのであるが、財の配分が王、貴族、財閥に極端に偏っていて一般民衆の一人当たり所得は低いのを通り越して悪い。(売り食い経済の当然な帰結である)

そしてその極端に偏って配分されているオイルマネーが行き場を失って欧米諸国の金融市場に流れ込んで、そこを潤していて、彼らアラブ人達の祖国に役立ってはいない。しかも原油の精製-加工-流通の手段は欧米巨大資本(メジャー)の手中にあり、アラブ人達の手中には無い

ⅲ-アメリカは中東の民主化を言う

何故ならば中東の貧困はアメリカに対する怨恨と憎悪の培養基であり、テロの温床である。しかもアメリカは彼らの既得権である石油の精製-加工-流通の手段独占とオイルマネーとを失いたくはない。

しかし中東の民主化は、中東の民衆が勤労と生産と取引に習熟しない限り不可能であり、中東の民衆が勤労と生産と取引に習熟すれば彼らは当然石油の精製-加工-流通の手段とオイルマネーとを自分達の手中に取り戻そうとする筈である。このいずれの選択肢-(現状維持か民主化か)-においてもアラブ諸国は軍備増強に対する強い必要と願望とを抑えることは出来ないだろう。アメリカとイギリスとが中東の核武装に対してハリネズミのように神経を尖らせる理由はここにある

ⅳ-ロシアと中国は中東にこのような失いたくない既得権が無い。・・というよりはこれから獲得したい既得権を持とうとしていて、アラブ諸国に対する兵器の輸出や軍事テクノロジーの移転に何のアレルギ-もない。そしてアレルギ-がない点に関しては多分フランスもそうだ。

➡イスラエル対パレスチナ人の紛争。

前提描写(アメリカとイスラエル間の関係)

-アメリカとイスラエルが必ずしも常に一枚岩ではないが、しかし、中東の地にあって唯一、決して骨の髄から反米的ではありえない国がイスラエルであり、アメリカの富豪、知者、ジャーナリズム支配者、政界、で多くのユダヤ人が活躍しているから、中東の地におけるアメリカとイスラエルの利害は(見かけ上は)殆ど一致する

しかも、アメリカには、旧約聖書を介してユダヤ教原理主義と源流を同じくするキリスト教原理主義者が存在し、彼等の中東制覇計画が当然ユダヤイスラエルを優遇する。

そのために中東各国は親米的であろうとする限り、その内心はともかくとして、イスラエルに対して牙を向くことをやめなければならない。したがって親米(=アメリカが要求する必然として、それは従米を意味する)的=親イスラエル的でない中東国がアメリカとイスラエルの共通の敵になる。それが当面イラン、イラク、シリア、である

(アメリカの、アフガニスタンに次ぐ性急な、そして不可解なイラク征伐は決して衝動的ではなく計画的なものであったのであり、9.11テロがその計画の実行理由を与えたのである)

ⅰ-イスラエルはもう核武装をしてしまった。イスラエルを力で説得することは難しいことになってしまった上に、アメリカの政治にユダヤ系財閥の政治資金が流れ込んでいるので、アメリカはこの問題に対して決して中立的ではあり得ない

イスラエル人強硬派と結託した在アメリカユダヤ人財閥がアメリカの議会と政府とキリスト教原理主義者たち(7000万人)に強い影響力を行使して、パレスチナ人追放施策を推進している。さらにアメリカの報道を支配する在アメリカユダヤ人達は、この支配力を用いて報道を隠蔽し、歪曲してイスラエル-パレスチナ紛争の実態をイスラエル寄りに偏向させてアメリカ人民を洗脳している。

J.W.ブッシュ政権の成立に際して、アメリカのキリスト教右派勢力の票が大きくものをいったのであるが、彼らの教義は聖書に書かれている事柄を、比喩、象徴と考えず、ストレートに信ずる。

したがって、まずユダヤの民がエルサレムを占領し、ここにその王国を樹立することが世界の終末と、それに続く永遠に幸福なキリスト教の千年王国が地上に実現する為の前段階条件であると本当に信じている。

それ故に、アメリカのキリスト教右派の人々(ブッシュもその内の一人である)は次のように言い、そして確信している。

「パレスチナ全土はユダヤ人達のものだ。パレスチナ人達は、彼らの住んでいる土地をユダヤ人に明け渡すべき運命にある」

信じ難い事であるが、このような宗教的な妄想に由来して、J.W.ブッシュ政権が誕生してからのアメリカのイスラエル-パレスチナ問題に対する政策が一段とイスラエル寄りになってしまった。

ブッシュは父親がイスラエルとパレスチナとの間に中立的であり、ユダヤをえこ贔屓しなかったために、次期大統領選で対立候補クリントンにユダヤ系の金と票が動員され、ブッシュには来ず、そのために自分の父が敗れたのを見ている。

(参考資料-「アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか」~佐藤唯行~2006.11ダイヤモンド社)

アメリカ政府は従来、イスラエルによるガザ地区、ならびにヨルダン川西岸へのユダヤ人入植を、国連決議に倣って、違法な侵略と看做し、イスラエルに対して入植地からの撤退を要求していたのであるが、J.W.ブッシュ政権になるや、ユダヤ人の入植地をユダヤ人の土地として認定してしまった。

このアメリカの方向変換は、アラブ人のアメリカに対する反発と憎しみを殊更に掻き立てるものであるから、アメリカがこれからやろうとしているイラクとの復興と民主化に対する激しい反作用をイラクの人々の中に呼び起こす筈である。

(参考~「ブッシュの聖戦」)

ⅱ-中東各国の結束力が陰りを見せている。このためパレスチナ人達の漂流が始まりかけている。だがイスラエルのそれをはるかに上回るようなパレスチナ人達の人口増加率をイスラエルの人々は恐怖している。

ⅲ-昔ながらの伝統的解決法は一方がもう一方を、いかなる形であるにせよ完全にやってしまうこと即ち決着をつけてしまうことであるが、情報が拡散し流通する現代に生きる我々はそのようなゾッとさせられる解決の仕方を実施する気にも、そして、その実施を許す気にも成れない

ⅳ-嘗てヨーロッパやロシアの地で恐ろしい迫害を受け続けたユダヤ人達が、いまやパレスチナの地において、ヨルダン川西岸やガザ地区のパレスチナ人達の自治区への侵略者として振舞い始めている

信義を踏み躙り、約束を破ってパレスチナ人達の土地に入植を繰り返しているのはユダヤ人の方だ。

だがイスラエルが占領地から撤退して、パレスチナ人たちと共存するのがより良いというイスラエルのユダヤ人たちが2,002.1には10万人という大規模な占領地からの撤退要求集会を開いておりそこでは「イスラエル国防軍はテロをやめよ」と書いたプラカードガ掲げられた。将校を含むイスラエル軍人達が反戦団体ピ-ス・ナウを結成し、「非人道的な行為に加担は出来ない」といって続々と軍務拒否の声を上げ始めている。青年たちの間では集団兵役拒否事件も発生している。(~「世界石油戦争」)。

しかし、イスラエル与党のリクードはパレスチナ国家というものを認めないといっている。パレスチナ人というものを地上から消してしまおうというのである。

逆にパレスチナのアラファト議長は1,988年における国連総会の演説で、イスラエル国家を認めるとまで妥協的に云い、それと併せてパレスチナ国家樹立も行いたいと言っている。どちらが理性的であるといえるのだろうか。

だが一番の問題はパレスチナ人の自己統制能力の欠落にある。パレスチナ人たちは一つの権力を構築し、これによって自己自身を統制し、幹部の分裂と腐敗を克服し、それを基盤にしてイスラエルと交渉をし、約束を守り、成果を引出すことも、自分達の産業を振興させることもできない。それが不可能であればイスラエルもアメリカもパレスチナとはまともな交渉ができない。

イスラエルが強者の偉大な自制を世界に見せ付けることが出来るか

それとも嘗て自らが受けたような迫害を、今度は自分達がパレスチナ人に対してやろうというのか。

だがアラブ人にとってイスラエルとは、悪魔であり侵略者である。だからイスラエルとパレスチナは均衡的な和平状態を実現し得ない。

イスラエルは絶え間なく侵攻し続けるか、そうしなければ押し込められて地中海に追い落とされるかという罠に嵌ってしまっている。

実際、パレスチナ自治政府のアラファト議長体制が無力であり、パレスチナ人から信頼されておらず、自治政府の要人や、パレスチナ治安機関は横領など権力の私物化が著しく、*-(最近では、パレスチナ自治政府のマヘル・マスリ経済相がパレスチナの実業家7人に対してエジプトからの数十万トンに及ぶセメント購入を斡旋してリベートを取った。そのセメントはイスラエルの企業に売却され、イスラエルはこのセメントを使ってパレスチナ領ヨルダン川西岸地区に入植(=侵略)したイスラエル人居住区の周囲に構築しつつある分離壁の建設に使っている。

パレスチナ自治政府の治安部隊の腐敗も有名である。

上級幹部たちはIMF(国際通貨基金)からの支援金やEUからの補助金によって支払われている治安部隊員の給料に目をつけ、架空隊員をでっち上げて、その者に支払われたと称する給料を懐に入れたり、身内隊員への給料を法外に吊り上げて支払ったりするということを日常茶飯的にやっている。親玉のアラファトパレスチナ人民開放戦線議長ご自身が自ら範を垂れて、世界中から寄せられている支援金の一部を、見事ご自分のポッポにお納めになって、スイスの棺桶銀行に溜め込んだその額が36億円前後になっている。)-

その為イスラエルがパレスチナ自治政府と色々に和平上の取り決めをしても、パレスチナ自治政府を承認していないパレスチナ人の抵抗勢力によるレジスタンステロがその後を追うようにして発生して、イスラエルの不信感と、より一層のパレスチナ弾圧を呼び込んでしまうという悪い循環が繰り返されている。

しかもそれ以前にアラブの王政封建権力がパレスチナにおけるアラブの大義を自らの権力の大義(=権力の存在根拠)にしているという事情、即ち、パレスチナ紛争がなくなってしまうとアラブの王政権力や擬似民主制準強圧制権力が自らの国家支配理由の大きな一部を喪失してしまうという事情があり、これがイスラエルとパレスチナとの和平交渉を密かに妨害する。実際、アメリカのクリントンが主導して纏め上げた2000.7のキャンプデービット合意-(それは今イスラエル人が盛んに入植=侵略をしてそれをイスラエル軍が保護しながら、パレスチナ人によるテロ反抗に対して、パレスチナ人を、近代兵器を以って殺戮している地域であるヨルダン川西岸地域の90%をパレスチナに与えるという大胆な内容のものなのであるが)-はサウジアラビアやイラク、エジプトの独裁者たちによって潰されてしまった。彼等はこのキャンプデービット合意を拒否し、パレスチナ人民開放戦線議長のアラファトに対して、合意を突っぱねろ(=かまわずに喧嘩を続けろ)と指令したのである。

パレスチナ人達がテロという手段を覚えてしまったということは、イスラエルに取って敵を特定できなくなってしまったことを意味している。テロはその気になれば一人ででもできる。パレスチナ自治政府のアラファト議長は関係ない。したがってイスラエルは無数の、夫々が独立した意志で動くテロ軍隊を相手にしたことになり、不断に攻撃し続けないと危険であるような、動的な不均衡状態にはまり込んでしまっている。殺り続けなければ殺られるのであり、たとえ一時的であるにせよ、静的な均衡がない。

ⅴ-イスラエル人(ユダヤ人達)は、全アラブによる憎悪の対象、要らざる侵入者、と見られていて、単にパレスチナ人だけを相手にしている訳ではない。その上、イスラエルに対するアメリカのバックアップは、アメリカにいるユダヤ人たちの財力や、地位、情報能力、集票動員力、などを用いてのアメリカに対する後押しによるものであって、アメリカのイスラエル支持の本質は親身なものではない。アメリカ白人の間には強いユダヤ人嫌悪が根強く存在している。アメリカのイスラエル系財閥・学者・ジャーナリスト、政治家、などの存在がなければアメリカは簡単にイスラエルを見捨ててしまう。

実際、イスラエルの安全補償としてイラク戦争が行われたのだということを、既に引退してもう失うものを持たない、即ち、ユダヤ系の力をもう恐れないですむ政治家や将軍達が暴露する。彼等にとって、少なくもパレスチナ紛争などは他人事でしかなくなるわけだ。

(最も次項に述べるような儲け口があるから、アメリカはイスラエル支援を簡単には止められないであろうが。)

勿論イスラエルやアメリカのユダヤ人達はこのような、自分達とアメリカとの関係がシニカルで脆いものである事情を知っている。

ⅵ-アメリカのメジャー(石油産業を中核とした官-産-軍複合体)は中東諸国の独裁政権に軍備増大政策を焚き付け、兵器を売り込むことによって、彼等による中東産油国への原油代金支払い分を回収し、この地域に不穏な情勢を創り出しておいて、紛争を誘導し、本来、中東の人民たちが配分を受けるべきオイルマネーを自分たちの手に取り戻している

一方アメリカ政府はイスラエルに武器とその製造・運用のノウハウを流出させ、イスラエルの核武装をも黙認するというご都合主義政策によってイスラエルに対しても「喧嘩の出来る体制整備」のお膳立てに協力したから、結局アメリカは中東の地にマッチ-ポンプ行為(火付け役と火消し役を自作自演すること)を行い、武器輸出によって大いに儲け続けていることになる。アメリカがパレスチナ問題の解決に及び腰である理由の一つにはこのようなアメリカの計算があるのである。

邪推-アメリカの軍需産業の意図はイスラエルとアラブ抗争を望む。それは両方に武器を売ることができるから。そしてイスラエルの方が常に優勢であるように。しかしその差があまりに開きすぎれば両方とも軍備拡張の速度にマイナスの影響を及ぼすかもしれない。

ⅶ-かくの如き次第であるから、アラブ人達のアメリカに対する憎悪の念は暗く、そして深い。アメリカは最近になってそのことに気付かされてしまったために今度はアラブの民主主義化などと言い出した。今迄アラブの独裁政権がアメリカにとって御しやすいものであったのを棚に上げてである。

だがアラブの民主化はアラブ人達が自分で行わない限り根付くこと不可能であり、そうなっても彼らが親アメリカ的である可能性が保証される訳でもない。

アラブの人々は権威に服従することによってもたらされる秩序が絶対であるという彼らの定理によって生きている。彼らは一人一人が自分を主張しながら全体の秩序に到達する方法である所の、民主主義などという観念をまるで持っていない。何となれば中東の地に石油が発見されて、西欧やアメリカの人々が土地に対する権利や所有の概念をもたらすまでの数万年の間、農耕と遊牧の民は戒律と長老への服従による秩序によって十分に満足していて、人権・合議・団結などというものは必要がなかったのである。

このような人達の前に(例えば)イラクの国を投げ出して、後はお前たちで民主化して巧くやれと言っても彼らは改めて始めから、ということはむき出しのヘゲモニー闘争から出発するであろう。

そして第二のフセインが現れるまで内乱が打ち続くであろう。実際、イラク人達はアメリカがフセインを倒した後、「さあこれからは自分たちの出番だ」と建国に励むよりも、より多く「アメリカが打倒フセインをしてくれた、その次に、今度は私たちに何をしてくれるのか」というメンタリティであるように見える。職がない何がないと要求はするが、自分たちがどうしようという内発的な気持ちは感じ取れない

➡米英がどのような尊敬できないやり方をもって中東の石油を搾取してきたか。

その一つの実例として、イランの場合を取り上げれば概略次のようである。

イランに内政干渉をして傀儡政権をでっち上げた最初のお手本はアメリカの師匠イギリスで、1,921年、ペルシャ(今のイランのこと)の軍人レザー・ハーンを傀儡に仕立ててこれを後押しした。

狙いは勿論イランの石油利権確保にある。

レザーは後に自らをイラン国王であると僭称し、レザー・シャー・パーレヴイと名乗って即位した。

しかし第二次世界大戦後、イギリスはこのレザーが中々イギリスの思うままにならないことに業を煮やし追放して、息子のレザーをシャー(皇帝)に即位させる。この頃からイギリスの弟分アメリカのOSS(アメリカの諜報謀略機関CIAの前身)が介入し始めて、イランの警察組織を強化させ始めた。

この時期に併せてイギリス系石油利権会社アングロ・イラニアン石油がその利権のうち40%をアメリカのスタンダード系石油会社に売却した。

しかしイランも黙ってはいない。イラン国民会議は、イランの富豪モサデクを首相に任命すると、このモサデクは国営イラン石油会社を設立してアングロ・イラニアン石油の利権を取り上げてしまった。イラン人はアングロ・イラニアン石油がイランにおける石油収益のうち僅か16%しかイランに還元していないことに怒ったのであるが、実際この還元率は、これを知ればヴェニスの高利貸シャーロック氏も顔面蒼白になるであろうという搾取率であった。

しかしイギリスはこの接収に対抗して世界中の石油会社を煽動し、イランの石油不買運動を展開したから、イランの石油生産量は全盛時に比べて1/4に、そして更にもっと減少して、全盛時のなんと1/20にまで低迷した。

次いでアメリカのCIAが出てきてモサデクの失脚と新しい傀儡の製作に着手する。まず、モサデクに関する悪い噂をこしらえてイラン国内に流し、次いでアメリカのマスコミに流し、更に世界中に流した。

ついで、パーレヴィ国王を脅かしてモサデク解任命令を出させるとともに、新しい手先となるべき人間としてザへディ将軍という人物を首相に任命させ、更に札束を配って反モサデク勢力イラン人を糾合し、この者共に銃や戦車を持たせた。こうして、金と暴力所有という二つの誘惑にうかうか便乗したイラン人群集が暴動を起こし、ザへディ将軍を担いでテヘランを制圧してしまった。

復権した傀儡国王パーレヴィが亡命先のローマから帰国したが、アメリカ軍とCIAにそそのかされてイランの非イスラム化「白色革命」に着手する。

この白色革命というのはイランを自由化、民主化し、キリスト教文明圏の一員に変えようとする米英のお有難~~~い思し召しではあったが、このような、積み木で家を建てるような方法が巧く行くものならば世の中は苦労がない訳だ。しかし実際に行われたのは新たな石油利権樹立と、イラン政府の石油収益取り分のアメリカへの回収を狙う武器の売りつけである。

そしてCIAの下部機構のようなイランの秘密警察SAVAKを創設して米英の内政支配に怒っているイラン人を逮捕、拷問、処刑させたから、イラン人達の間に広範な敵意と憎しみが燃え広がり、遂に預言者ムハンマドの子孫ホメイニ師が台頭して、イラン国内に反アメリカの大勢力を形成するに至った。国王パーレヴィがホメイニの隆盛を恐怖して逮捕投獄するに及んでは、イラン全域に民衆の暴動が発生してしまったので、これを制圧しようとしたSAVAKが暴動民4,000人を殺戮するという恐ろしい事件が発生した

この頃から、アメリカがイランへ支払った石油代金を回収するために、イランの重武装化が一段とエスカレ-トをし、遂に1,974年に至ってアメリカは、イランに対して核燃料と原子炉の供与を開始したイランに蓄積したこの核能力を後年に至って、イランの自主革命を成し遂げたホメイニが受け継いだがアメリカはこのイランを悪の枢軸の一員、テロ国家であると世界に喧伝するに至る。気違いに刃物だという触れ込みであるが、刃物を供与したのはアメリカなのであった。

「1,978年八月、SAVAKが映画館を焼いて、中にいた人々5,000を焼き殺した。その後の九月八日には暴動民衆4,000人が上空からの軍用ヘリコプターによって乱射され町中が血の海と化した」(「世界石油戦争」)

この事件をきっかけとして、イランの人民革命暴動が全国的に激化し、イラン国軍までもがこれに同調してパーレヴィに牙を剥いた、そしてホメイニも潜伏先のパリから凱旋帰国し、イラン全土を掌握したので、遂に米英はイランから撤退を余儀なくされてしまった。この革命によって欧米のイラン資本はイランにおける全ての利権を喪失してしまった。

一昔前の時代であれば米英連合軍がイランに直接侵攻してこの苦境を一挙に逆転させ、イランの直接植民地化に成功したであろうが、偶々時代が第二次世界大戦後の、侵略国間相互牽制期に入っていたから、東側のソ連圏を除く西側世界においてはそのようなことはもうできなかったのである

(注)~しかし、最近アメリカはイラクでタブーを破って直接侵略を始めた。だがテロ国家退治、大量破壊兵器撲滅・イラクの開放・民主化などというお上品な、言い掛りの為の格好をつけざるを得ず、そのために方法が中途半端であり、腰砕けになりつつある

➡欧米人達が石油の利用法を発見したがアラブ人達は未だ主権国家設立に到らず、石油の利用法も知らず、したがって本来はアラブの人々が行うべきものである所の、中東の地下資源に対する所有権の原始状態を所有権の熟成状態にまで持ってゆくという前段階闘争を欧米人達が代行した。即ち、

ⅰ-欧米諸国が、中東のどの地域の地下資源をどの国が支配するかという利権取り闘争(互いに半ば合意の上での利権取り闘争)の見取り図を引く

ⅱ-見取り図上の、未来の自国が保有すべき利権地域に軍隊を派遣してこの地を制圧しつつ、原住民の中から適当な領主・王様・独裁者などを選び出してこの地域の主に据え

ⅲ-次に欧米諸国の代表達が寄り集まって地域の国境線を引いて国に仕立て上げ

ⅳ-この国々に対して石油採掘-加工-販売の権利を設定する(権利設定の相手は当然独裁的な王でなければならず、権利行使による利益の分配率は王達に知らせず、勿論、著しく欧米にとって有利なものでなければならない)

ⅴ-王家達は受取った利権料を、自分達の豪華な浪費生活の贅沢費に使い、自分達の権力保持の為と隣国同士の戦いに勝利する為に、欧米諸国から大量の武器を購入し、残りは、国民の為にではなく自分達の蓄財と欧米の投資家たちの為に欧米に向けて投資した。したがって、そこには技術の開発もなく産業も育ってはこない

ⅵ-アラブの人民が石油の権利を獲得しようとして立ち上がれば、このようにして蓄積したアラブの国家暴力と、欧米からの派遣軍隊が共同して残忍な弾圧が繰り返される。先取特権樹立を巡る西欧諸国間の競争の、否応なしの厳しさ-(とにかくふんだくった奴が勝だ)-というものが弾圧や騙し取りの悪辣さを加速し続けたために、それが中東の地に遺恨と憎悪の一地帯を造り上げてしまっている

このような必然的な過程の恩恵によって今の資本主義的先進国の繁栄が成り立っているのである

ⅶ-だが結局アラブの人々は彼らの石油を彼ら自身の手にしてしまった。しかし、依然として王政・独裁制による石油利権の偏在が存在し、それを欧米諸国に加えてロシアや中国が加わり、王制・独裁制を保護しつつ石油を獲得している。そして云うことを聞かない国はイラクやイラン、そしてリビアなどのように戦争で叩かれたり、経済封鎖などによって貧困に追いやられたりしている

ⅷ-アラブの地下資源を民主的に分配する方法がない。だからアラブ人は民主制を知らず、民主制の基本である所の起業と組織労働と交換経済を構築するすべを知らない。アラブ人はイスラム教と政治を分離させることに非常に抵抗するであろう。しかしそれをしないとアラブの民主化は決してできない

アラブの石油から得られる金は

アラブ人の福祉や公共投資に向けられ

▶アラブの起業家に貸し出され

▶アラブ人達は石油の売り食いに頼ることなく、生産と労働を習得しなければならない

彼らが自分の力でこうしない限り、地球の石油が枯渇するまで彼らの煩悶が打ち続いて、終わることはないであろう。

 

グラウンド-ゼロ

2,001.9.11対米中枢同時テロをアメリカは戦争であると認識した。テロ=無差別殺戮=戦争という等式ならば、ベルリンや東京空襲、広島、長崎の事例もテロに他ならないということになる。だが9/11テロは先制テロであり、広島、長崎のテロは先制攻撃(=真珠湾奇襲攻撃、ただしこれ自体は勿論テロではなく正統な軍事的攻撃であったが)を受けて立ったテロである。そこが違う。だが挑戦を受けて立ったものであるならばテロが正当化されるというのではいかにも不味い理屈だ。そこで善と悪の二分識別法が編み出されてくる。

2,002年6月、ブッシュ大統領は次のような演説をした。

「二十世紀が終わって人類進歩のモデルとして生き残ったのは唯一つで、それは個人の尊厳、法治主義と法の下の平等、言論の自由、宗教的な寛容という絶対価値を基準とするシステムである」

これが善の陣営で、それは又「反テロ」の陣営に他ならない。故に広島も長崎もイラクやバルカンにおける劣化ウラン弾爆撃も、これは反テロ陣営がやったことであるからテロではないという理屈だ。

アメリカが広島・長崎を劈頭にして数限りなく実行してきている無差別人身殺傷爆撃に比べれば、この9.11テロなどはケシ粒のようなものでしかないのだが、それでもアメリカ人は、無差別人身殺傷爆撃テロがどういうものであるのか、その匂いを初めて自分の肉体によって嗅いでみたわけだ。

➡グラウンド-ゼロを訪れる人々は殆ど全員が白人だ。

そして思い出や反応の仕方も、白人にとっては聖なる犠牲の日であり、国家と生存に対する挑戦であるが、有色人種達にとっては、これは単なる災害でしかない。(次の感想集参照)


 

感想集~心に刻む「あの日」-Ⅰ

(産経新聞~2,002.8.7)

電子技師 アルベルト・ポテロさん(中南米系

・・・事件でニューヨーク市民は最初の二、三カ月は人に対して優しくなった。自動車のクラクションの数もめっきり減った。しかし、年が明けたころからとげとげしい雰囲気が復活した

飲食業 ファリド・ナセルさん(アフガニスタン出身

・・・我々にとってつらかったのは、事件がテロだと分り、犯人が次々と明らかになってきた後だ。

店の窓ガラスは投石で毎日のように割られ、休業に追い込まれた。

誤解が解けた現在は店を再開したが、こじれた感情は元に戻らないということを痛感することもある。祖国復興のために帰国すべきかと仲間と話している

サービス業 匿名女性(日系

・・・事件後は飛行機が激突する夢や戦争の夢を見るようになった。事件以後、日本人が減ったことで私は失業してしまった

 

感想集~心に刻む「あの日」-Ⅱ

(同)

医療会社勤務 ジュリア・フイッツジェラルドさん

白人系

・・・あの日がもうやってくることが信じられない。どう過ごすかも考えていない。ただ、ろうそくを立てて、追悼するだろう

福祉関連 ジェニア・コフィンさん(白人系

・・・テロ以降は、家族と過ごす時間と仕事との関係を見直すようになったし、常に誰かと一緒にいたいと感じるようになった。それは今でも変わってはいない

市場調査 匿名女性(黒人系

・・・以来、周辺のことに関心を持つようになり、緊急事態に直面したときにどう生き延びるかということも考える用になった。

それから、生き方が少しゆっくりになり、小さなことにも喜びを見出せるようになった。

(筆者注:この黒人女性はすでにアメリカのIdentityを白人と共有しているように見える)

 

➡この記事を見よ

「当初は原発目標」アルカーイダ幹部が証言

[ロンドン9日=野口裕之]「米中枢同時テロの黒幕ウサマ・ビンラーデン氏率いるテロ組織アルカーイダの幹部級二人が「当初の標的は数カ所の原子力発電所だった」と証言するなど、同時テロが更に大規模・衝撃的な殉教作戦だったことが、九日までに明らかになった。

二人はクゥエート出身でアルカーイダ軍事委員長のハリド・シェイク・モハメド被告(三八)=1,959年の米旅客機爆破未遂事件で起訴=と、同時テロの主犯格モハメド・アタ容疑者(死亡)とドイツハンブルクで同室だったイエメン出身のラムジ・ナビル被告(三十)=同時テロ容疑者として起訴=で、米連邦捜査局(FBI)が新たなテロを計画中とみて行方を追っている。二人はカタールの衛星テレビ・アルジャジーラと六月、パキスタン・カラチ近郊で極秘会見し、その詳細を八日付けサンデー・タイムス紙が伝えた。証言では、一連の作戦は九九年始めに決定、乗っ取った旅客機による原発突入計画は、放射性物質が無制限に拡散することへの懸念から断念したが、将来、核関連施設を標的にする可能性は残っていると言明している。」(産経新聞~2,002.9.01)(傍点は筆者)

この証言がもし本当だとすると、アルカイダのメンバー達は原発突入テロがアメリカへの大量無差別攻撃であり得る事を気にして、疑い、ためらった末に、これを中止して攻撃目標をニューヨークの貿易センタービルとペンタゴン、そしてワシントンの米政府中枢に切り換えたという。

自分達がもう死ぬと決めた人々にしてこの配慮があり、ここに人々は一抹の感動を覚えるであろう。

彼らはアメリカの一般人民に対する無差別殺戮を避けて、アメリカの政治・経済・軍事力の中枢を狙う方を選んだのである。

これに対してアメリカは、日本への原爆投下、ベトナムでの枯葉剤の散布、バルカンやイラクにおける劣化ウラン弾の使用などに見られるように無差別的な破壊を意に介さない。更にはこれから先、必要とあれば先制地下破壊用核攻撃もやってのける様子だが、アメリカ人とアルカイダと、果たしてどちらがご立派なのであろうか?だがテロリスト達は悪魔、文明の敵、などとされてしまった

(注)~[ケネディ政権が南ベトナムのジャングルに潜むゲリラを掃討するため枯葉剤エージェント・オレンジ(ダイオキシン)の空中散布を開始したのは六十二年で、これは七一年まで続けられた。総量千九百万ガロンのうち半分以上がエージェント・オレンジで、現在もアメリカ当局は、現地の重度障害児の出産、流産、深刻な神経障害、大量のがん患者発生に対して、ダイオキシンの因果関係を認めていない。](「世界石油戦争」)

➡次の記事を見よ

[サウジ王族に巨額賠償請求~米テロ遺族]

[昨年の米中枢同時テロによる死亡者のうち約九百人の遺族らから成る団体が十五日、テロ組織アルカイダやウサマ・ビンラ-ディン氏をはじめ、アルカイダに資金援助などを行った可能性が指摘されているサウジアラビアの王族三人などを相手取って、総額百兆ドル以上の損害賠償を求める訴訟をワシントン連邦地裁に起こした。原告側は訴状の中で、サウジの王族らが同時テロを支援したとするとともに、慈善団体などを含めたサウジからの資金が「長年にわたってアルカイダを支えた」と主張している。]

(ワシントン土井達士)~(2,002.8.17・産経新聞)

ギャ―ッ!戦争被害に民事訴訟か。

(;02.9.11に、これは戦争だと宣言したのはブッシュだ)しかも自国の地方裁判所で訴訟を起こしているがこれは果たして正気の沙汰であるか。ならばベトナム、イラン、イラク、バルカン、広島、長崎、東京、沖縄、ベルリンその他の無数の民間人戦争被害者達も、アメリカ政府に対してその損害賠償請求の権利を自国の地方裁判所に申し立てられることになる理屈だ。

(全部戦争だったのだからな)

しかしアメリカ人達がこうまで血迷って、わがままの世間知らずになろうとは知らなかった。

アメリカ人も、とうとうここ迄いやらしくなり下がったか。

アメリカとサウジアラビア支配層は、かねてからの石油利権上の結託の延長としてソ連による侵略と闘うアフガニスタンに支援派兵をすることとし、アメリカは技術と支援指導要員を、サウジアラビアは資金、支援ルート、そして兵士の調達と派遣を夫々分担してアラブ系ムジャヒディン(イスラム教戦闘士集団)をアフガニスタンに派遣してソ連軍と戦わせた

ソ連軍撤退の後、このムジャヒディン集団(アフガニスタン政府軍、分裂したアフガニスタンのムジャヒディン集団、にサウジから派遣したムジャヒディン集団が絡む)が分裂して激しく主導権争いを行い、結局、タリバン(イスラム教原理主義集団)が勝ち抜いてアフガニスタンを制圧した。サウジアラビアの富豪一族に属するウサマ・ビンラ-ディンはこの時のアラブ系ムジャヒディン戦士としてアフガニスタンに従軍した一人であった。一方、サウジアラビアにおけるイスラム原理主義過激派憎米集団(彼らは嘗てアメリカと共同してムジャヒディンを育成する母体であったのだが)はサウジアラビアの親米的支配者達にとって次第に迷惑な存在になってきたために、サウジアラビアの親米的支配者達は彼らに金を与えてアフガニスタンに送り出し続けた。これがウサマ・ビンラ-ディンによって組織されるイスラム原理主義集団アルカイ-ダの源流であり母体である。

そしてタリバン政権がアフガニスタン国内にこのアルカイ-ダの軍事基地を提供したのである。

してみれば、サウジアラビアと並んでアメリカ自身もがテロ育成の元凶として作用していたことがここまでの経過から歴然としている。だがアメリカは自身がアルカイダ発生の下手人の一人であるということをひた隠しに隠す。もしテロリストたちの温床を提供している国は悪の枢軸であるというのであるならば、ムジャヒディン発生源であるサウジアラビアもその一つとしてアメリカによる征伐の対象でなければならないのだが、石油利権と軍事基地をサウジに持つアメリカは、こともあろうにイラクに八つ当たりをしようとして、なお、その上に全世界に対して、正義のアメリカにつくのか、それともテロリスト達につくのかと威嚇した。

だがより一層奥深い問題は、嘗ての「悪の権化」ソ連によるアフガニスタン侵略にあることはアメリカのために考慮しなければならない。尤も、ソ連のアフガニスタン侵略を焚きつけたのは他ならぬアメリカなのだが、これはソ連がアフガンの泥沼に嵌って、疲弊してしまうことを意図してのものであり、赤い悪魔ソ連と闘うアメリカの一つの方法なのであった。

アメリカの軍産複合体は朝鮮戦争、ベトナム戦争からこの方、休むことなく兵器を開発し生産し、売り続けた。この運動は丁度鮫が絶えず泳ぐ事によってのみ口から水を吸い込んで(えら)呼吸をなし得、そうすることによって生きていられる様子に似ている。アメリカの富豪たちはエネルギー、兵器、食料、金融などの諸分野にまたがる巨大企業群(Conglomerate=コングロマリット)のオーナーである。彼らの至上命題はその財産を持ちこたえることである。嘗て金融王のモルガンはこう語った。「百万ドル稼ぐのなら馬鹿でもできるが頭がなければそれを持ちこたえられん」(広瀬隆~「アメリカの経済支配者達」~集英新書~2,000.11.6)

持ちこたえることはその資金を運用することによってのみ可能であり、丁度減りもせず増えもしないように持ちこたえるなどという芸当はできない。

だから彼らは持ちこたえようとするのではなく、その財産を片時の休みもなく増やし続けることによってのみ安心する。それが石油と軍事と金融、そして食料支配への飽くことのない執念として現れる。

「人口の1%にしか達しないごく小数のアメリカ人が、全米の金融資産の36%を握っているという事実」(「アメリカの経済支配者達」)これがアメリカ財閥の政治支配力を、その圧倒的なパワーを表現している。アメリカの国家生計の巨大な柱のうちの一つに暴力の商品化がある。暴力商品とは、武器、戦闘法、戦術、そして暴力予兆(守ってやるから金を出せ脅かしてやるからその代わりに・・・・を寄越せ等々)そして最後には実力行使―これらの総てを指す。-幸いにも、このアメリカの国家生計手段遂行のために、アメリカには正義の陶酔と、力の過剰が存在する

これが商品として売りつけられるのだ。

湾岸戦争第一次終結後(1,992)から現在に到る11年間、アメリカの国防予算額は、年間平均値で2,700億ドル前後を示してきているから、ここ11年間の集積で2兆9,700億ドル(約350兆円)である。その間セルビア空爆やタリバン征伐で何分かの蓄積を消費したとしても、それはまだまだ十分ではなく、殆ど焼け石に水に等しく、何かもっと大きな事をしないと、今迄のようなペースでの軍事予算を維持し続けることが不可能であるような臨界点に差し掛かっているものと推定される。

であるから、J・W・ブッシュが9/11テロを、待っていましたとばかりに利用して、イラク、イラン、中国、リビア、北朝鮮、ロシアの七カ国を不倶戴天の悪の枢軸と呼称したのはいかにもとってつけたような感じがした。

更に、第一標的としてイラクを選定し、国際社会の意向をも無視してさえも何としても攻撃しようとして躍起になっているのを見れば、ブッシュがアメリカのConglomerateのどのような突き上げにさらされているかが察せられる所だ。

したがって、あの航空機同時突入テロは、ブッシュにとって絶好の機会(チャンス)であったことは間違いない

*-その状況証拠めいた事実がいくつかある)-

アメリカン航空110便→貿易センタービル突入ユナイテッド航空175便→貿易センタービル突入

この二機についてはブラックボックス(コックピット・ボイス・レコーダーとフライト・データ・レコーダー)は消滅し、未回収である。

▶しかし、ペンタゴンを狙ったアメリカン航空077便についてはブラックボックスが回収できたが未公開である。

▶ペンタゴン突入による被害の痕跡は、航空機によるものとは見えず、また、人的被害が存在しない点、非常に不自然である。

▶ホワイトハウスを狙ったユナイテッド航空093便は無事撃墜することに成功している。しかし、ブラックボックスを回収できたが未公開である。

▶一連の襲撃に際して、北米大陸防空総軍司令部の対応は不自然に鈍かった。

▶実行犯達が航空機教習所に入学し、「飛び方さえ覚えれば着陸の方法などは知らなくていい」などと言っていたという情報は、アメリカの諜報機関が察知していたにも拘らず、彼等を泳がせていた。

また、アメリカやイスラエル、イギリス、その他の国の諜報機関による類似テロの危険性に関する報告を頻繁に受けているにも拘らず、アメリカ政府の反応は極めて消極的で鈍かった。

アメリカの国民はこのことを感じ取りつつある。

国連決議抜きでのアメリカによるイラク単独攻撃に関する支持率が27%と低い事がそれを示しているのである。だとするとアメリカ軍はこのイラク攻撃でアメリカ兵の死傷者数が一定値を越えた場合、又は対イラク戦が難航して泥沼化をした場合などにおいて直ちにアメリカ国民の厭戦・反戦気分の流れに対面することになる。アメリカ軍は圧倒的、一方的に滅多打ちをして勝たねばならず、したがって、一般イラク人民の巻き添え殺人ということは不可避であろう。

 *-B・ウッドワードの「攻撃計画」や映画「華氏911」などによれば、ブッシュは9.11直後において既にこのテロとイラクとを結びつける証拠を探せ(=作り出せ)とCIAに命令している。

~(当時のCIA副長官ジョン・マクロリンの証言)
 *-副大統領のチェニーはイラク攻撃について初めから尋常ならざる熱に浮かされていた。

[チェニーは確かに熱に浮かされている、とパウエル(国務長官)は改めて思った。チェニーとウォルフォウイッツ(国防副長官)は、9.11同時テロとフセインの結びつきを探し続けている。・・・チェニーが変わってしまったのが、パウエルは嘆かわしかった。湾岸戦争の時には冷静な策略家だったのに、今はこれにばかりこだわっている。・・・どんな会話をしていても、どういうことに触れていても、アルカイダの話に戻り、イラクと結び付けようとする。・・・](「攻撃計画」)

 *-大統領選においてアメリカの黒人を初めとするマイノリティ人種達(民主党支持者が圧倒的に多い)の選挙権者名簿が意図的に抹殺された。これに対して幾人もの抹殺されたマイノリティ有権者がアメリカの議会で証言したが、その証言は少なくとも一人分の上院議員による署名がないと有効ではない。然るに全ての証言書にただ一人も署名した上院議員がいなかった。ブッシュは、あたかも何か目に見えない大きな力の働きによって大統領選に勝利できたかのようである。

 *-ビンラディンの腹心にして手足、とされている凶悪なテロリスト、アブ・ムサブ・アル・ザルカウィ(人質の公開斬首実行者・無差別自爆テロ推進首謀者として知られていたが、2006.6、米軍特殊部隊によって隠れ家を爆撃され殺害された)は、実はアルカイダに所属するものではなく、ビンラディンとの間にも何の師弟、ないしは朋友関係はなく、米軍に追われてアフガニスタンから逃亡し、イラク北部の山奥にアジトを移していた。

しかも、ザルカウィはイスラム教シーア派の人間であり、スンニ派のサダム・フセインの対立派に属しているのでから、フセインとも何の接触もなかった。しかし、イラク攻撃の理由を躍起になってでっち上げたかったアメリカ政府は、

“ザルカゥイとビンラディンは師弟関係にあり”

“サダム・フセインの協力によってイラクの山中に
 潜伏し化学兵器を製造するなど、活動中である”

と主張し(2003.2、国連におけるコリン・パウエル米国務長官の断言)、しかも、米国防総省が2002年、イラク北部の、ザルカゥイが活動中の拠点を爆撃しようと計画したのに対して、ホワイトハウスはそれを許さなかった。イラク攻撃のための絶好の戦争理由を抹消してはならないと考えたからだ。

[「奴はそこにいた。確かなのにゴーサインが出なかった」と、当時の事情を知るもと情報部員(軍の機密にかかわることを理由に匿名)は言う。

「ホワイトハウスの戦争プランを邪魔するなといわれた」](ニューズウイーク・2006.6.21-「ザルカゥイ爆殺作戦の全貌」より)

➡アメリカは、南北戦争や対イギリス戦争など初期のものを除いて、今まで三つの大きな戦争をしてきている。一つはドイツナチスとの、ヨーロッパの覇権を巡る戦いであり、もう一つは日本との、アジアの覇権を争う戦争であり、残る一つは共産主義との世界覇権を巡る戦いであった。そして四番目の敵としてテロリズムを迎え撃つ事になる。大きな違いはこうである。

       ❖最初の三つの敵はアメリカの外から来た敵であるが、今度の敵はアメリカが自らその種を蒔いた敵である。ヒトラーのナチスは本来、ヒトラーがヨーロッパで侵略戦争を開始しない限り、アメリカの仮想敵ではなく、反共思想においてアメリカの支配層-特にアメリカの東部金融資本-とヒトラーとは当初「共通の価値観」によって結合していた。

       ❖始めの二つの敵はドイツ、および日本という明確な意思主体-国家主体と、それが担うイデオロギーとがあったが、テロにはそのような主体が存在しない。何故ならばテロそのものと、テロリストとは単に手段と、その手段を使う可能性を持つあらゆる人々のことなのだからであり、明確に特定できるような意思主体も、イデオロギーもない。

テロリズムとは実在主体ではなく、原理主義的に人間を憎悪する者共、あるいは遺恨憎悪を秘めた者共が選好し、あるいは追い詰められて他に方法を失った者達に残された非常に不幸な方法として、それは方法でしかない。したがって方法を敵として戦う唯一の形態は、方法をいかにも選好しそうな奴等を見つけ出して、言い掛り滅多打ちを加えることである。実際、アメリカは9/11テロの後、取り敢えず彼らの言う無法者国家、~核、生物、毒ガス兵器を世界中のテロリスト達にばら撒く国~としてイラクに邪推の矢を立て、イラクに侵攻、イラクを制圧したが、既に国連大量破壊兵器廃棄特別委員会が証言していたようにイラクからは大量破壊兵器が何もでてこなかった。国連大量破壊兵器廃棄特別委員会のスコット・リッター(アメリカ人)は次のように言う。

「我々はイラク国中を完全に調べて、1,998年までに、イラクでは大量破壊兵器の95%、兵器工場の100%に相当する分量が既に破壊されているのを確認している。今のイラクには長距離ミサイルは勿論、短距離ミサイルを打つ力もなく、核も細菌も毒ガスも持ってはいない。湾岸戦争後、1,991年に査察を開始したときから既にアメリカの狙いはイラクの武装解除ではなく、サダム・フセイン体制を抹殺することにあった。そのためにアメリカは、国連事務総長にアナンというアメリカの言いなりになる人物を据え、このアナンが、オーストラリア人で、これまたアメリカの意に叶っているリチャード・バトラーという人を国連大量破壊兵器廃棄特別委員会の委員長に据え、このバトラーが米中央情報局(CIA)に査察を丸投げした。そうすることによって、査察がアメリカによるイラクに対するスパイ行為に変質してしまった。それで怒ったフセインが1,998年に査察団を追放したのだ」

勿論、このようなやり方によって、時にはテロを一時的に窒息状態にすることが(部分的に)できるかもしれない。しかし、テロという方法自体は永久に生き延びるのである。

このやり方によるならば、

       ❖テロリズムを準備し、育成し、援助し、実行しようとしそうな者共を十把一絡げで平らげるとともに、テロリズム容疑者をでっち上げて滅多打ちをするという便法も可能になる。

そして沢山の巻き添え犠牲者を、彼らの憎悪とともに産出し、もって新しいテロリストを生み出し続けるという余禄もでてくる。

            ❖したがって、アメリカは滅多打ちもぐら叩きという永久運動の罠に嵌まり込んでゆくであろう。

アメリカは好きな時に適当な対象を捻り出して戦争を仕掛けることが出来るような理屈を物にした、という事もできる訳である。

実際、ブッシュは、我々の味方か、さもなければ敵しかいないといった。言い換えれば、はっきりと味方である事を示し得ない奴は敵と看做すという、猜疑心に満ちた全世界に対する八つ当たり宣戦布告をした。9/11テロに対するアメリカのリアクションは独裁者が示す反応に似ている。実際、アメリカは建国以来独裁者として振舞い続けてきている。

その脅えの蓄積がアメリカの反応に独裁者の示す反応に良く似た色合いを与えている。

私に牙を向く奴は誰だ?お前か?それともお前か?お前達の取るべき道は二つだ。私に服従するのか、それとも私に対する反逆者であるのか。一人ずつ順に潰してやるぞ。疑わしければ罰してやる。

だがもぐら叩きの際限の無さは、アメリカをして、二つ三つの「意に沿わぬ邪悪な国」を滅多打ちに叩き捲って、後はなるべくスマートに引き上げようと苦慮するに到らしめるであろう。

しかし、国民の命と税金を使った以上、経済的、軍事的な利権を獲得しないで引き上げるわけには行かない。

そのようなことをすればブッシュは権力を失ってしまうであろう。

だがこの過程においてアメリカが撒き散らした憎米の種を、それが芽を吹き、成長する前に摘み取ることはできない。

アメリカの同盟国や従属国はアメリカの行う対テロ撲滅滅多打ち戦争が発生するその都度に、軍隊や金を拠出して、その見返りにテロリストたちの憎悪を(お土産として)頂くであろう。

       ❖手始めにアメリカはアフガニスタンのタリバンを征伐したが、本命はイラクであり(注2)、アメリカの妄想は、

アルカイダ→イラク→イラクの核→イスラムの核という恐ろしい妄想である。

そして、アメリカのキリスト教原理主義者たち(ブッシュもそのうちの一人だ)はその恐怖と優越の想念とを、イラク攻撃によって表現し、それによってイスラム原理主義者たちの憎悪をかき立てることにより、彼等の妄想を現実化させてしまったのである。

 

(注)1.~イラクの大量破壊兵器に関する煽動的な、世論誘導記事の一例。

イラク軍拡着々-射程1,500キロミサイル-3年内に可能-米国防総省-核兵器開発「物質」入手なら数カ月

[ワシントン14日=土井達士]「米国防総省高官は十三日、イラクが中距離弾道ミサイルの開発・製造を着実に進めており、2,005年には国産の射程約1,500キロのミサイル配備が可能になるとの見通しを明らかにした。イラクの大量破壊兵器やミサイル開発については、ブッシュ米政権が、サダム・フセイン政権打倒が必要な最大の理由として挙げている。

・・・パウエル国務長官は先に「イラクは既に百五十キロ以上の射程を持つミサイルの発射実験を行っている」と指摘した・・・国防総省高官は又、・・・イラクの核兵器保有の可能性について、「核分裂物質を入手できるかが問題で、(入手できれば)数ヶ月で核兵器が完成する」と警告。・・・」(産経新聞~2,002.9.15)

しかし、イラク戦争が終わった今ではイラクにミサイル開発の兆候が存在しないことが大体の見通しとなってしまっている。

アメリカはこのほかにも色々な情報操作を行いつつある。

特定人への憎しみを人達の中に刷り込むために、著名なジャーナリストに、虚実織り交ぜた情報を巧みに与え、それを書くように誘導する

❦攻撃に対する的の反応をあらかじめ察知しようと謀り、そのために未だしていない攻撃を、もう始めたと発表し、敵の反応や能力を試す。

❦(イラク攻撃が終った後で)イラクは立派に自助努力を開始し、民主化の道を歩みつつあるなどと広告代理店を使って宣伝する。・・・など。(注:終わり)

 

(注)2~バクダットが陥落し、サダムフセイン大統領が処刑され、結局出てきたものは何もなかった。核兵器も化学兵器も見当たらず、対米テロリスト組織との結合も証拠建てられなくなって、あとは石油支配、イスラエルの対イラク戦争要求、イラクの民主化(!)などという散文的な動機だけが残存して、アメリカが自分達自身の手で自分達をも情報操作してまで行ったイラク戦争に対するアメリカ国民の関心は2次的なものになり、もっと本質的なアメリカの原戦争、即ち、アメリカの国土防衛戦争であるとともに、イスラム教対キリスト教という宗教原理主義者間戦争であるアフガニスタンにおける対タリバン戦争のほうにアメリカは回帰した。

 

➡アメリカは戦時体制になった。アメリカの言論の自由が「人畜無害な言論の自由」に変質してしまった。テロリストに加担していると邪推されるような言論、テロリストが何故にアメリカを憎悪しているのであるかという疑問に対する真摯な追求を口に出すこと等は危険な行為になってしまった。アメリカの反テロリズム法は共産主義的な抑圧がアメリカに出現したかとさえ思わせる中身をもっている。

この法律は次のような権利を合衆国政府に保証する。

❖市民権のない人達(2,000万人)に対する無期限の拘留権~これに関連して大統領が次のように宣言する。「テロリストの容疑者とみなした非市民に対して秘密軍事裁判にかけることができる。この裁判において死刑宣告も可能である」

❖政府職員による国民の家屋に対する無断立ち入り、無断調査権

❖国民の電話、インターネット、電子メール、クレジットカードに対する政府のアクセス権

❖連邦捜査員による公共図書館の利用記録押収権(誰がどんな本を読んだかを調べる)

❖CIAによるアメリカ国民監視権

❖司法長官によるテロ組織指定単独裁量権

❖捜査令状発行条件緩和(=「相当の根拠」から「犯罪捜査に関連していること」へ)

アメリカの国民はこれを受け入れた。アメリカのジャーリストたちは沈黙した。アメリカの議会は上院、下院とも圧倒的な多数による賛成でこの法律を可決した。アメリカの白人は何十年と続くかもしれないテロとの戦いを引き受けようとしてこのような自由の制限を受け入れる気持ちになった。勿論、多くの制限は移民やマイノリテイたちが主として受け止めることになるであろう。(参考~「だからアメリカは嫌われる」~Mark Hertsgaad~忠平美幸訳~2,002.11.6~草思社)

陰険なテロによってアメリカの受けた「恐怖と衝撃」の物凄さがこのような国家権力による処置を容認させるに到ったのであるが、これがキューバのグアンタナモやイラクのアブグレイブ収容所でのイスラム教徒に対する拷問や虐待に繋がっていることは明らかである。

➡9/11飛行機突入テロに関して、アメリカがそれをうすうす承知しながら故意に放任してテロを誘ったのであるか否かそれは分らない。

しかしテロ実行犯人であるアラブ人達による飛行機運転練習にまつわる不振な挙動に対するFBI(アメリカ連邦捜査局)の報告をアメリカ政府が黙殺したなどを見るとアメリカが何らかのキッカケであり得るような事件を待っていたかのような印象を受けることも事実である。

(勿論、アメリカの本土に対する直接攻撃について初心(うぶ)なアメリカ人たちにとってのあのような大惨事になるなどとは思ってもいなかったであろう)

アメリカの企業ユノカル社が、カスピ海沿岸にあるトルクメニスタン国のガス田からの輸送用パイプライン施設ル-ト(トルクメニスタン→アフガニスタン→パキスタン→イアメリンド洋というル-ト)を計画したときにアフガニスタンの支配勢力であるタリバン(イスラム教神学生集団)がこれを拒絶したために計画が頓挫していた。それかあらぬか、9/11テロ発生後のアメリカの動きは極めて素早く、犯行をアルカ-イダとその首領であるオサマ.ビンラディンと断定するや否や、アルカ-イダの本拠地と目されるタリバンのアフガニスタンに「やい、キサマッ、ビンラディン奴がッ」と殴りかかった

そして、アフガニスタン平定の後、早速、(くだん)のパイプライン設置計画が復活する様子である。

勿論、このパイプライン計画が軌道に乗るためにはアフガニスタンの政情安定が必要であるが、それがいつになるのか、その見通しは全く立っていない。何故ならば、アメリカが国連を使ってお膳立てをしたアフガニスタンの新体制なる代物は御仕着せであり、アフガニスタン人自身による内発的な決定ではないからである。そのために、アメリカ軍を中心とした多国籍軍によるアフガン駐留は、アフガニスタンの政情が、単に「暴発しないようにする為に」というだけの理由で、長期化を強いられるであろう事は間違いない。

参考記事~[モスクワ21日=斉藤勉]「・・・トルクメニスタンで算出される天然ガスを、アフガニスタンを経てパキスタンまで運ぶパイプラインの建設計画が三国間で大枠合意に達し、二十六日からトルクメニスタンの首都アシガバードで開く三国間首脳会議で正式調印する見通しとなった。完成は2,005年の予定だ。・・・背後には中東への過度なエネルギー依存から脱却したいアメリカの動きが指摘されている。・・・ガス・パイプラインの起点は埋蔵量一兆七千億立方メートルと世界最大規模を誇るトルクメニスタンの南西部にあるガス田、ダウラタバードで・・・全長1,460KMで・・・インドにパイプラインを延ばすことも検討されている。・・・このパイプライン建設計画は元々、タリバン支配時代に米エネルギー大手のユノカル社が実現に動いたが、1,998年夏に起きた米大使館爆破事件後、米軍がアフガニスタタンのウサマ・ビンラ-ディン氏の関連施設を報復爆撃して軍事的緊張が高まり、米国の野望はくじかれた格好となっていた。」~(産経新聞~2,003.10.22)

 

➡アメリカは今まで、南米や中東の地において、資源民族派(中には左翼系のものもあるが、民主的に選任された政権もある)によるアメリカ多国籍企業の既得利権接収行動を防御し、利権の保守と拡大を目的とし、軍事独裁者の育成と反米的な民主政権の転覆、追放→右翼クーデターによる独裁政権の樹立をしてきた。イラクのフセインもまさにそのために、従来、アメリカによって支援されてきた経過を持つのだが、フセインは多くの、米国の傀儡独裁者とは違って、アメリカの言うなりにはならず、自分の道を行った。

アメリカがこれに苛立って、今回のように拙劣な、正面切った戦争という手段によってイラクへの苛立ちを表現してしまったのは、アメリカの衰弱の兆候である。アメリカは今、南米の地において、過去の自分達の所業による逆噴射(バックブロー)を受けつつあり、ベネズェラ、ブラジル、チリ、ボリビア、グァテマラ、ペルーなどに反米左翼政権が台頭し、外国企業の資産と利権を接収し国有化しようとしつつある。

➡人間は、退屈のために戦争を欲し、正義を演じたがる。この非常に原始的で子供じみた人類の衝動の根は、実は普遍的であり、執拗で深い。

9.11事件のきっかけを境にして、アメリカ政府は、テロとの戦いを自由と民主に対する挑戦に対する戦いであると勇み立った。

しかし、アメリカに対するテロは、アメリカの大資本がもつ資源支配、市場支配への欲情達成の手段として、アメリカ政府の意を汲む、アメリカの謀略機関CIAによる、アメリカ支配圏諸国における親米政権樹立のための動揺撹乱・暗殺・謀略・クーデター煽動工作・支配工作・・・などに対する反動・逆噴射(ブローバック)なのであり、アメリカの自由や民主に対する挑戦なのではない。アメリカの謀略機関やそれを影で支配する一派はこのようなアメリカの国策遂行のための資金源として、東南アジアで、南アメリカで、そして、アフガニスタンやバルカン地方においてさえも中東石油貴族群が出資する銀行-(マネーロンダリング(不正資金洗浄)や、武器密輸などを取り扱うイカモノ銀行)-BCCIとつるんで麻薬の取引にさえも手を貸していたことが分かっている。

したがって、テロはその深源をアメリカ自身のうちに蔵しているのであり、アメリカの自由と民主に対するイスラム原理主義者による純宗教的な挑戦などではない。

▶アメリカ対中国

アメリカは中国に何を求めるか?アメリカは中国に対する貿易収支がマイナスで、しかも、その金額は、日本を抜いてアメリカの対外収支赤字額中、世界最大値を計上するに至っている。だがアメリカは中国から物を買わなければ困るわけではない

単に中国の製品が安いからアメリカに殺到しているだけのことだ。

ではアメリカは中国に貿易赤字の回収として何を与えるのか?兵器とテクノロジーは勿論除外される。したがって後は食料と石油だ。中国は食糧自給率が100%を割り込んでおり、食糧自給率の低下はこれからも続く。中国のエネルギー自給率は極めて小さい。アメリカのメジャー(巨大石油資本)はカスピ海周辺のエネルギー資源の開発利権を手中にしてこれを中国に対するヘゲモニー獲得の鍵にしようとしている。

中国の経済は極端な地域限定的成長と、それに伴う富裕層の発生、これに対する極端な、そして広範囲に及ぶ貧困地域の共在が特徴である。中国の九億人近い貧困農民層の平均年収は360ドル(=40,000円くらい!)でしかない。だが・・・

       この九億人が人並みの収入を得ることが出来るようになるまで中国の経済が発達するならば、その世界経済と地球環界への影響はさて置いたとしても、中国のエネルギーと食料は深刻な不足に陥り、中国の山は禿山と化し、中国の大気は人が吸い込むに耐えないものと成るであろう。中国の川は(既に北京や上海の川がそうなっているように)農薬や重金属にまみれた臭いドブ川になってしまうであろう

       この九億の民が人並みな収入を得るようになれば中国の製品が国際的価格競争力を失う

彼等を飢えさせて置くからこそ彼等の低賃金を武器とした中国の国際価格競争力が保たれるのだ。

       中国の支配者たちもこのような自国の事情は十分に知っているであろう。彼等は何処へ中国を導こうとするのか

➡アメリカにとって、中でもアメリカの軍産複合体にとって、中国の程々な繁栄は、中国がアメリカと敵対的であることを担保するために必要である。

(中国に弱くなって貰っては困るのだ)

アメリカが生産蓄積した核、ミサイル、衛星、ロケット、航空機、艦船、通信と探知の技術、などがソ連の崩壊につれて行き場を失いかけてしまった。

地域紛争程度では巨大国家を相手とした戦争用の兵器を必要とする場面がない。よって、アメリカは中国をより強大な敵国に仕立て上げようとし始めた。アメリカは中国を軍事大国に育成し、それをもってアメリカのターゲットにしようとする。そのためには台湾への肩入れが仕掛け薬のうち最適なものの一つであろう。

アメリカにとって中国が日本を不倶戴天の仇敵として憎悪している状態は、日本によるアメリカへの依存従属と、アメリカの対日本集金力を担保補強するために有益である。

その為、アメリカ政府の一部、アメリカ議会の一部、アメリカの民間団体、それにアメリカにいる中国系アメリカ人達が中国本土の政府や謀略機関と結託して過去の日本軍が犯したと称する残忍な悪行に関する与太話を捏造して、異様な反日・憎日キャンペーンを展開しつつある。

中国の覇権主義的な行動と軍事的な脅威はアメリカの軍産複合体の巨大な存在理由になって彼等を潤してくれるだろう

中国の支配者達にとって、日本がアメリカに安全保障を依存し、日米が共同して中国を敵視してくれれば、それだけ彼等の国内支配権力の根拠が増大する。

中国共産党にとって敵性国アメリカと憎悪怨恨の対象国日本の存在は、中国共産党による国内支配力の基本的な源泉である。

➡アメリカと中国の覇権的な対立は既に冷戦時のそれのような深刻なものではなく、両国が戦争をする心配などは今の所全くないかのように見える。

しかし、それが全くない為の条件としてパワーバランスが必要であり、しかも、お互いにバランスを取り合おうとするのではなく、バランスを自分の方に傾けて崩そうとしあうから、限界的なレベルにまで軍拡競争が行ってしまうであろう。中国は極東における支配的な行動をアメリカから妨害されたくはない。そのためにアメリカを威嚇する目的で、アメリカ本土に届く核ミサイル(大陸間弾道ミサイルICBM)は早くから完成していたが、その精密誘導機能も格段に上昇している。中国は;00年には軍事用のGPS衛星「北斗」を3基打ち上げ、ICBM複数弾頭の命中精度の上昇や潜水艦発射ミサイルの精度向上に成功した。

そして;02年には有人宇宙飛行もやってのけている。

➡中国は、「アメリカが極東における中国の覇権を妨害するならばアメリカに対して先制核攻撃をする。アメリカは民主国であるから自国民の死に対して極めて憶病である。これに反して我が中国は13億人という人口を持ち、しかも広大な領土がある。中国人民の半分くらいが核攻撃によって死んでしまえば丁度よいくらいだ。我々はアメリカの核を恐れてはいない。アメリカは同盟国防衛のためであっても我々との核戦争に踏み切ることができないであろう。だが我々はそれに躊躇しないのだ」と豪語してアメリカを恫喝し始めた。アメリカはその恫喝に対して恐怖・戦慄し始めた。

だがアメリカが仮に一発でも中国からの先制核攻撃を自国の都市に受けて、何万人という被害者が発生したが最後、アメリカの合理的理性などは瞬間に消し飛んでしまう。アメリカは見境がつかなくなり中国にその核戦力を集中行使するから、中国は5~6回ほどもまとめて全滅するかのような集中攻撃によって地上から姿を消すことになる。勿論、中国はそのことを知っている。中国がアメリカに先制核攻撃をする可能性は、その豪語にもかかわらず、(中国が正常な思考力を持っている限り)ない。

➡アメリカが程よく中国と折り合って、東洋の覇権を中国に任せ、新鎖国主義の中で旨く立ち回ることは不可能である。当然に日本と台湾と朝鮮半島が中国の属領になる。アメリカは、敗退者としてフィリピン、マレーシア、インド、インドネシア、ベトナム、シンガポール、その他東洋の国々による侮蔑、軽視、離反、不信の対象になる。一旦そうなり始めれば、もう途中停止はできない。潜在的なアメリカの怨敵、ロシアがどう出るかは不明であるが、中国とつるんでアメリカの排除に出るのか。

しかし、アメリカには日本を永久に米中両国の従属国にしておこうとする悪意の継承(アメリカにおいては、フランクリン・ルーズベルト-キッシンジシヤ-ニクソン-ブッシュ(父)-クリントン-ブッシュ(子)と続く系列)が存在する。

アメリカが日本の管理を中国に委ねるなどということは考え辛いが、もしそうなれば日本にとっては厳しいがまたそれが自立へのチャンスになる。

しかし、日本人たちは愚かしくも、そのような長期戦略を持っていないし、持とうともしていない。

南米の諸国と中東の各国(怨米という潜在想念が支配する諸国-イラン、リビア、シリア、エジプト、イラク、そして、サウジアラビアまで)がアメリカ包囲網に参加するであろう。

イギリスは非常に困難な立場に陥る。

そして、フランスとドイツが冷笑的にこれを見守るのか?

アメリカには進むのか退くのか、覇者であり続けるのか衰亡するのか、この二つしか道がない。程よい中間というものはない。それは世界帝国の必然の宿命である。

➡北朝鮮の金正日は、少なくとも彼が生きている限りは絶対に核武装を諦めないであろう。何となれば核は金将軍の北朝鮮支配の源泉であり、そして金将軍のための金の生る打出の小槌であるからである。金正日はこう思っているはずだ。

「本当にオレから核を取り上げたいのであるならば、オレを殺すしかネェ。だがオレは死なんぞ」

実際、;50年代、父親の金日成によって始められ、莫大な経費と人材を投入し、何回も場所を移したり、洞窟を掘ったりして苦心惨憺の努力をした末に築き上げた核技術と核弾頭を話し合いや金で手放す気になれるものか。金正日のつもりになって考えてみれば分ることだ。

今の所、北朝鮮の核ミサイルは日本にのみ標準を向けている。しかし、金正日は当然アメリカにまで射程を延ばそうとしている。そうなってしまえばアメリカは自暴自棄に成った北朝鮮との核戦争の可能性をも射程に入れて掛からなければならなくなる。

金正日は自身が殺されるか失脚→自殺という状態寸前に追い詰められた場合、日本に対して核ミサイルのボタンを押し、怨敵日本を道ずれにした英雄として名を残そうという衝動に駆られるに違いない。

中国は北朝鮮の核武装が常にアメリカによる攻撃の危険を孕んでいるので迷惑がっているが、それを理由にして北朝鮮に対して決定的な行動はとることができない。何故ならば、北朝鮮を自分達の裏庭として保存しておきたいからである。アメリカが実際に北朝鮮を攻撃するのは北朝鮮がアメリカ本土に到達可能な核ミサイルを完成させた時、またはその見通しが濃厚になってしまった時であろう。そのとき中国はどのように出るのであろうか?中国の出方次第では、アメリカは「自前の核をバックにした日本」との、北朝鮮への共同攻撃を必要とするであろう。

しかし金正日の後継者が金正日と同じように力強く、金正日と同じように核武装と金王朝の支配体制をリンクさせようとする強い意志を持つのか否か、そう思ったとしても、それが出来るだけの力量を持つ事ができるのか否か、そのような後継者に関する情報は今のところ存在していない。

(参考)~北朝鮮の核武装に関する情報

(以下は、[供述調書が暴露する北朝鮮「核武装」]~by金敬哲~現代~;04.8に準拠して要約)

北朝鮮に於いて核開発に従事する科学者は900人

北朝鮮に於いて核開発に従事する専門労働者は、 5,000人

(以上は;98年において)

▶プルトニウム型核弾頭は寧辺一帯にある射程距離2,000Km以下のノドン一号ミサイルに装備可能な状態で準備されている。それが何キロトン級であるかは言及されていない。

▶プルトニウム濃縮用特殊高性能火薬「主体一号」を発明したためにプルトニウム型核弾頭の低コスト量産が可能になっている。そのために一カ所や二カ所程度の査察では問題にならない。

▶北朝鮮のハイテクノロジー軍事技術は非常に高くなっている。

▶北朝鮮は超小型の核弾頭を次々に開発し貯蔵しつつある。

▶ウラン型核弾頭は既に北朝鮮当局がその保有を自ら認定告白した。(;02.10-北朝鮮外務省第一外務次官姜錫柱→アメリカのケリ-国務次官補)

▶ミサイルの開発状況は以下の通りであると言う。

▶射程距離800Km級スカッドC  ~  700基

▶射程距離1,400Km級スカッドB~3,500基

▶射程距離1,700Km級ノドン1号~保有基数は言及されず

▶射程距離2,000Km超級テポドン1号~保有基数は言及されず

▶射程距離2,000Km超級テポドン2号~開発・生産中

▶射程距離9,000Km級テポドン3号~開発・生産中

▶ソ連製40キロトン級、射程距離6,000Kmのミサイル2基~一基は東海岸に、もう一基は白頭山三池淵基地に配備されている。

➡日本が取る方向の予測~

前提-アメリカは中国による対日憎悪によって、無力な日本の防衛を肩代わりする根拠を得、以て日本領土をアメリカの飛び地として使用することにより世界軍事戦略の展開に関する巨大な足がかりを保有でき、このことによって兵隊の雇用を確保し、軍運用の経費を日本に支払わせ、そして政治・経済両面における日本の隷属をも享受できる。故に中国政府による日本への憎悪扇動国内政策を歓迎する。

中国共産党は中国憎日→アメリカの介入→日米連合というVectorの存在を敵とすることを以て彼等の権力理由となし、中国統合のための標的とする。

第二次世界大戦敗北後の日本は国としての長期戦略を持つという事を放棄してしまっているのだが(実際には戦争以前から長期国家戦略など殆どなかったのだが)、今から考え得る日本の国家戦略がもしあるものとすれば、それは多分次のような方向に行くであろう。

1.[アメリカが日本から手を引いてしまえば中国は直ちに尖閣列島から沖縄を侵略し日本海全域と東シナ海、台湾を支配しようとするであろう。

したがってアメリカの存在に関係なく、日本は中国の核ミサイルに対抗しうる核武装を始めとする戦力を自分のものにしなければならない。その為に日本は、中国核ミサイルの対アメリカ打撃力を始めとする中国の戦力増大、北朝鮮の核ミサイルがアメリカ本土に標的を合わせ得るようになるように仕向ける事を国家の主戦略とし、その為の対中国ODA(開発途上国経済支援)は継続しても差し支えはなく、対北朝鮮支援も推進して差支えがない。

中国、北朝鮮における戦力増強の結果、従来日本が自主戦力を保有すれば、アメリカに従属的であることを止めてしまうのを懸念していたアメリカは、今度は、日本がアメリカ防衛の一角をも遂行できるようにまで戦力を高めることによって、アメリカと日本の戦力との共同防衛を日本に対して欲するに至るようになる。]

2.[北朝鮮の核がアメリカ本土を直接狙えるに至るまでは、北朝鮮の核を日本が単独で一手に引き受けることになる。(但し、日本におけるアメリカの軍事基地もまた北朝鮮の核の射程に入ってはいるが、差し迫った自国の危険も無いのに、たとえ同盟国とは言え、他国の為に核戦争までするような国は何処にもない)(信じがたいことであるが日本の政治家達はこのことが未だによく分っていないように見える。)]

▶アメリカの試練

1.アメリカは、資源・海洋・宇宙空間・の支配権を巡って中国・ロシアと対決する。

したがってアメリカは、日本のような力強い同盟国に対して、戦力の傘を提供し、日本を非力化し続け、そのことによって日本を都合の良い保護領にしておこうなどという邪悪な考えを捨てなければならない

2.アメリカはイスラム原理主義宗教集団による憎悪殲滅の対象になりつつある。この戦いは原理的であり、存在論的な戦いであるから、資源や経済上の争いとは異なって妥協のない殲滅戦になる。

アメリカはこのことに目を瞑ることなく、正面から挑戦を受けて立たなければならない宿命にある。

3.アメリカは新しいIdentity-ヒスパニック系諸国からの移民が移植をする異質のIdentity-による分裂の危機を迎えつつある。

そうなってしまえばアメリカは頭がいくつもある一匹の大蛇のようにのたうち回るであろう

人種・肌の色に関係なく正統なアメリカ人たちは

このIdentityクライシスの兆候に断固として手をうたなければならない。その時期は早ければ早いほどよく、逆に手遅れになればその手のつけられなさは累乗的に増大してゆくであろう

4.アメリカの企業が金融至上主義によって蝕まれつつある。具体的に、

企業の株を買い占めた巨大金融資本が企業に対して資産の売却、借金により自社株を買い増すこと、などを共用する前者は売却益による特別配当の取得が、後者は(自社保有株の増加→市場出回り株の減少→一株あたり収益率=収益/市場出回り株総数の増大というコースを経過して)該当企業株価の水脹れ上昇を惹起して売り抜けること、が目的であるが、企業の経営者達も自社株をあらかじめ大量に購入しておいて売りぬけることが出来るから株主と共振する。残された借金は従業員達が働いて返さねばならず、喪った優良資産ももう戻っては来ない

その他株価の水ぶくれ策には、過酷な賃下げ、年金資金の取り上げ、リストラ、などが用いられるが企業を育てるなどという気持ちは株主金融資本も、それとグルになっている経営者達にも全くない。このためにアメリカの貧富の格差が増大しつつあり、企業の衰弱が進行している。アメリカの銀行までがこの強欲金融資本の方法を見習いつつあり、そして、アメリカはこのはげたか金融制度を欧米や日本においても制度化させ、そこの進出しようとし、成功しつつある。

アメリカ企業の退廃振りは次表、スタンダード&プアーズ社によるアメリカ企業の信用格付けの1980年から今日の変化を示す表によっても示されている

 

投資適格

 

トリプルA

ダブルA

シングルA

トリプルB

1980

17%

33%

18%

2006

2%

9%

18%

 

投機的格付け

 

ダプルB

シングルB

トリプルc&D

1980

22%

7%

3%

2006

25%

42%

4%

(この第 3項の主要参考資料は神谷秀樹-「米国流強義の破綻」諸君2007.4である)

5.石油とテロ

a.アルカイダによる対米英テロ戦争の根本原因は欧米白人種たちによる中東(イランを含む)石油開発に源を発する。

彼らが石油の争奪のために中東に介入し、直接ここを統治し、あるいはここに傀儡政権を立て、彼らの利権上、縄張り調整上の都合で実情に反した中東諸国の領土線引きを強制し、軍隊を常駐させ、石油を開発し、開発利権の70%以上を自国に持ち帰ったが、その後遺症として出来上がった中東諸国家の政治上の機能不全(独裁、不完全な擬似民主制、封建王政など)がイスラム教徒を怒らせた。彼らはキリスト教徒たちが我々のところにやってきて侵略を始めたと感じた。

イスラエル建国-イスラエルパレスチナ戦争-サダムフセインによるクゥエート侵略(石油が原因だ)-米英によるイラク征伐-サウジアラビアへの米軍常駐・・の流れの中でアルカイダが出てきた。

しかし、対立の第一原因が欧米にあるといっても、今ある自由主義社会の経済繁栄は基本的に中東の石油に依存していることも事実だ。経済の繁栄がなければ「自由だ、民主だ」と気張っていてもそのようなものは実現不可能である。そして、この「石油の上の繁栄」は欧米による中東侵奪によってもたらされたものだ。

b.日本は大東亜戦争以降、東西冷戦上のアメリカの極東における前線に位置するという地理上の特典によりアメリカの庇護を受け、リスクを負うことなく、自ら石油に手を汚すこともなく石油を輸入しつつ経済を発展させたが、その結果、経済一流とか生活大国などと自称するに至った。

大東亜戦争以前においては海軍の山本五十六を劈頭とする一連の人たちがこの日本の資源上の脆弱性を何とかしようとしていた。戦争後において石油の自主開発をしたのは実業界では出光佐三や山下太郎など限られた人のみだ。政治家では独り田中角栄が果敢に自主資源外交を展開しようとしたが、つまらない金権問題に足を引っ張られて失脚してしまった。

c.中国共産党は日本が、石油の蛇口をアメリカに依存していながらアメリカに対抗して巨大軍事力を構築し、アメリカに石油の輸出を止められて対米戦争に暴発してしまったという愚劣な事例をよく研究しており、そのために彼らは昔の日本の轍をふまないよう、今は果敢に自主資源開発を世界中に展開している。